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沈黙の琵琶湖2 ― 涙の向こうに咲く笑顔 ―  作者: リンダ


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京都駅の電車さん

第○話


笑美、新作ギャグコント「京都駅の電車さん」


 ある日の幼稚園。


 自由遊びの時間。


 笑美が教室の真ん中へ出てきた。


 パンパンと手を叩く。


「はーい!」


 子どもたちが振り向く。


「笑美ちゃんや!」


「今日はなにー?」


 笑美は胸を張る。


「今日は、新作です!」


 先生も椅子に座り直す。


「先生も楽しみ。」


 笑美は深呼吸をした。


⸻


『京都駅を走る電車さんのぼやき』


「こんにちは!」


「ぼく、新快速電車です!」


 笑美は胸を張り、腕を大きく振る。


「ビューーーーン!」


「ビューーーーン!」


「めっちゃ速いです!」


 子どもたちも、


「はやーい!」


と笑う。


 笑美は急に肩を落とした。


「でもな……。」


「速いって言われるけどな……。」


「めっちゃ大変なんや。」


 みんなが首をかしげる。


「なんで?」


 笑美は大げさに息を切らす。


「京都出たら……。」


「高槻!」


「新大阪!」


「大阪!」


「尼崎!」


「三ノ宮!」


「まだ走るんかーい!」


 教室は爆笑。


「速いから、そのぶん長い距離走らなあかん!」


「めっちゃしんどいねん!」


 笑美はゼーゼー息を切らす真似をする。


「誰か交代してー!」


⸻


 すぐに姿勢を変える。


 今度はゆっくり歩く。


「こんにちは。」


「わたし、普通列車です。」


「よろしくお願いします。」


 お辞儀をする。


「わたしは……」


 一歩進む。


「ガタン。」


「止まります。」


 また一歩。


「ガタン。」


「また止まります。」


 さらに一歩。


「また止まります。」


 子どもたちが笑い始める。


「またー?」


「まだ止まるの?」


 笑美は大きくうなずく。


「止まって。」


「走って。」


「止まって。」


「走って。」


「止まって。」


「……。」


「忙しいねーん!」


 先生まで吹き出す。


⸻


 笑美は両手で自分を押しつぶす。


「それにな。」


「朝はな。」


「ぎゅーーーーーー。」


 両手で体を押す。


「ぎゅーーーーーー。」


「ぎゅーーーーーー。」


「お客さん多すぎるねん!」


「押さんといてー!」


「カバン当たるー!」


「靴踏まれたー!」


「でも次の駅やから我慢やー!」


 教室中が大爆笑。


⸻


 最後は二役。


 新快速。


「俺、速いけど疲れる!」


 普通列車。


「私は止まりすぎて疲れる!」


 二人同時に叫ぶ。


「どっちもしんどいねーーーん!」


 そして、


「でも、お客さんを目的地まで運ぶために、今日も頑張ります!」


 最後に敬礼。


「安全運転で、出発しまーす!」


⸻


 教室は拍手喝采。


「アハハハハ!」


「電車しゃべった!」


「新快速が疲れてる!」


「普通電車かわいそう!」


 担任の先生は笑いすぎて机につかまる。


「あははは……。」


「笑美ちゃん……。」


「先生、お腹痛い……。」


 笑美は首をかしげる。


「先生。」


「はい?」


「まだ続きあるよ。」


 先生は笑いながら手を振る。


「お願い……先生の腹筋を少し休ませて……。」


 教室は再び大きな笑いに包まれた。

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