22話
進級シーズン。
学校が終わり菜摘と合流しバイト先のコンビニに向かう。ふと考える、一年生の頃になんとなく選んだバイト先で菜摘と出会い、付き合い、バイトも同じ所で続けている。毎日が楽しく、当たり前のように過ぎていっているが、菜摘は今年でここのバイトが最後の年。
僕も就活が始まりなかなかバイトに行ける頻度が少なくなる。菜摘がやめた後続けている保証なんてどこにもない。ずっと当たり前に続くと思っていた現状もただ生きてるだけで変化していく。現実から目を逸らし続けていた。
菜摘が最後の年、この年が終われば遠距離が始まる。悔いなく全力で毎日を大切に過ごそう。僕は心の中でそう誓った。
あれから一週間、付き合ってから菜摘の二度目の誕生日。去年約束した花見の日。僕は昨日から予約していたレンタカーで朝から菜摘を迎えに行き車の中でプレゼントを渡した。
「菜摘、誕生日おめでと〜!」
「ありがとー!」
「はいこれ、誕生日プレゼント。開けてみて」
「いいの!開けるね。ネックレス?」
「そう。一年記念日に行ったお店でずっと見てたネックレスあったでしょ?絶対似合うと思ってあげたかったんだ」
「ほんとよく見てるね私のこと」
「もちろん」
「ありがとう。大事にするね、今日のデートで着けちゃお」
喜んでもらえて良かった。菜摘は気に入ったものがあるとよく見入っている。僕は絶対にそれを見逃さないからプレゼントしたい物がまだいくつもある。毎年一つずつプレゼントして毎年菜摘の笑顔を見ていたいなと改めて僕は思う。
「じゃあ今から少し長旅だけど朝早かったし眠かったら寝ていいからね」
「大丈夫、起きてるよ」
「無理しないでね」
僕達は新潟の高田城址公園を目的地に車を出発した。運転中僕達は福島へ旅行に行ったようにお互いの好きな音楽を流した。
今回は「Hilcrhyme」の「トラヴェルマシン」を一曲目にかけて走り出した。隣を見ると菜摘もノリノリだった。幼少期に両親が旅行に行くたび流していた曲だ。今ならこの音楽を流す気持ちがわかる気がする。音楽のテンポや歌詞が旅行の気分を一段階上げてくれる気がする。今回も事前に二つずつ行きたい目的地を決めている。僕は高田城址公園と高田世界館にした。
高田世界館は日本最古の映画館らしく、そこでは過去映画の再上映がやっているらしい。この前途中でリタイヤしてしまった恋愛映画が僕達の行く日に再上映されると調べたサイトに書いてあったから行ってみたかった。
菜摘は僕達が泊まるホテルから行ける距離にあるマリンピア水族館と新潟駅内にあるぽんしゅ館に決めていた。
なんでも調べると、新潟は地酒の数が多いで有名らしく日本酒は二人とも飲む時があったので行ってみたかったらしい。
いくつかのパーキングエリアで休憩を挟み目的地に着いたのはお昼頃だった。人気なだけあって駐車場はどこも満席で誘導警備員の顔も引き攣っている。僕達もかなり探してやっと止めれた場所は公園からだいぶ離れた大学近くの駐車場だった。花見の季節は駐車場を開放しているらしく誘導してくれたお兄さんもいい人で助かった。
僕は公園に着き人の多さに困惑した。菜摘は昔、県が近いこともあり何度か来たことがあるみたいで平気そうだった。一方の僕は東京で何度も人の多さにやられているはずなのに県外の人混みには慣れれる気がしない。
桜を横目に僕達は屋台の方へと足を向かわせた。この季節限定なのか屋台の量は驚くほど多かった。自販機で飲み物を買い屋台で新潟でしか食べれないらしいポッポ焼きを買った。細長く延棒のような見た目だがカステラを連想させる香りで凄く甘かった。黒糖をベースにして作っているらしい。朝から休憩の度飲み物しか口にしてなかった僕達は他にも唐揚げやたこ焼きを買い、近くの椅子に腰を下ろした。




