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死なない俺の使い方  作者: 鬼瓦源次郎
第一章 ぼくと魔王

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事故物件からのサプライズ

「ちくしょー!! 負けたーーーー!!」


 三人の叫びが響く。


 そこへフレデリカとリュシエルが駆け寄ってきた。


「みんなすごかったよ〜!」


「お疲れ様。あの皇帝様相手によくやったわ」


 リンはその場に大の字で倒れ込み、アキラは再生したばかりの身体を押さえながら笑う。ジーコも汗だくのまま地面へ座り込んでいた。


 一方。


「お疲れさん」


 ジンは皇帝へ歩み寄り、軽く手を上げた。


 皇帝は静かに剣を収める。


「さて!」


 ジンが振り返る。


「とりあえずこれで修行は終わりだ! 今日は呑むぞー!」


「おぉーー!!」


 その時。


「あ、そうだ〜」


 フレデリカが思い出したように声を上げた。


「ババ様が、終わったらすぐ帰ってこいって〜。見せたいものがあるんだって〜」


 三人は顔を見合わせる。


「見せたいもの?」


「なんだろニャ」


「サプライズ系?」


 疲れているはずなのに、自然と足取りは軽かった。


 そしてツクモへ戻る。


 家の前には、ババ様が立っていた。


 その隣にはレイ。


 しかも。


 普通に外へ出ている。


「……あれ?」


「レイちゃん外いるニャ」


「やっと外に出す事ができたよ」


 ババ様が満足そうに頷く。


 


(引きこもりだったのかな……)


 全員がなんとなくそう思った。




「ツクモ、聞こえるかい」


 ババ様が静かに呼びかける。


「今、あんたの願いを叶える時だ」


「記憶達の願い」


「自分が生まれた意味」


「この世界で生きる意味」


「アキラ達と共に生きたい自分の願いを――今、見せなさい」


 その瞬間。


 ツクモ全体が光に包まれた。


 ――ゴゴゴゴゴゴゴ!!


 轟音。


 ただの古い平屋だった家が、外壁を剥がしながら変形していく。


 縦へ。


 横へ。


 まるで大木が急成長するように、建物そのものが巨大化していった。


「うおおおお!?」


「デカくなってるニャ!?」


「すっご……」


 外から見ても分かる。


 壁はより頑丈に。


 部屋数も明らかに増えていた。


 やがて変形が止まる。


『――完了しました』


 ツクモの声が響く。


『皆様、中へどうぞ』


 三人が恐る恐る中へ入る。


 そして。


「……は?」


 全員が固まった。


 そこは別空間だった。


 古びていた玄関は新築同然に変わり、廊下は磨き上げられている。居間は広く、キッチンやトイレまで信じられないほど綺麗だった。


 まるで――。


『なんということでしょう』


 アキラの脳内で勝手にナレーションが流れる。


『匠の手によって、古びた一軒家は快適な空間へと生まれ変わったのです』


「劇的ビフォー⚪︎フターするな!!」


 思わずツッコむ。


 だが、それ以上に。


 視界の端で、何かがチョコチョコ動いていた。


「……?」


「???」


「????!!!!」


 


「ロボだーーーーー!!!」


 


 アキラのテンションが爆発する。


 そこにいたのは、小さな人型のロボット達だった。


 どこかオモチャのような丸いフォルム。


 エプロン姿。


 作業着姿。


 それぞれ工具や掃除道具を持ち、忙しそうにツクモ内を動き回っている。


 喋ってはいるが、何を言っているのかは分からない。


「かわいいニャ!?」


「ちっちゃ!」


 アキラが完全に少年の顔になっていた。


「その子達は、ツクモ内のメンテナンスを担当してくれるのですよ」


 静かな声が響く。


 そして。


 その姿を見た全員が、さらに固まった。


 現れたのは。


 白い能面。


 千手観音のように背後から幾重にも伸びる機械腕。


 黒を基調としたメイド服。


 人間離れした白い肌。


 長い黒髪。


 そして圧倒的な巨躯。


 静謐さと威圧感を同時に持つ、異形のメイドだった。


「えっ……」


「こわ……キレイ……」


「情報量が多いニャ」


「元々は、ツクモ内にいた生前の人達の記憶。地縛霊と言ってもいいかもしれません」


 能面の奥から、静かな声が響く。


「自分達も役割が欲しい。この世界で生きてみたいと願ったのです」


「完全な命ではありません。ですが、ツクモの中でなら生きていけるのです」


 そして深く一礼する。


「ツクモです」


「正確には、本体端末の一つですが。記憶や思考は共有しています」


「紛らわしいので、“メイド長”とお呼びください」


 驚きすぎて、誰も言葉が出ない。


 だが。


「ちなみにデザインは、マスターのスマホデータから検索履歴を抽出しました」


 一瞬の静寂。


「黒髪、巨乳、高身長、仏像、ロボ――を参考にしております」


「如何でしょうか?」


「あっさり性癖バラすんじゃねぇぇぇ!!!」


 アキラの叫びが、新生ツクモに響き渡った。

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