37/50
第37話:名古屋城の築城
「織田さま……いえ、天海殿。名古屋城の設計図ですが……」
家康が恐る恐る呼びかけると、豪華な袈裟を着た信長は、突然それを脱ぎ捨てて家康の顔に投げつけた。
「もおええ、もう飽きたわ! 坊主のフリして経を聞くのはどえりゃあ肩が凝る! 天海なんて名前は、表向きの書類に書いときゃええ。二人きりの時は、織田さまでええがや。わしは、わしだわ!」
「ええっ! あれだけ好き勝手言って、もう飽きたんですか!?」
「うるしゃあ! それより名古屋だわ。わしの故郷にケチな城を建てるなと言っとるんだがや。大名たちが恨むほど巨大な石を運ばせろ」
信長は床に転がった数珠を蹴飛ばし、家康の背中を力一杯踏みつけた。
「この城は豊臣への包囲網だ。金のシャチホコで大坂を睨みつけ、猿の残党にもうおみゃあらの時代は終わったと引導を渡すんだがや。家康、俺の庭を日本一の要塞にしろ。できんかったら、おみゃあのケツに鯱を突き刺すぞ!」
家康は「結局いつもの織田さまだ……」と溜息をつき、史上空前の大工事を命じた。




