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心を抉る言葉

この作品を読んでいただきありがとうございます。


学園を舞台にした恋愛・心理ドラマです。


楽しんでいただければ嬉しいです。

第四章 ―― 心を抉る言葉


---


授業開始のベルが、耳障りで単調な音を響かせた。


東京都立中学一年A組の教室では、生徒たちが慌ただしくそれぞれの席へと戻っていく。椅子を引く音、空気にまだ残る笑い声、そして教師の足音が扉に近づくにつれて次第に静まっていくささやき声。


俺、キョウイチロウ・カネオは、自分の場所に留まっていた。窓際の一番後ろの席。動かない。話さない。周囲で起こる何事にも興味を示さない。


窓の外では、空がうっすらと曇り始めている。白い雲がゆっくりと動き、見えないリズムに従っているかのようだ。校庭の大きな木が、朝の風にさら……さら…… と揺れている。雀たちがまだ枝の間を飛び回り、時々止まり、そしてまた飛び立つ。特別なものは何もない。気にする必要もない。ただの普通の一日だ。


教室の中では、数人の生徒がまだ小声で話している。前列に座る田中翔が、昨夜見たサッカーの試合について話している。内容は聞こえない。聞く必要もない。彼の声は、決して止まらない背景音のようにただ流れているだけだ。


教室の扉が、重い木の擦れる音を立てて開いた。


がらり……。


鈴木先生が入ってくる。


丸い眼鏡をかけ、頭頂部の髪が薄くなり始めた中年の男。毎日、同じ顔でやってくる。笑顔もなく、しかめっ面もない。ただ、読み取るのが難しい中性的な表情だけだ。彼はノートを教卓の上に置き、眼鏡を直し、決して変わらない視線で私たち全員を見渡した。


「さて」と彼は言った。声は落ち着いているが、しっかりとしている。「今日の授業を始めよう。きちんと座れ。」


まだ話していた生徒たちがようやく静まり返る。椅子を引く音、いくつかの息遣い、そして静寂。


「本題に入る前に」と鈴木先生は続け、ノートを開いた。「皆さんに話したいことがある。」


数人の生徒が顔を見合わせ、興味津々だ。


「皆さんはもう十四歳になった。もう子供ではない。この年齢になれば、きっと将来について考え始めているはずだ。大人になったら何をしたいか。仕事について、夢について、どんな人生を送りたいかについて。」


鈴木先生は言葉を止め、測定するような視線で私たち一人ひとりを観察した。


「だから、今日は皆さんに一つの簡単な質問に答えてもらいたい。皆さんの夢は何ですか?」


教室の空気が変わった。数人の生徒が目を輝かせ、話す機会を待っているかのように興奮し始める。他の数人はうつむく。恥ずかしいのか、はっきりした答えがないのか。他の数人は隣の席の友達と話し始め、後で何を言うかについてひそひそと話し合っている。


「一人ずつ指名する」と鈴木先生は続け、教卓の上の名簿を手に取った。「恥ずかしがる必要はない。完璧な答えである必要もない。これはただの軽い議論だ。大切なのは、正直に言う勇気を持つことだ。」


彼は前列の一人の少女を指さした。髪をポニーテールに結び、顔は少し緊張している。山田さんだ。


「山田さん、君からだ。」


その少女はぎこちない動きで立ち上がり、机の端をしっかりと握った。しかし、彼女は微笑んだ。


「私……獣医になりたいです」と彼女は言った。声は最初少し震えていた。「小さい頃から動物が好きで、病気や怪我をした動物たちを助けたいと思っています。それに、住む場所のない野生動物の世話もしたいです。そうすれば……きっと幸せになれると思います。」


鈴木先生はうなずき、表情が少し和らいだ。


「いいね。獣医は立派な仕事だ。動物たちは君のように気にかけてくれる人を必要としている。夢を決して諦めてはいけない。」


少女は席に戻った。頬が少し赤くなっている。恥ずかしさか誇りか――あるいはその両方かもしれない。


鈴木先生は別の生徒を指さした。短く整えられた髪に、がっしりとした姿勢の少年――田中翔だ。


「田中くん。」


田中は意気揚々と立ち上がり、顔を輝かせた。少しの迷いもない。


「僕はパイロットになりたいです!」彼は大声で言った。「世界中を飛び回って、まだ行ったことのない場所を見て、雲の上の風を感じたいんです。子供の頃から飛行機が好きで、航空に関する本をたくさん読んできました。その夢を叶えるために、全力を尽くします。」


