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第48話:秀忠、引退を許されず

「織田さまぁ! 私はもう死んでるんですよ! 足だって透けてるし、お供え物の匂いしか嗅げない身体なんですぅ! なのに、なんでまだこんなに働かされるんですかぁ!」

日光の奥院の木像の傍らで透けかかった身体を震わせる家康は、鏡に映る過労死寸前の秀忠を見て号泣した。だが隣の信長は、生身の温かい手で家康の透けた髷を強引に掴み上げ、鼻をほじった。

「だまっとりゃあ、家康! おみゃあの息子みたいに使い勝手のええ凡人は、死ぬまで働かせるのが一番だわ。あいつの生真面目さこそが徳川の安定剤なんだわ。おみゃあ、息子に仕事を取られてそんなに悔しいんか!」

「鬼だ! 貴方は死者への敬意が皆無な生身の鬼ですぅ! 秀忠の顔、死んでる私より土気色じゃないですかぁ!」

「ええがや! おみゃあは神様として上から、あいつが倒れんように念を送っとれ。俺はその横で、あいつがサボらんようにもっと働けと怒鳴り続けてやるからにゃあ!」

信長は家康の霊体をグイと引っ張り、無理やり江戸の方角を向かせた。

「おみゃあの一族はな、平和という名の労働刑に処されたんだわ。おみゃあは神、息子は社畜! これぞ俺が演出した、生者と死者の完璧な布陣だがや!」

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