20話
街がクリスマスイベントで彩られている日、僕達は少し険悪なムードだった。理由は、僕はまたしばらく菜摘が帰ってしまうからと張り切って楽しいことを考えていたのに、また最近菜摘の表情が暗く僕がどれだけ楽しそうな案を出しても肯定はしてくれるけど楽しんでくれてはいなかったからだ。カップルなら誰しも一度はある気持ちのズレみたいなものだと僕は思った。僕も菜摘もほんとは嫌いじゃないし好きなままなのは当然なんだけど少し意地を張ったせいで流れの切りどころを失ってしまった。ただそれだけのことだった。
今日はクリスマスだしこんな気持ちで離れるのは嫌だったから僕は菜摘に「イルミネーションを見に行こうよ」と誘った。
菜摘もこの険悪な空気を断ち切りたかったけど断ち切るタイミングを見失っていたから僕の提案に被せるように「うん。行こう」と返してくれた。
外は冷たい風が僕らを包み込んで、吐いた白い息が上空に上がっていくのを見上げて僕は今年の終わりを実感した。
「菜摘」
「優弥くん」
「ごめんなさい」同時だった。
お互い付き合ってから喧嘩なんてしたことなかったから謝るタイミングがわからなかっただけなのだ。一度仲直りしてしまえば僕達はいつも通りの日常に戻り、距離感は前よりも縮まった気がした。
「イルミネーション綺麗だね」
「うん、綺麗」
「明日から頑張ってね。無理しない程度に」
「うん、ありがとう。連絡沢山するからね」
「程々でいいよ。久しぶりに帰るんだからゆっくりもしたいだろうし」
「ありがとね」
いつもの温かい雰囲気。何度でも思う。僕はこの何気ない会話をしている時間が好きだ。いつまでも続いてほしいと思うしいつまでも続いていくものだと思っている。一通りイルミネーションを見歩いたところで近くのケーキ屋さんに入りショートケーキを二つ買い家に向かった。菜摘は明日帰るため家でケーキを食べて少しゆっくりした後、駅まで見送り自分の家へ帰っていった。
クリスマスイベントも終わりを告げ数日経ち今年も終わりを迎えた。どうやら来年の初詣も友達と行くことになりそうだ。