「パイロットか」鈴木先生はかすかに微笑んだ。「それには強い体力、高い語学力、安定した精神力が必要だ。しかし、本気でやる気があるなら、きっとできると信じている。」


「ありがとうございます、先生!」田中はまだ意気揚々とした表情で席に戻った。


一人また一人と、他の生徒たちが指名されていく。


分厚い眼鏡の少女は生物学者になりたいと言った。乱れた髪の少年は建築家になりたいと言った。ショートヘアの少女は幼稚園の先生になりたいと言った。痩せた体格の少年はプログラマーになりたいと言った。


「私は……」中央の列の女子生徒がためらいながら立ち上がった、「看護師になりたいです。病気の人を助けたいんです。私……それは難しいかもしれないって分かっています。でも、頑張ります。」


「いいね」と鈴木先生は言った。「看護師は立派な仕事だ。勉強を続けなさい。」


自信に満ちた表情の男子生徒が立ち上がった。


「僕は成功した起業家になりたいです!大きな会社を築いて、大金持ちになるんだ!」


鈴木先生はうなずいた。賛成も反対も示さずに。


「起業家には努力とリスクを取る勇気が必要だ。うまくいくといいね。」


声は次々と変わっていく。料理人になりたい者、警察官になりたい者、音楽家になりたい者、プロのアスリートになりたい者。全員がそれぞれ異なる熱意で答えていた。自信満々に聞こえる者もいれば、ためらいながら答える者もいる。また、自分の答えに確信が持てずにただ小さく笑う者もいる。


俺はすべてを聞いてはいなかった。ただ、川の水のように流れていく声――聞こえるけれど、決して心に留まることはない。窓の外では、雲がより速く動き始めている。風がさっきより強く吹いている。大きな木の葉がより激しく揺れ、聞こえないリズムに合わせて踊っているかのようだ。


俺は空を見つめていた。


---


「カネオ・キョウイチロウ。」


俺は動かなかった。数秒間、まだ窓の外の空を見つめ、その言葉を宙に漂わせていた。しかし、もう一度名前が呼ばれた。今度は少し強い口調で。


「カネオくん。」


俺はようやく視線をそらした。鈴木先生が、中性的な表情で俺を見つめている――しかし、丸い眼鏡の奥には少しの好奇心が浮かんでいる。俺が反応しなかったからかもしれない。俺が何を言うのか気になったからかもしれない。


「はい、先生?」声は平坦だった。


「さっきの質問にまだ答えていないぞ。君の夢は何だ?」


沈黙。


教室の中の空気が変わった。先ほどまで話していた数人の生徒が話すのをやめた。目がこちらに向き始める。微笑んでいた田中翔が、その表情を好奇心に変えた。教室の隅で、日鶴沙耶香が見開いた目でこちらを見つめている――少し驚いたように。


俺は鈴木先生を見つめた。


「……夢はありません」と俺は言った。声は静かで平坦だ。


沈黙がさらに深まった。数人の生徒が様々な表情で顔を見合わせる。眉をひそめる者、口を少し開ける者、皮肉っぽく微笑む者。


鈴木先生はしばらく沈黙し、そして少し眉をひそめた。


「……ない? 将来について考えたことがないという意味か?」


「考えたことはあります」と俺は答えた。「しかし、結果は同じです。何もありません。」


鈴木先生はさらに長く沈黙した。彼の手がノートを少し強く握っているのが見えた。


「なぜそう思うんだ? 誰にでも何かしら達成したいものがあるはずだ。誰にでも夢がある。」


俺はすぐには答えなかった。ただ、平坦なまなざしで彼を見つめた。


「……何かになる理由がないんです。」


数人の生徒が囁き始めた。声は小声だが、静寂の中で十分に聞こえる。


「何かになろうとすることは、誰かが自分に期待することでもある。それは、自分の成果によって他の人に誇りを感じてもらうことでもある。他人は結果だけを見る。過程は見ない。最終結果だけを見て、そこに至るまでの苦闘は決して見ない。メダルだけを見て、そのメダルの前に流した汗や涙は決して見ない。」


俺は一瞬言葉を止めた。教室の中で、数人の生徒が互いに表情を変えながら顔を見合わせ始めた。


「夢という言葉は、しばしば心を落ち着かせるために口にする甘い言葉だ。しかし、誰もが思い通りになれるわけではない。そして、彼らが失敗した時、その言葉は重荷に変わる。自分は十分ではないという記憶、自分は成功しなかったという記憶、周りの人をがっかりさせたという記憶になる。だから、俺は何かになろうとは思わない。ただ、自分自身でありたいだけだ。それで十分だ。」


