ちっちゃな願い
ここから
第二章です!
よろしくお願いします!
普通に生まれたかった。
強くもない。
悪くもない。
ただ、誰かと同じように。
人の目なんて気にせず。
勝手な価値観を押し付けられることもなく。
もっと自由に。
もっと普通に。
――わたしだって。
⸻
商業都市へ到着したアキラ達一行。
流石に街中まではツクモも入れない為、少し離れた森の中へ待機することになった。
「……土地問題とか大丈夫だよな?」
アキラが一応心配する。
『たぶん大丈夫です』
「たぶんなんだニャ……」
若干不安になった。
まあ今さらである。
「さて!」
アキラがパンッと手を叩く。
「まずは都市探索だ!」
「言われた通り目立たない!」
「争い避ける!」
「異世界の治安もインフレもわからん!」
「物価も調べる!」
「以上!」
「おぉ〜」
「なんかそれっぽい〜」
「……頑張る」
ツクモに見送られ、一行は街へ向かう。
そして。
「……おぉ」
思わず声が漏れた。
街並みは想像していたファンタジーとは少し違った。
人々で賑わう通り。
服屋、道具屋、飲食店、雑貨店。
元の世界と変わらない活気がそこにはあった。
「これ美味しそうニャ」
「うわっ、肉でっか」
「……プリン」
リン。
ジーコ。
そしてレイまでもが屋台に吸い寄せられていく。
「無駄遣いは禁止!!」
アキラが即回収した。
長年の貧乏生活で培った財布の紐の硬さ。
人生初の長所である。
だが。
(フフフ……)
(多分その生活も今日まで……)
(ここから人生大逆転……!)
アキラの顔が気持ち悪くなっていた。
妙に口角が上がっている。
「……アキラ」
「何か顔キモいニャ」
「ウチも思った」
「……キモい」
「え?」
全員一致だった。
話題を変えるようにレイが言う。
「一応……フレデリカさんの話だと、冒険者組合? ギルド? みたいなのもあるんだって」
「登録しとけば仕事困らないって」
「おー、それも探さないとな」
そんな話をしていると。
目の前に大きな看板。
『冒険者募集!!』
『君も冒険者にならないか!?』
『組合→曲がってすぐ』
「なんかあったニャ」
都合が良すぎた。
若干嫌な予感もした。
だが。
行った。
組合では丁寧に説明を受ける。
登録。
依頼。
討伐。
報酬。
災害級のモンスター。
そして。
「何かありましたらこちらの魔導機に連絡が届きますので、代表の方は所持してください」
スマホみたいな端末が出された。
「紛失や盗難の場合は報酬から補填、悪質な場合は登録抹消もありますのでご注意ください」
アキラが受け取ろうとする。
「待てニャ」
「ダメ」
「絶対ダメ」
三人に止められた。
「なんで!?」
「なんか無くしそうニャ」
「三日持たなそう」
「……二日」
酷かった。
結果。
リンが代表になった。
「見るだけ!」
「見るだけだから!」
しぶしぶリンから借りるアキラ。
「おぉ〜」
見た目はスマホそのもの。
だが。
「……あれ?」
大した機能はない。
本当に連絡専用。
そこで。
アキラの顔が。
再び気持ち悪くなった。
「……出たニャ」
「キモ顔だ」
「うわぁ」
「ちょっとみんな!」
「組合探索して情報集めて飯でも食って待ってて!」
「俺、名案ある!」
「期待して待っててくれよな!!」
そう言って駆け出す。
「絶対ロクでもないニャ」
「追う?」
「……行く」
レイが完全霊体化した。
気配ゼロ。
透明。
尾行開始。
数分後。
「あったあった!」
アキラが立ち止まる。
店の看板。
『買取』
『骨董品』
『貴重品』
「フフフ……」
(異世界テンプレ来たな)
(スマホ=超文明)
(これ高く売れたら……)
(働かなくていい人生も……!)
横で見ていたレイ。
(顔が気持ち悪い……)
アキラは店主へ向かう。
「珍しい物持ってきたんですけど!」
「見てもらえます?」
取り出したのは。
元の世界のスマホ。
店主が受け取る。
「ほう」
アキラの顔。
ニチャァ。
(キタキタキタ)
(この流れ知ってる)
(超レア認定くる)
「お前さん」
「はい!」
「これどこで手に入れた?」
(キタァァァァァ!!)
勝利確信。
そして。
「まれに見るゴミだな」
「……え?」
「魔導機初期型のさらに初期」
「機能も少ない」
「大量生産」
「骨董価値もない」
「…………」
沈黙。
「うわぁ……」
レイは見てはいけないものを見た顔になった。
そっと。
静かに。
先に帰った。
数分後。
落ち込んだアキラが組合食堂へ戻る。
(スマホ……部屋に飾ろ……)
すると。
「おーアキラ〜!」
「遅いニャ!」
視界の先。
リンとジーコが。
豪快に。
山盛り料理を食っていた。
机の上には空皿の山。
さらに店員が料理を持ってきている。
「追加お待ち〜」
「え?」
「え?」
アキラ硬直。
「あはは……」
乾いた笑い。
「……金、足りるかな?」




