19話
「おいしくないね」
「うん、おいしくない」
「大人の味だね」
「うん、大人の味」
僕も菜摘も葡萄味を想像していたけど口に入った瞬間ぶどうの香りよりも先にアルコールの味が届いて今の僕達にはまだ美味しさがわからなかった。
「なんか、想像してたのと違ったね」
「うん、もっと甘いものだと思ってた」
「まだ美味しさ感じれるようになるのは先になりそうだね」
「酎ハイ持ってくるねワインはまたいつか飲もう」
僕はしばらく飲まないであろうワインを棚の奥にしまい冷蔵庫から酎ハイを二本取り出し持っていった。
二人でテレビを前にチキンやピザを手に取る。僕は反対の手でリモコンを持ち、慣れた手つきで一緒に見る映画を決めながらしながら菜摘に聞く。
「いつから好きだった?」
菜摘は不意に聞かれた質問で聞いてなかったのか聞き返してきた
「いつから僕のこと好きだったの?」
「えー、いつからだろう。告白された時はもう私も好きだったよ。いつからって聞かれたら思い出せないけど、優弥くんはいつから私のこと好きになった?」
「僕?僕は初めて会って話していくうちにだんだんとだよ」
「えーなんかずるい優弥くんもちゃんとした日は覚えてないじゃん」
「ごめんごめん、気になったから聞いたけど僕も思い返したら好きになった日は曖昧だったね。でもなんとなく気持ちに気づいたタイミングは覚えてるよ」
「どんな時?」
「バイト被る日が多くて話すこと多かったじゃん?」
「うんうん」
「話してる時にたまに手で口を隠して笑うでしょ菜摘は」
「うん。昔から癖なんだよね」
「その時の笑った顔にだんだん惹かれてったかな。それでなんか話してた時に、あー好きだなって思ったんだよ」
自分から聞いたのに結局自分の話をしていることに気づいてなんだか恥ずかしかった。
映画は昔の恋愛映画を流した。前から気になっていたけど入会しているサブスクではまだ見れてなかったからちょうどいいタイミングだった。
恋愛映画では性描写が必ずと言っていいほどある。家に二人きり、恋人同士、一年記念日。これほどまでに相手を抱きたいと思う感情に陥らせるシチュエーションは他にないだろう。映画途中でも関係なく僕は隣に座っている菜摘の唇に僕の顔を寄せた。
お酒も回ってきていた僕たちはいつも以上に獣のような格好で愛をぶつけあった。記念日だからと、今までしたことのなかった体位や昼に買ったコスプレとか、いつもとは違う雰囲気でする行為はなんだかすごく気持ちよかった。映画も終わりが近づいたであろう時に僕達の行為も終わりを迎えた。映画はまた今度見ようと思いテレビを消した。
菜摘は既に隣で目を瞑っていて、僕も横顔を見ながら眠りについた。
一年記念日を祝い、コンビニのハロウィンキャンペーンを乗り越え、あっという間に冬休みの時期が近づいてきた。菜摘は冬もインターンに行くらしく、またしばらく遠距離になるからクリスマスだけは一緒に過ごそうと決めた。




