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第38話:家康と秀頼
「織田さま、秀頼殿は……あまりに立派になられた。知性も品位も、亡き太閤殿下を遥かに凌駕しておられる。殺すには、あまりに惜しい……」
二条城での会見を終えた家康は、控えの間でガタガタと震えながら冷えた茶を啜っていた。信長は家康の茶碗を奪い取って床に叩きつけ、その襟首を掴んで顔を近づけた。
「家康!! 惜しいだと? おみゃあ、あの小僧の目を見たか! あれは王の目だわ。おみゃあのような湿った狸を一飲みで食い殺す龍の目だがや! 俺の若い頃にそっくりで、反吐が出るわ!」
「ですが、秀頼さまは私を祖父のように慕い……」
「それが一番危ねぇんだわ! 賢くて情け深い主君など徳川にとっては毒でしかにゃあ。民も諸大名もあの輝きに惹かれて、おみゃあが築いた法度を全部ぶち壊すぞ。おみゃあが今日見たのは希望じゃにゃあ、おみゃあの墓標だわ!」
信長は家康の額を指先で強く突き、冷酷な笑みを浮かべた。
「生かしておけば必ず徳川は滅ぶ……あの首を獲れ。おみゃあが地獄へ持っていく土産に、あの美しい首を添えるんだわ。やらんのなら、今すぐアイツを俺が刺し殺したる!」




