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第41話:国家安康の謀
「織田さま! 大変なことになりました! 秀頼殿が造った鐘に国家安康と刻まれておるのです。家臣たちは家と康の字を切り離して私を呪っていると大騒ぎですが……こんなこじつけ、あまりに無理がありませぬか?」
家康が冷や汗を拭いながら書状を見せると信長は、その紙を爪で弾き不敵に笑った。
「 こじつけだと? ほうだ、これ以上のこじつけはにゃあわ! だがな、理不尽であればあるほど、相手は言い訳ができんくなって追い詰められるんだわ。おみゃあがこれまで磨いてきた狸の尻尾を見せるのは今だがや!」
「ですが、世間は私が難癖をつけて豊臣を潰そうとしていると……」
「難癖でええがや! 平和ちゅうのはな、こうやって無理やり火種をこしらえて敵を根絶やしにした先にしか来んのだわ。おみゃあがこの文字を呪いだ、無礼だと言い張れば、それが天下の正義になるんだわ。それが権力というもんだがや!」
信長は家康の震える肩を掴み、その耳元で獣のように囁いた。
「ほれ、さっさと軍勢を集めろ。猿の息子を地獄へ送る最高の言い訳が手に入ったんだぎゃあ!」
家康は信長の冷徹な瞳に射抜かれ、震えながら豊臣討伐の軍令に判を押した。




