4話
「映画始まるまでまだ時間ありますね、どこかで時間つぶします?」
「そうだね、んーでもどこかあったかな」
「近くの喫茶店とか行きますか」
「アリだね。そうしよっか」
僕達は映画の始まる時間まで喫茶店で原作の好きなシーンや全然関係ない話まで時間を潰すにはこの上ない場所で短い一時間を過ごした。
映画は原作の話と進行の仕方は同じで何気ない日常を描き続けている。まるで、僕たちの日常のようなシーンがストーリーとして描かれそのまま幕を閉じた。上映中、菜摘先輩はポップコーンやコーラには手をつけず画面だけを見ているタイプだった。一方の僕はポップコーンを食べるしコーラも飲む。更には、背もたれのポジションがむずむずして定期的に姿勢模索体制に入るときた。新しい場所に一緒に行くたび新しいお互いの一面を知ることができる。
ただ、姿勢が中々定まらずムズムズしていたのはどう綺麗事に言おうにも恥ずかしいから忘れてほしい。
「やっぱ最高だったね!」
「原作みたいなほのぼのした感じでずっと癒されちゃってました」
「わっかるう、ねえねえさっきの喫茶店で余韻会しない?」
「マジでありです行きましょう!」
本日2度目の喫茶店に来た。同じ喫茶店に行くのはおそらく僕達ぐらいだろう。菜摘先輩も僕も一度目に来た時と同じ飲み物を頼み奥の二人席に腰を下ろした。
「優弥くんめっちゃ体の位置探してたけどちゃんと見れた?」全然バレてた。まさか座って一言目で聞かれるなんて思ってなかったから倍恥ずかしい。
「ちゃんと見れてましたよなかなかポジション決まんなくて、、それは恥ずかしいから忘れてください」
「ふふ、覚えとくね」
勘弁してほしいが菜摘先輩の笑顔になる時に口を右手の拳を握り覆い隠すように笑う仕草が可愛くて何故だか恥ずかしいはずなのに嬉しかった。
「映画、どのシーン良かった?」
「んー、あのシーン好きでしたよ教室で放課後二人きりの時間に好きな子当てるシーン」
そう、あのシーンが一番誰もいない空間で二人の素で関われているような、まるでバイト終わりの僕達の一部を切り取ったようなシーンに僕は感じた。
「菜摘先輩はどのシーン好きでした?」
「私はねえ、授業中先生にバレないように二人で紙渡し合いっこして話してたところかなあ」
「ああいうの憧れてたんだよね、私もしてみたかったな」
菜摘先輩は一番コマ数が短かったところを選んでいたけど確かにあのシーンは良かった。僕は懐かしいと思いながら見ていたけど、菜摘先輩はしてみたかったと言っていたから学校でも優等生だったのかなと思った。
映画の話が進むにつれグラスの量は反比例して水位を落とさない。僕達は最近再開した学校での話やバイトの話、主に愚痴だが特にバイトでの店長の愚痴が一番盛り上がっていたと思う。なんだかんだと話していたらちょうど三時間くらい経っておりグラスも底をついてキリが良かったので僕達は店を出た。
行く前は凄く緊張していたけど、なんだかんだで楽しい一日だった二回目のデートも幕を閉じた。




