注意
「喉が渇いた…」
フィオナは珍しく朝早くに起きて暇なので、城内を探索することにしたのだ。
いろんな所を見て回る内に此処が何処なのか分からなくなり、今に至る。
ウロウロとしていると扉が開いている部屋を見つけた。
失礼かと思ったが、何か飲み物がないか探すことを扉の前でぺこりと頭を下げお願いし中に入った。
中には立派な机があり、その机の上にはお目当ての飲み物があった。その飲み物は薄い桃色をしていていい香りが漂っている。
その飲み物に一目散に駆けて、ごくごくとグラスに注いであった飲み物を飲みほす。
口の中にはやはり、甘い香りが広がり味も濃くなくついつい多く飲んでしまった。
そこで意識が途切れた…
*****
「フィオナ様ーーーーーーーーーー!!」
まったく、あのお方はどうして迷子になるのに城内をうろつこうとするのか…
いい加減に心配する身にもなってほしい。
必ずこのテルが見つけますからね!!
*****
業務に暇が出来、フィオナの所へ足を運んでいる途中、ジークの足に何かがくっ付いた。柔らかく動くものが…
ジークはいち早くフィオナの所へ足を運んでいる途中に邪魔が入ったので、例え感触が柔らかくてもジークの眉間には深い皺が入りこみいかにも苛立ちを見せていた。足を睨むとあり得ない光景が広がっていた。
「っっっ???」
なんとフィオナが足にくっ付いていのだ。
フィオナの頬は火照っていて瞳が潤んでいる。
ジークは自分の理性と戦っていた。本の僅かに残っていた理性がこの手を止めている。
「…キスは?」
フィオナの形のいい唇が微かに動いて、あのフィオナならあり得ないことを口にした。
ジークは驚きのあまり目を見開いた。
「私のこと好きなんでしょ?だったらキスは!?」
ズイッとジークの胸元を引っ張り顔を近づけ、漆黒の瞳が睨みをきかせている。
だが、本気で睨んでいるわけではないので全然怖くはない。
逆に誘われているみたいで襲いたい衝動に駆られる。
しかし、これがフィオナの本心ではないのだと思うと襲えなかった。
フィオナの顔がより一層近付いてきた時、微かな香りが漂ってきてある事に気付いた。
「微かに酒の匂いがする…」
こいつ…酔っ払いだな。
フィオナが酒に酔っていると分かるとなんとなく、この状況が理解出来る。
しかも、この香りはある特殊なフルーツから作られたもので、ごく少量でも凄くアルコールが高いのだ。
何処でこれを飲んできたのか…
ジークがいろいろと悩んでいるにも関わらず、フィオナはまだジークを睨んでいる。
「…無視しないでよー!」
「っ!?」
フィオナが飛んだかと思うと、ジークの身体がフィオナの急なジャンプに耐えきれず床に倒れる。
とさっという効果音と共に、ジークの上に乗っかっている状態でフィオナはジークの唇を貪っていた。
真昼間から白昼堂々と王宮の床で…
ジークはこの状況が理解出来ずただ、フィオナのキスの意外な上手さに翻弄されそうになる自分を、王という責任のことを想い出させなんとか抑える。
威厳のある王が娘に押し倒されている所を誰かに見られてしまうのは己の失態に繋がるからだ。
惜しいがフィオナを引き剥がして自分の部屋に連れて行こうかと思い、行動に移そうとした。
が、それをしなくてもフィオナは自らジークの上から降りて、何処かにフラフラと歩いて行ってしまった。
ヤバイっっ!あいつを今、1人にしたら…
嫌な想像が脳裏に映る。
しかし、1番見られてはいけない奴に出くわしてしまった。
*****
ある程度、仕事を終わらせ暇になったので軽く食事をするべくいつものように食堂に向かっている途中だった。
だが、今回はいつもとは少し違った。何処かいつものようすと違うフィオナ様を見つけたのだ。
「フィオナ様、どうしたんです…っん!?」
フィオナはイオンを見つけるとその唇に自分の唇を押し付け深いキスをし始めた。
イオンはあまりに急な展開で頭が回らなくなる。
しかし、いつもより色っぽいフィオナを見て理性が飛んだ。
深いキスをしてくるフィオナを抱いて何処かの部屋に入ろうとする。
「そいつは酔っ払いだ!」
王宮で大声を出したのは息を荒立てながら、どうやら走ってきたらしい陛下だった。
イオンはやっと、フィオナの変貌にそーゆーことかと気付いてどうするものかと首を捻る。
こんなフィオナは見たことがないのだ対処が困る。
「…キ・ス!!どうしてやめちゃうのぉ」
漆黒の瞳に涙が零れそうなぐらい溜まって見つめられる。
イオンはぐっと何かと闘いながら取り敢えずジークの部屋に連れて行くこととなった。
ジークの部屋では、
フィオナはジークとイオンに囲まれながらちょこんと椅子に座っていた。
「まさか、フィオナ様がお酒を飲んだらキス魔になるとは…思っても見ませんでしたね、陛下。」
「あぁ、しかも誰でもやる所が厄介だな」
キスをしてくるのは勿論いいのだ。
紛れもなく自分が愛している相手なのだから、だが、フィオナは近くにいる男全員を押し倒して上手いキスをしようとする所が厄介で仕方が無い。
フィオナのキスは忘れられないぐらいに上手かったから、余計に他の男共にして欲しくないのだ。
ジークとイオンは同時に自分の唇に指を当てた。
「女に押し倒されたのなんて初めての体験だったぞ」
「自分もです。」
「そして、それなりに上手かった…」
「はい…一体何処で覚えたんでしょうね」
男達はフィオナの状態よりフィオナのキスの仕方について語っていた。
男2人でもフィオナの行動はとても意外で話に花を咲かせれるのだ。
すると、急にイオンの顔がフィオナの両手によって左に向かされ今日、初めて見た真剣な顔に心臓が跳ねる。
「放置しないでよ!イオンの愛はその程度だったんだ!」
真剣な表情に合わないことを言われしどろもどろになってしまう。
「いや、たしかにフィオナ様は好きだけど、別に放置してたわけではなくてですね…」
そういえばフィオナを忘れていた己の失態に言い訳をしながらフィオナにキスをしたい衝動に耐えていた。
フィオナはそんなことを考えているとは思わないイオンの言葉を聞くと、顔を掴んでいる両手をスルリと外し陛下の胸倉を掴んだ。
「ジークは!?」
「はっ?!」
「私のこと愛してるって言ったわよね!」
急なフィオナの行動に困惑し出す陛下。
あれからまたキス魔になったりジークの部屋を抜け出し暴れ出したりしてドタバタな所を聞きつけて現れることになるテルはもう少し先のお話…だったりする。