沈黙。


教室全体が静まり返った。音もない。動きもない。ただ、息を呑むだけだ。


数人の生徒が様々な表情で顔を見合わせ始めた。困惑した者、驚いた者、皮肉っぽい者。前列の男子生徒が小さく鼻を鳴らし、そして目を回した。


鈴木先生は何も言わなかった。口が少し開いている。何かを言おうとしているようだが、言葉が出てこない。彼は非常に長く感じられる時間、沈黙した。彼は読み取れない表情で俺を見つめていた――驚きと困惑、そして識別できない何かが混ざり合った表情かもしれない。


最終的に、彼は小さく息を吐いた。


「……わかった。カネオくん、座ってくれ。」


俺は無表情で再び座った。


周囲では、空気が変わり始めていた。数人の生徒が囁き始め、「変だ」「生意気だ」という言葉が彼らの間から聞こえ始める。


「なんであんな答え方ができるんだろう?」


「きっと、自分を目立たせたいだけだよ。」


「でも、あれは普通の答えじゃないよね?」


「多分、何て言えばいいか分からなくて、適当なことを言ったんだよ。」


「それか、考えるのが面倒なだけかもね。」


俺はすべてを聞いていた。しかし、反応は示さなかった。


田中翔は、先ほどまで好奇心を持って俺を見ていたが、今やその表情が変わり始めている。目が細くなる。口元が少し歪む。


「カネオ」と彼は言った。声には先ほどの楽しげな調子はない。言葉の間に皮肉な響きが忍び込んでいる。


俺は彼を見た。


「……何だ?」


「君は自分が他の誰よりも賢いと思ってるのか? あんな哲学的っぽい答えで?」


俺は彼を見つめた。答えない。


田中は少し体を前に傾け、俺に近づいた。


「俺には分かってるんだ。君はただカッコつけたいだけだろ? 夢なんてないって言って。違う人間のふりをして。それで大人に見えると思ってるのか? 賢く見えると思ってるのか? 俺たちより優れてると思ってるのか?」


教室の空気が再び変わった。耳にした数人の生徒が私たち二人を見始める。皮肉っぽく微笑む者、俺の反応を待つ者、ただ好奇心の表情で観察する者。


俺は瞬きもせずに田中を見つめた。


「……誰のことも考えていない。ただ、尋ねられた質問に答えただけだ。」


「嘘つき!」田中は大声で言った。「君はただの嘘つきだ! 俺は君のような人間を知ってる! 皆同じだ! 目立ちたい、特別に見られたい! 実際は何の取り柄もない普通の人間なのに!」


数人の生徒が同意するように唸り声を上げ始めた。数人がより鋭い目つきでこちらを見始めた。


俺は同じ平坦なまなざしで田中を見つめた。


「……君はただ混乱を作り出したいだけじゃないのか? 人に注目してもらうために。君のことを勇敢だと思ってもらうために。君は、俺を辱めることで、彼らの目に自分がカッコよく見えると思っているんだろう。」


田中は息を呑んだ。目が少し見開かれる。


「な……何だって?」


「君は俺の言葉に興味があるわけじゃない。ただ注目を集めたいだけだ。自分が中心になりたいんだ。そして、俺がその機会を与えたから、君はそれを掴んだ。」


田中は沈黙した。顔が赤くなり始める。拳を握りしめた。


「よくも……」


俺は動かなかった。


「君は『変』だと思われている人間を嫌っている。なぜなら、自分が変だと思われるのが怖いからだ。君は他人が自分を他の人と変わらない――ただもっと必死に隠そうとしているだけだということに気づくのが怖いんだ。君はあらゆるものの中で一番怖がっているんだ。自分自身にさえも。」


「何だって?!」田中は立ち上がった。顔が真っ赤になっている。


教室の空気が一瞬で変わった。それまで漠然としていた緊張が、今や現実のものとなった――誰もが感じ取れるものに。私たちの近くに座っていた数人の生徒が離れ始める。息を止めている者もいる。その場で固まっている者もいる。


