お祭りで…2
新展開の予感です…
「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…。」
テルとイオンが必死で探してるにも関わらず、当の本人、フィオナは色々な露店を見ているうちにとてもキラキラとしていて、綺麗な色を滑らかに伸ばしたりくねらせたりしていて、形が施された甘味に夢中だった。
「ほらよ」
甘味を作っていた気の良い40代半ばのおじさんが紫で作られた蝶をフィオナに手渡そうとしている。
「え…でも、悪いです…」
そういいながらフィオナの瞳は紫の蝶に釘付けだった。
「お嬢ちゃん、美人だから良いんだよ。」
ニコッと笑ったおじさんはフィオナの手に紫の蝶を持たせてくれた。
「あ、ありがとう…ございます…」
甘味を貰い上機嫌で当てもなくテクテクと歩く。
「どうしたの~?1人?」
「綺麗だね~何処のお嬢様かな?」
2人の柄の悪い男がフィオナの肩を掴む。
「あっちに行こうよ~」
ぐいっとものかげに連れて行こうとする。
周りの人達はフィオナを助けたいが、いかんせん男2人は何やらナイフを隠し持っているため迂闊に近付けないのだ。
「邪魔だなぁ…」
フィオナがボソッと甘味を舐めるのに邪魔だなぁと呟いたのははっきり男2人には聞こえていなかった。
「邪魔だと言ったんです。」
フィオナのはっきり言っている様に男2人は顔に皺を寄せる。周りの人達は焦りを感じていた。
「なんだと!?舐めやがって!!」
甘味は舐めてますけどね。と、フィオナが心の中で呟く。
案の定、男の1人がフィオナの腕を掴み茂みの方へ連れて行こうとする。
誰もがもうダメだと思った時、巨大な爆発音が響いた。
「邪魔だって言ってるのに聞かないからですよ?」
甘味を舐めているフィオナの周りからは男2人の姿が無い、あるとすればフィオナの近くから白い煙が出ているだけだった。フィオナは魔法で男達を吹っ飛ばしたのだ。
どうやら、10mぐらい離れた所で倒れているが命はある。全治2ヶ月で病院送りは確実だろう。
周りにいた人達はフィオナのした事に驚きを隠せないでいた。
「あれ~?助けようとしたんだけど、要らぬお世話だったかな?フィオナ…」
低い声の男の人がフィオナに声をかける。
フィオナはこの声の主を知らない。だが向こうはどうやらフィオナの事を知っているみたいだ。
フィオナは声のする方へ振り向いた。
そこには、燃えるような赤髪に右目が青、左目が黄緑のオッドアイの美形な青年がフィオナを見ていた。
「…え…お兄様…?」
フィオナは目を丸くした。
フィオナはこの瞳を知っている。
小さい頃、まだ魔女達が生きていた頃、あの森にフィオナの様子を見に来る青年がいた。
「お祖母様、今日もあのお兄様来るかしら?」
お祖母様は大きく皺皺の手をフィオナの頭に乗せる。
「来るさぁ、ほら足音がしてきただろう?」
お祖母様の顔は鮮明に覚えて無いけどとても優しくて面白い方だった。
「お兄様ーーー」
勢い良く足音のする方へ掛けて行き飛びついた。
お兄様は私を軽々と受け止めて抱いてくれる。
お兄様はポカポカと太陽のような匂いがした。
その匂いが何時も心地よくそのお兄様の腕の中で良く眠った。
お兄様の瞳は宝石みたいにとても綺麗だった…。
だけど、魔女達が死んでしまった時を境にお兄様はあの森に姿を現さなくなった。
今思えば、名前も知らなかったなぁと後悔が残る。
そんなお兄様が今、15年の時を経てフィオナの目の前にいるのだ。
「久しぶりだな…フィオナ、凄く綺麗になった。」
フィオナは細い指を頭に這わせドクン…ドクン…と心臓が早鐘を打つのが分かる。
「ど、うして居なくなったの?…あの日から…」
フィオナはあの日から、魔女達が死んでしまったあの日から、お兄様はきっと生きてるからまた『ここ』(あの森)へ来てくれると待ち続けていた。
だが、何時まで待っても来る気配は無く、同時に自分は一人ぼっちなのだと実感し悲しみに押しつぶされそうになった。
「すまない…」
目の前にいるお兄様は俯いて苦しそうに言う。
「大叔母様と賭けていたんだ…15年間、フィオナの側に居なければフィオナの許嫁として認めてくれるっていう賭けを…」
………………………………………ん?
くれる…クレル…イイナズケとミトメテクレル…
「は、はぃぃぃぃぃ?」
「3ヶ月前、あの森に足を運んだら大叔母様のお墓があって…フィオナが1人になってしまっていることを知った。
やっと、フィオナに会えるのにフィオナの姿が無く途方に暮れていたんだよ…まさか爆発音がしたなと思って来て見たらフィオナに会えるとは思ってなかった。」
「15年も経ったのによく、分かりましたね…私の姿が…」
「分かるに決まっているだろう。艶やかな銀髪に漆黒の瞳は俺が惚れたフィオナそのものだ。見間違える筈も無い。15年もの月日が経ってもフィオナはより美しさが増して、俺のことを忘れてもう、旦那がいるんでは無いかと気が気ではなかった。
名前を言っていなかったな…大叔母様に言うなと言われていたんだ。
俺の名は、レオ。一国の王で魔術師だ。」
フィオナは唖然した。
昔から優しいお兄様が一国の王で魔術師だったなんて知る由も無かったのだから…しかも、私の許嫁だと言う。
フィオナの頭は混乱で爆発寸前だった…
あぁ…お祖母様なんていう人と知り合いなのですか…
フィオナが天国にいるお祖母様にあながち飽きれが混じっているとも言える言葉を漏らしているとフィオナを呼ぶテルの声とイオンの声が聞こえた。
「フィオナ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!ごぶ、ご無事でな、な、な、何よりですーーーーー」
「心配するでしょう、フィオナ様」
凄い剣幕のテル、お化けも逃げ惑う程にだ。イオンは何かと黒いオーラを身に纏っている。どうやら怒らせてしまったようだ。フィオナが冷や汗を感じている中、テルが涙をぬぐいレオの存在に気付く。
「フィオナ様、そちらの殿方は誰ですか?」
フィオナは焦りながら先程聞いた事を言葉ごとばに繋いで言った。
「お兄様…で」
「「えぇ!?」」
フィオナの最初の言葉に先の事を聞くのを忘れて驚きの声をあげる。
「私の…い、い、…」
「「い?」」
2人が先を即す。
「い、許嫁…で、す。」
「はぁぁぁぁ!?」
フィオナの言葉を聞いた途端、響く程大きな声をあげたのはイオンだ。
それもそうだ、イオンは少なからずフィオナの事を愛してるのだからーーーーーー。
そんなフィオナにお兄様がいて、許嫁などと言われれば声をあげるに決まっている。
そんなイオンを見てレオがクスりと笑うと、フィオナの頬にキスを落として『また来る』と言い去って行った。
キスをされた事にフィオナが驚かないのは小さい頃によくお兄様にされていたからである。
自分の頬を摩り、小さい頃の思い出が蘇った気持ちになり、フィオナは自然と笑顔になった。




