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死なない俺の使い方  作者: 鬼瓦源次郎
第一章 ぼくと魔王

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最終試練が始まる

 ジン達が見守るなか。


 いよいよ――最終試練が始まる。


 アキラ、リン、ジーコ。


 三人が並び立つその先には、黄金の騎士。


 皇帝。


 静かに大剣を構えた皇帝が、軽く剣を振る。


 ――ズガァァァン!!


 轟音と共に、大地が横一直線に割れた。


 巨大な亀裂。


 その向こう側へ、皇帝は静かに立つ。


「お前らの勝利条件は二つ」


 後方からジンの声が飛ぶ。


「皇帝をその亀裂の向こうへ押し込むか――十分間、耐えるかだ」


 そして。


「おぉ皇帝〜、いつも悪いな〜」


 ジンが軽い調子で笑う。


「今日お前が勝ったら、なんでも言う事聞いてやるよ〜」


 


 ――バチィッ。


 


 その瞬間。


 静かだった皇帝の全身に、轟く雷が纏わりついた。


 空気が震える。


 地面が焦げる。


 明らかに、さっきまでとは圧が違った。


「ありゃ〜」


 ジンが頭をかく。


「珍しく本気だな〜」




「よっしゃー!!」


 アキラが拳を叩く。


 先日の惨敗。


 逃走訓練で見せた自分達の弱さ。


 それを乗り越える為にも、負けるわけにはいかない。


「さて、どうする?」


 ジーコが笑う。


「攻める? 耐久?」


「とりあえずは――」


 その瞬間。


 開始の笛が鳴った。


「俺が一番槍だな!!」


 アキラが地面を蹴る。


 爆発するような加速。


 かつてとは比べ物にならない速度で、火炎を纏いながら皇帝へ突進する。


「おぉぉぉぉ!!」


 全力の右ストレート。


 届く――!


 そう思った瞬間。


 


 スゥゥ――。


 


 静かな音。


 次の瞬間には、アキラの右腕が大剣によって切り落とされていた。


「――っ!!」


 だが。


 その瞬間にはもう、ジーコが動いていた。


「よいしょーーッ!!」


 リンを空中へ放り投げる。


「ニャニャニャニャーーーー!!?」


 情けない悲鳴が響く。


 その直後。


「――ドカン」


 アキラが笑う。


 切り落とされた右腕が爆発した。


 爆炎と煙。


 一瞬だけ皇帝の視界が遮られる。


 そこへ。


 ジーコが超高速で突っ込んだ。


「おらぁッ!!」


 衝撃。


 確かな手応え。


 だが。


「……えー、マジー?」


 皇帝は。


 一歩も動いていなかった。


 微動だにしない。


 まるで巨大な壁だった。


 一方。


 空中へ放り出されたリンは、落下しながら大量の武器をばら撒いていく。


 剣。


 斧。


 ナイフ。


 槍。


 普通なら持ち運べる量ではない。


 だがリンには、リュシエルから貰った魔法具があった。


 貰った魔法具は三つ。


 一つ目。


 収容魔法具――“リュック”。


 見た目以上の大量収納を可能にする魔法具だ。


 そして。


 リンと散らばった武器が、空中でピタリと静止する。


「いっけぇぇぇニャ!!」


 二つ目。


 念動力魔法具――“コントロール”。


 数百の武器が、一斉に皇帝へ牙を剥いた。


 武器の雨。


 斬撃の嵐。


 常人なら逃げ場すらない。


 だが。


 ――ゴォッ!!


 皇帝が大剣を振るう。


 たった一振り。


 それだけで武器群が弾き飛ばされ、地面へ突き刺さっていく。


「うっそだろ……」


 アキラが苦笑する。


「ち、一歩も動いてねぇ」


 三人の顔には、絶望と歓喜が混じっていた。


 強すぎる。


 だが。


 だからこそ。


 声だけは、どこか楽しそうだった。

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