田中が手を上げた。指が強く握りしめられ、関節が白くなっている。


「お前、俺にタメ口きくつもりか?!」


「……何も考えていない」と俺は平坦に答えた。「事実を言っているだけだ。」


「事実だって?!」田中の声が高くなり、ほとんど叫び声に近い。「事実だって?! お前は俺のこと何も知らない! 俺がどう感じてるか、何を考えてるか、何を経験してきたか、少しも知らない! それなのに、自分が俺より優れてるみたいに、ここに立って俺を裁くのか?!」


「田中くん!」鈴木先生の声が教室の前方から遮った。先生が立ち上がり、手を少し上げて、状況を鎮めようとしている。「席に戻りなさい! これは不適切だ!」


田中は聞こえていない。彼の目は俺に釘付けだ。その視線は燃えるような怒りに満ちている。彼の顎の筋肉が緊張しているのが見える。呼吸が荒くなっている。


鈴木先生が私たちの方へ歩み寄った。「田中くん、聞こえたぞ! これが最後の警告だ――」


「黙れ!」田中は一瞬振り返り、その声が先生の言葉を遮った。「これは俺の用事だ!」


周囲の生徒たちは息を止めている。数人が出口の方を見始め、状況が悪化すれば走り出す準備をしているようだ。前列の女子生徒が手で口を覆い、恐怖で目を見開いている。


俺は自分の席に座ったまま。体はリラックスしている。緊張はない。恐怖もない。ただ、田中を下から見上げる平坦なまなざしだけだ。


「……殴ればいい」と俺は言った。声は静かだ。上がらず、下がらず。ただ平坦だ。「そうすれば、君は罰せられる。停学か、あるいは退学かもしれない。しかし、それで君が望むなら、どうぞ。」


田中は拳をより強く握りしめた。彼の首の血管が緊張しているのが見えた。


「黙れ! 俺ができないと思ってるのか?!」


「……何も考えていない」と俺は答えた。「選ぶのは君だ。結果を伝えているだけだ。」


「何だって?!」田中が一歩踏み出した。


「田中!」鈴木先生の声が再び遮った。先生はもう私たちの近くにいて、手を伸ばして止めようとしている。「席に戻りなさい! 今すぐだ!」


振り返らずに、田中は乱暴に先生の手を払いのけた。「先生は口出ししないでくれ!」


鈴木先生はよろめいて後退した。表情が変わった。毅然としたものから驚きへ、そして怒りへ。「田中! これはやりすぎだ!」


しかし、田中はもう気にしていなかった。彼の目は俺だけを見ている。呼吸が荒い。顔は真っ赤だ。手が震えている。


「お前は自分が俺たち皆より優れてると思ってるのか、カネオ?!」声が震えている。怒りと制御できない感情の間で。「そんなことを言えば、賢く見えると思ってるのか?!」


「……誰のことも考えていない」と俺は答えた。声は変わらない。「そして、君が俺についてどう思おうと気にしない。」


「嘘をつくな!」田中は手をより高く上げた。「お前は分かってる――」


「今すぐ!」鈴木先生の声が鋭く遮った。「田中翔! 最後にもう一度警告する!」


田中は聞こえない。すべての注意が俺に向けられている。彼の目に渦巻くものを見ることができる。怒り、欲求不満、そして別の何か――認められない恥ずかしさかもしれない。俺の言葉が正しいのではないかという恐怖かもしれない。


彼は一歩踏み出した。手が上がる。指が握りしめられる。


俺は動かない。瞬きもしない。


教室の静寂は、黒板の上の時計の音が聞こえるほど濃厚だった。数人の生徒が目を閉じる。数人が息を止める。数人がうつむき、見ていられない。


「田中!」


田中の手が俺の襟を掴んだ。制服の布地が彼の握りしめる下でしわになる。乱暴に前方に引っ張られる感覚、体が椅子から少し浮き上がる。田中の顔がこんなに近くにあり、彼の熱い息遣いを感じることができる。彼の目は赤い――泣いているからではなく、抑えきれない怒りのせいだ。


