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死なない俺の使い方  作者: 鬼瓦源次郎
第一章 ぼくと魔王

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15/23

残り一分間!!!

「今、何分〜?」


 フレデリカがジンへ尋ねる。


「まだ二分程度だな」


 ジンは腕を組んだまま答えた。


「とはいえ……皇帝もまだ様子見だ。意外と警戒してる」


 


(多分、あいつも俺と同じ事を考えてる)


(不死者をどう対処するかを)


 


 皆が見守る中、三人の攻防は続いていた。


 ジーコが超高速で散らばった武器を拾い、四方八方から攻撃を繰り返す。その間に、アキラがリンへ声を飛ばした。


「残り武器は!?」


「投擲できそうなのは三十本! 近接大型が二本! ポーション十二個! あと奥の手が一個ニャ!」


「わかった! 援護頼む!」


 アキラも再び前へ出る。


 リンは空中で次の奇襲準備に入った。


 初めこそ、皇帝もジーコの超高速機動に反応が遅れていた。何発も攻撃を受けている。


 だが、ノーダメージ。


 しかも徐々に慣れてきていた。


 あの重厚な黄金鎧のまま、ジーコの速度に対応し始めている。


 


(……アキラを狙ってる?)


(囮が効いた? いや、それとも――)


 


 ジーコは気づく。


 皇帝の狙いは、自分ではない。


 明らかにアキラを優先している。


 その瞬間。


「いっけぇぇぇニャ!!」


 リンの奇襲。


 空中から、身長の二倍はある巨大な戦斧が落下する。


 皇帝が初めて大きく回避した。


「今ニャ!!」


 三人はその隙に、一度後方へ下がる。




「おそらく、俺の再生と音には気づかれてる」


 アキラが荒い息で言う。


「逃げ回れば時間切れは狙える。けど追いつかれたら終わりだ」


 ポーションを飲み干しながら、二人は頷く。


「次が最後の攻撃だ」


 アキラが笑う。


「耐えきれよ!」


 そして単騎で皇帝へ突っ込んだ。


 


 ――バチィ。


 


 雷鳴。


 空気が震える。


「残り一分」


 ジンが小さく呟く。


 皇帝が今まで待っていた理由。



 一分あれば十分だったからだ。


 


 ――バチバチバチバチ!!


 


 初めて。


 皇帝が明確に“構えた”。


 全身へ雷が走る。


 黄金鎧が眩く発光し、大剣へ稲妻が集束していく。


 リンのポーション。


 回復魔法。


 それらでアキラの再生速度は一時的に向上していた。


 囮になり、盾になり、無茶苦茶な連携で攻め続ける。


 リンの援護。


 ジーコの超高速。


 アキラの特攻。


 その時だった。


 


 皇帝が。


 


 半歩、下がった。


 


「――チャンス!!」


 


 アキラが飛び込む。


 そして。


 皇帝と目が合った。


 


(しまっ――罠!!)


 気づいた時には遅かった。


 

 ズバァッ!!



 アキラの上半身と下半身が、完全に分断される。


(このダメージなら、再生には時間がかかる)


 残るは二人。


 皇帝が仕留めに動く。


 雷を纏った大剣が、リンとジーコへ振り下ろされる。


 


「ヂヂヂヂヂヂヂ」


 


 不快音。


 


(再生するか……)



 皇帝が、地面へ転がるアキラへ視線を向ける。


 

(……早いな。対処する)


 


「ヂヂヂ」


 


 アキラが。


 口で音を真似していた。




 

 一瞬。


 ほんの一瞬だけ。


 皇帝の意識が逸れる。


 


 この戦いで最初で最後の油断。


 


 それを見逃さなかった。


 


「うおおおおおニャァァァ!!」


 


 リンが回転しながら大型ハンマーを叩き込む。


「これはワタシ分ニャ!!」


 さらに。


 


「ライダァァァァーーーキィィィック!!!」


 


 ジーコが最速で飛び込み、ハンマーごと皇帝を蹴り抜く。


 


 ――ズズズズズッ!!


 


 皇帝が後退する。


 亀裂へ。


「トドメは――自爆だァァァ!!」


 アキラが爆発した。


 轟音。


 土煙。


 衝撃波。


 


 そして。


 


 ――ピィィィィィーーーッ!!


 


 時間切れの笛が鳴る。


「どっちだ……?」


 誰もが固唾を呑む。


 土煙が、ゆっくり晴れていく。


 


 そこに立っていたのは――


 


 皇帝だった。


 


 三人の最終試練は。


 


 敗北に終わった。

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