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第42話:大坂冬の陣
「織田さまぁ……寒いですし、お腹も空きました。もう和睦して、温かいお粥でも食べて帰りませんかぁ!」
極寒の大坂城包囲網。家康は幾重にも着込んだ綿入れの中で震え、鼻をすすりながら懇願した。だが、信長はそんな家康の背中をドロドロの雪の中に蹴り飛ばし、その尻を踏みつけた。
「だまっとりゃあ、この寒がり狸! 和睦なんてのはな相手を油断させて、その隙に心臓をぶち抜くための時間稼ぎに決まっとるがや! おみゃあのその情けねぇツラで平和の使者を演じてこいと言っとるんだわ!」
「ひぇぇ! 嘘をつけと!? 私は、正直者で売っているんですよぉ!」
「おみゃあの正直面ほど胡散臭いもんはにゃあわ! どけっ、俺が直接挨拶してやるわ!」
信長は家康を突き飛ばすと巨大な大砲の前に仁王立ちした。自ら火縄を手に取り、不敵な笑みを浮かべて導火線に火を近づける。
「ええか家康、淀の悲鳴こそが最高のBGMだわ。ほれ、飛んでけえっ!」
ドォォォン! と内臓に響く轟音と共に信長が放った一撃が淀殿の寝所を直撃した。腰を抜かして雪の中にひっくり返る家康の横で信長は煙を吐く大砲を愛おしそうになでながら、冬空に狂ったような哄笑を響かせた。