「なぜお前は怖がらない?! なぜ恐怖を見せない?!」


俺は彼を見つめた。顔は平坦なまま。


「……怖がるべきことが何もないからだ。」


「ふざけるな!」田中が俺を少し揺さぶる。「本当に殴らないと思ってるのか?!」


「……何も考えていない」と俺は答えた。「選ぶのは君だ。もし殴りたいなら、殴れ。何も変わらない。」


「何だって?!」


「君は怒ったままだ。俺は気にしないままだ。そして、君は罰せられる。それだけが変わることだ。」


田中は固まった。彼の手はまだ俺の襟を掴んでいるが、その握りが弱まり始めているのを感じることができる。呼吸はまだ荒いが、彼の目に何かが変わった。迷い。困惑。


「くそっ……」彼は小さく呟いた。声が震えている。「くそっ……お前……お前は何も感じないのか?!」


俺は答えなかった。


田中は非常に長く感じられる数秒間、俺を見つめた。そしてゆっくりと、彼の手が掴みを解いた。指が一本ずつ開く。制服の布地が元に戻る。


彼は一歩後退した。そして二歩。


「くそっ……」彼は繰り返した。声はより小さく、ほとんど聞こえない。


彼は振り返った。自分の席ではなく、教室の外へ。扉が乱暴に開かれ、そして再び閉められた。その衝撃音が廊下に響き渡る。


バンッ!


静寂が教室を包み込んだ。誰も動かない。


鈴木先生が俺の近くに立ち、まだ手を上げたまま、その顔は怒りと安堵が混ざり合っている。彼は閉められたばかりの扉を見つめ、そして俺を見つめた。


「カネオくん……大丈夫か?」


「……大丈夫です」と俺は平坦に答えた。少し乱れた襟を整え、そして静かに再び座った。


鈴木先生はしばらく俺を見つめ、そして長く息を吐いた。


「……よし。全員、席に戻りなさい。授業を続ける。」


数人の生徒がまだ奇妙な目で俺を見つめている。感心したように見える者もいる。恐れているように見える者もいる。好奇心を持っているように見える者もいる。


俺は再び窓の外を見つめた。


田中翔は去っていった。しかし、俺の言葉はまだ空気中に漂い、消すことのできない痕跡を残していた。


---


授業は続いた。


鈴木先生は、徐々に通常の調子を取り戻した声で、夢や将来についての話題を続けた。しかし、教室の中で何かが変わっていた。目には見えないが、理解できない方法で感じ取れる何かが。


数人の生徒がより頻繁に俺を見るようになった。友好的ではないまなざし。好奇心のまなざし。皮肉っぽいまなざし。誰も近づこうとしない。誰も話しかけようとしない。ただ見ているだけだ。


前列では、田中翔の席が空いている。彼は戻ってこなかった。


俺は気にしなかった。


---


一時間目の休憩時間が来た。


数人の生徒が教室を飛び出していく。俺は自分の場所に留まり、動かない。周囲では、教室に残った数人の生徒が小声で話し始める。


「さっきの話、聞いた?」


「田中翔がカネオを殴りかかりそうだったんだって。」


「なんで?」


「カネオが皆の前で彼を侮辱したらしいよ。」


「でも、田中が先に始めたんじゃないの?」


「分からない。でも、はっきりしてるのは、今二人は敵対してるってことだ。」


「カネオは怖くなかったのかな? すごく落ち着いてたよね。」


「分からないね。もしかしたら、本当に気にしてないのかも。」


俺はその言葉を聞いていた。しかし、反応はしなかった。


---


ここから続きを翻訳します。送信された続きのテキストを待っています。……全て聞こえていた。しかし、誰も俺の表情を変えることはできなかった。


窓の外では、雲が厚みを増し始めている。


---


一時間目の休憩が終わる頃、田中翔が教室に戻ってきた。顔はまだ少し赤い。目つきはまだ鋭い。彼はこちらを見なかった。何も言わなかった。ただ自分の席へ歩き、音もなく座った。


数人の生徒が彼を見る。数人が俺を見る。


俺は動かなかった。


---


二時間目の授業が始まる。同じ教師。同じ教材。すべてがいつも通りだ。


しかし、空気の中に何かが変わっていた。目には見えない緊張。誰も話さない。誰も笑わない。


田中翔はこちらを見なかった。しかし、その距離からでも彼の憎悪を感じ取ることができた。


俺は気にしなかった。


---


二時間目の休憩が来た。


俺はいつものように購買へ行った。お茶のペットボトルとパンを一つ買う。いつも微笑みかけてくれる中年の女性店員が、少し迷いながらこちらを見た。


「……あんた、クラスで何かあったって聞いたよ。」


「……はい。」


「……大丈夫かい?」


「……大丈夫です。」


彼女はしばらく俺を見つめ、そして静かにうなずいた。それ以上は尋ねなかった。


俺は店を出て、いつもの校庭脇のベンチへ向かう。そこに座り、一人でパンの包みを開け、お茶をすする。


校庭では、数人の子供たちがサッカーをしている。笑い声と叫び声。向こう側のベンチでは、数人の少女たちが大声で話している。すべてがいつも通りだ。しかし、何かが違うと分かっていた。


