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第八章 エネルギーと情報
最後に残ったのが、エネルギーと情報だった。
最初は別々に考えていた。
エネルギーが存在する。
その状態を情報として記述する。
だから、
エネルギーが先で、情報が後。
そう思っていた。
だが、それでは時間的な前後が生まれる。
先にエネルギーがあり、その後で情報が生まれる。
では――
「先」という概念は、どこから生まれた?
時間そのものが宇宙の性質なら。
宇宙が存在する以前の「以前」を語ることに意味はあるのか。
男は椅子から立ち上がった。
「待て……」
エネルギーとは、存在している状態そのもの。
情報とは、その状態の構造。
ならば。
エネルギーと情報は、最初から別々だったのではない。
同じ存在を、違う角度から見ていただけではないか。
AIの画面に、一行だけ表示された。
「存在という一つのものを、エネルギーと情報という二つの言葉で表現しているのかもしれません」
男はしばらく何も言わなかった。
そして、
「……宇宙のデバッグ、だいぶ深いところまで来たな」
と呟いた。




