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第47話:東照大権現と魔王
「織田さま……この金ピカの社、落ち着きません。せめて遺体くらいは、静かな場所で眠らせてくださいよぉ……」
日光の東照宮。完成したばかりの豪華な社の中で、家康の幽霊は、生身でピンピンしている信長の隣で小さくなっていた。信長は、家康の木像を足でリズミカルに蹴り続けている。
「ええ感じだがやタヌキ神様! おみゃあは今日から、この国の不動の重石なんだわ。おみゃあがこうして神として祀られとるだけで、徳川の天下は安泰だがや。俺がそう演出したんだで大人しく座っとれ!」
「ひぃぃ! 永遠に神様ごっこですかぁ!? 私は、のんびり雲の上で暮らしたかったのにぃ!」
「贅沢言うにゃあ! おみゃあの天国は、この黄金の檻の中だわ。俺が生きとるうちは、おみゃあの魂一粒たりとも逃がさんぞ。俺とおみゃあで、この国が腐っていくのを特等席で見守るんだがや!」
信長は木像の頭の上に無理やり冠を乗せ、満足げに高笑いした。家康は、死んでなお信長の演出の中に閉じ込められていることに涙を流した。




