30話
高校に上がってからは入るグループ選びを間違えないように真剣に考えた末、物静かそうなグループで落ち着いた。自分でいうものでもないが割と根はうるさいタイプだと思う。中学の時のグループと相性が合っているのだろうが、高校なんて恋愛真っ只中の三年間を過ごす時に全く恋愛というものに触れれないのは静かそうなグループに入る理由には充分すぎた。
そんな高校生活も、私の入ったグループはみんな仲が深まる程どんどん良いところが見つかる人達で、なんだかんだこのみんなと仲良くなれてよかったなと思った。
許嫁を相談できる友達ができたのもこの時だった。
名前は花宮華奈。
名前に花が多くて私の名前と雰囲気が似ていると思ったのがきっかけだったと思う。華奈とは、まだ恋愛をまともにしたことが無いことや私の気持ちとは反対に両親は恋愛観について全然分かり合えない事など他の人とはできないような相談もたくさんした。
それ以外にもハマっているアイドルや好きな音楽とか恋愛以外の話もどれを話しても盛り上がった。初めてだった、なんでも打ち明けれる人に出会えたことが。
そんな楽しく、でも恋愛は依然と触れずに過ごしていた高校二年生頃、何をしても両親にイラつく時期がやってきた。反抗期だ。
元々恋愛に触れさせてくれなかったのも原因の一つではあると思う。でもそれ以上に、言動一つ一つが癪に障るように感じて、何をしてもスッキリしない感情が続いた時は自分が自分じゃないみたいで怖かった。そんな反抗期時期が治らず結局三年生になる頃には、早くこの家から出たいという感情が日に日に大きくなる一方だった。
両親には、東京に進学したいことだけ伝えて家にいる時はほとんどの時間両親の顔を見ずに部屋で過ごした。
初めは東京なんて危ないからやめなさいだとか、菜摘は結婚したら専業主婦でいいんだよと、両親側は喜ぶ提案だと思ってドア越しから話してくる感じは余計に私の気落ちをイラつかせた。
「私だって普通の恋愛したっていいじゃん!!!」
ドア越しでそう叫ぶ私の主張に両親は決まってしまったことは変えれないこと、父の先輩への恩があることなど綺麗事を連ねて、話を丸く収めましたみたいな雰囲気を作って下の部屋へ降りていった。
ふざけんな。
結局学校の先生にも相談したり、両親とも話す機会を作って説得を続けた結果、東京への進学は卒業したら帰ってくることを条件に認めてもらえた。
進学先が決まり、私は逃げるように東京へ向かった。とは言ったものの、初めの一年間は知らない環境でしたことのない一人暮らしでと不安が山積みでのスタートだった。
華奈とは週に三日程連絡するようになり、自然と一人で過ごす時間が増えて行った。
貯金もそれなりにはあったし両親とは仲が悪いまま東京に来たけど、離れた日の夜、携帯に長文でメッセージが送られてきていて私は少し泣いた。
内容はざっくり体へ気をつけることと、仕送りを送るから頑張れというメッセージだった。
初めの一年は貯金や仕送りだけでなんとかなったが、小さな町と東京では物価の値段も何もかもが違う。仕送りをしてもらっている立場でもっと送る額を増やして欲しいなど頼む勇気もなく、かと言ってこのまま残りのお金が尽きていくのも見るに耐えなくて両親には
「専業主婦になる前に社会経験をしてきます。」とかなんとか納得してくれそうなメッセージだけ送り私はバイトを始めた。
始めて一週間が立った頃、優弥くんが入って来た
「初めまして!中野優弥です!よろしくお願いします」
「初めまして、菜摘、紫雨菜摘です。よろしくね」
地元を出て東京に来てバイト先で後輩の男の子と出会う。
何かが、動き出しそうな気がした。




