21話
冬休みが終わりを迎える日、菜摘が帰ってきた。どこか吹っ切れた顔をしていて就活が上手くいってるんだなと思った。嬉しかった。
学校が始まりしばらく一緒にいたがお互い試験期間がやってきたため会う頻度を少し減らした。菜摘が帰省していた時に比べたら会う頻度が減るくらいどうってことなかった。遠距離もこれくらいの心意気でいれたらなと思ったが怖くなり考えるのをやめた。
試験を終え、またいつも通りの日常が戻る。
早くも進級の時期が見え出す。去年もあっという間だった。誕生日祝い、花火大会、一年記念日、クリスマス。あっという間に一年が終わり去年同様に一日の体感速度は増すばかりだ。
進級前にまだ二つ残っているイベントがある。バレンタインとホワイトデーだ。
去年も一応もらったが二人とも旅行の余韻もあったりでバイトの休み希望日を出すのを忘れていたのだ。当然のようにお互いシフトを入れられてしまっていて、バイト上がりに一緒にチョコを食べたが本当にその日はチョコやスイーツの商品達が飛ぶように売れて忙し過ぎたため、あまりお互いに構うことができず終えてしまったイベントだ。
今年は勿論どちらの日も休み希望を出していたので僕も菜摘も楽しみにしているイベントだ。
菜摘は手作りを渡したいと張り切っていて、僕達は夕方ごろ駅で待ち合わせをする予定だった。
「優弥くん、ハッピーバレンタイン〜!」
家に着くなり菜摘が可愛らしい袋に包んでる手作りチョコを持ってきてくれた。
袋を開けるとクオリティの高いマカロンが入っていた。
「ありがとう。凄い美味しそうなマカロンだね」
「レシピ見ながら頑張ったよ。マカロン好き?」
「よく食べるわけではないけど好きだよ。美味しいし、貰えると嬉しい」
「よかったあ、お口に合うといいんだけど」
菜摘の作ったマカロンはほんのり甘く優しく包み込んでくれるような味だった。
「凄く美味しい。店出せるほどだよこれ」
「褒めすぎだよ、店のには勝てないよ」
菜摘は随分と謙遜していたけど本当に恋人が作ったフィルターを抜いても美味しかった。
ホワイトデーのお返し、考えるの楽しみだな。食べながら僕はそう思った。
あれから一ヶ月。
ホワイトデーの日僕は駅で菜摘を待っていた。
「お待たせ。待った?」
「全然、今来たとこだよ。」
「はいこれ、お返しの」
僕はお返しにデパートで少しいい値段のするチョコと花を一本渡した。
「これなんの花?」
「アネモネ」花言葉はあなたを愛します
「僕の一番好きな花なんだ。どうしても渡したくて、」
「綺麗だねすごく。嬉しい、ありがとう」
菜摘はそんなに嬉しかったのか少し目の下が赤くなっていた。
進級前に恋人とできる思いつく限りのイベントを楽しみきった。
そんな僕が二年生の、菜摘が三年生の最後のイベントが終わり四月を迎えた。




