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煌彩  作者: ヒラ
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6話

今、なんて言った?

菜摘先輩も不思議そうな、いや、赤いな。顔が赤い。

 僕は今、不意に出た笑顔を見て好きという感情が溢れ出てくるのが分かっていたけど、

まさかの声にまで出てしまってたらしい。

「菜摘先輩えっと違くはないんですけどこれは違くて」もう勢いだ、今言おう

「今日告白するつもりでいつ言おうかずっと考えていました。僕と付き合いませんか」

 言った。もう後には引けないだろう。この関係がいい方向にに向いても悪い方に向いてもせめてご飯は行きたいな。僕の頭に残ってるのはそれだけだった。

「すごいタイミングで言ったね。こちらこそ、よろしくお願いします」彼女は笑顔で、思いがけないほど深々と頭をさげて僕の告白を受け入れてくれた。

 付き合った時、自分に彼女ができた時、これまで見ていた景色が一段明るくなったような気がする。僕は今にもスキップしそうな勢いを必死に隠し手を繋いで店に向かった。


 秋の夕暮れに吹く風は暑すぎず寒すぎず、そんな優しい風で僕達の背中を押してくれた。

 席に腰を下ろすなり始めは緊張してまた沈黙が流れるかと思ったが意外にもそんなことはなかった。

「今日からカップルだね」菜摘先輩が渡されたグラスに手をつけながら放ったその一言で、いつも通りの会話に戻るのは充分だった。

 付き合って最初の間は、中々実感が湧かないのは世界共通なのではないだろうか。頼んだ料理を食べ始め、菜摘先輩が料理に手をつけている所を見て今は僕の彼女なんだと考えてはニヤケそうになり気を紛らわすために料理を食べる。食事中はそれの繰り返しだった。

 前もご飯を一緒に食べに行った時はあったが、その時には気づかなかった事があった。彼女になったから初めてしっかり見たのかもしれないが、彼女は一つ一つの動きが凄く上品だった。例えば背もたれを使わないとか食器の音を立てないとかそういうものが彼女になってから気づき素敵な一面をまた知ることができたと思った。


 食事が終わり僕達は店を出た。外はもう暗くなっていた。食べてすぐ解散はお互いしたくなかったからコンビニで少しつまめるものでも買って公園でゆっくりしようと言うことで話が決まり向かった。秋の夜は少し肌寒い。夕暮れ時はあんなに丁度良かったのに日が沈み切ると羽織ものが欲しくなる程だ。


 コンビニに向かう途中、僕達は手を繋いで歩いた。今までしていなかったが恋人という括りに入れば手を繋いで歩くのはごく普通のことになる。凄く小さな事だし当たり前の事だけど、ただの先輩後輩の関係じゃなくなり恋人同士になったからこそ変わる小さな変化でだんだん付き合った実感がまた湧き出す。

僕はいつまでもこの新鮮味を帯びた感情を大切にしたいと思った。コンビニに着いたら僕達は初めて遊びに行った時と同じくレモンサワーと、つまみはレジの前にある揚げ物を選んだ。お店を出たら前回と同じように公園に向かいながらお酒を飲んだ。

付き合ったからなのか、中華の口の後だからなのかは分からないが凄く甘く感じた。

公園に着いてからは今まで通りたわいもない話で盛り上がった。ただ、前と変わったことがあるとすれば人目のない公園でハグを数回した。キスはまだしなかった。ある程度盛り上がりお酒がなくなったタイミングで帰る時間的にもちょうど良かったので僕達は重くなった腰を上げ歩き出した。菜摘先輩を送り届けた後、僕は駅に向かった。


 お酒を飲んだからか、風が心地良い。一人になったタイミングでだんだんと付き合った実感が湧いてくる。

これからは会う理由を考えなくていい。恋人なのだから。

これからは思う存分自分の気持ちを表していい。恋人なのだから。

声に出したいくらい嬉しいが外なので心の中でガッツポーズをする。秋の優しい風が包み込んでくれたこの瞬間、僕はこの日を忘れないだろう。直感的にそう思った。

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