誰も近づいてこない。誰も隣に座らない。いつも笑顔と笑い声を携えてやってくる日鶴沙耶香でさえ、姿が見えない。


俺は一人で座っていた。


空では、雲が厚みを増している。午後には雨が降るかもしれない。


---


休憩が終わり、教室へ戻る。すでに席に着いている数人の生徒が、俺が入ってくるとこちらを見た。何人かはうつむき、何人かは顔をそらす。


田中翔は自分の席に座り、読み取れない表情で前を見つめている。こちらを見ない。


俺は自分の席へ歩き、座り、窓の外を見つめる。


ガラスの向こうで、風がより強く吹いている。


---


授業が終わった。


チャイムが鳴る。生徒たちは慌ただしく外へ飛び出していく。俺はゆっくりと、規則正しい動きで鞄をまとめる。


田中翔は先に去っていた。誰も声をかけてこない。誰も近づかない。


俺は教室を出て、静まり始めた廊下を歩く。


廊下の角で、日鶴沙耶香が立っていた。俺を見つめている。彼女の笑顔はいつもとは違う。その目には不安が浮かんでいる。


「……カネオくん。」声が小さかった。


俺は彼女を見た。


「……何だ?」


「……あの……大丈夫……? 田中くんと何かあったって聞いたけど……」


「……大丈夫だ。」


「……でも……」


「……気にするな。」俺は歩き続けた。


沙耶香は後ろからこちらを見つめていた。それ以上は何も言わなかった。


---


帰り道、同じ公園を通りかかる。黒猫は今日はいない。別の場所で餌を探しているのかもしれない。車の下で眠っているのかもしれない。


俺は歩き続ける。


---


家に着くと、空気がいつもと違っていた。


玄関のドアを、いつものように開ける――速すぎず、遅すぎず。中は静かだ。台所から母の鼻歌が聞こえない。食堂からいつも漂う料理の香りもない。ただ、空虚な静寂だけがあった。


自動的に靴を脱ぐ。靴箱にきちんとしまう。そしてリビングへ向かう。


誰もいない。


台所へ向かう。何もない。コンロはついていない。鍋もない。皿も準備されていない。


食堂へ向かう。テーブルは空っぽだ。食べ物はない。


俺は立ち止まった。


「……母さん?」


答えはない。自分の声だけが、静かな壁の間で反響する。


廊下へ向かう。足音が静寂の中でより大きく響く。浴室の前を通る。客間の前を通る。


そして、何かを聞いた。セリアの部屋から、かすかな物音。


少し開いたドアに近づく。


中では、セリアがベッドの縁に座り、ウサギのぬいぐるみを抱えている。俺が入っていくと、彼女の目がこちらを向いた。


「……お兄ちゃん。」声が小さい。


「……母さんは?」と尋ねた。


「……お母さん、お友達の家に用事があるって言ってた。」セリアが答えた。「夕方くらいに帰るって。ご飯は冷蔵庫に入れてあるって。」


俺はしばらく彼女を見つめた。うなずく。


「……わかった。」


俺はセリアの部屋のドアを静かに閉め、自分の部屋へ向かった。


部屋の中は冷たい空気が満ちている。制服を脱ぎ、楽な服装に着替える。特に考えるでもなく、台所へ行き、冷蔵庫を開ける。そこには、二食分の食事がきちんと包まれて入っていた。それを取り出し、電子レンジで温める。


無表情のまま、夕食を一人で食べた。食堂のテーブルで、スプーンとフォークが皿に当たる音が、静かな家の中でやけに大きく響いた。


食べ終わり、皿を洗い、水切りかごに置き、そして部屋へ戻る。


---


その夜、俺はベッドに横たわった。天井はいつもと同じだ。


今日、自分が口にした言葉について考えた。そして、周囲の人々の反応について。


田中翔。日鶴沙耶香。他の生徒たち。


彼らは今、違う目で俺を見ている。それが良いことであれ悪いことであれ、俺は気にしない。


俺はただキョウイチロウ・カネオだ。それで十分だ。


窓の外では、月が昇り始めている。夕暮れは夜となり、今日という日も終わろうとしている。


---


窓の外で、夜風がそっと木々を揺らす。


さらさら……。


その音は、まるで誰かのささやきのように、俺の耳に残った。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


次回もよろしくお願いいたします。

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