4/24
第三章 生命という名の保存装置
そこで問題になったのが、生命だった。
生命はなぜ、存在を続けようとするのか。
食べる。
成長する。
増える。
そして次の世代を残す。
男はDNAについての説明を読みながら言った。
「結局、生命って情報をコピーしてるだけなんじゃないか?」
身体そのものは変わっていく。
細胞は入れ替わる。
子供は親とは違う。
それでも、何かが受け継がれている。
遺伝情報。
記憶。
文化。
言葉。
経験。
名前。
物語。
男は画面から目を離した。
「じゃあ、“自分”って何なんだ?」
AIは答えた。
「情報の連続性、と考えることもできます」
肉体ではない。
魂という物質でもない。
情報の連続。
もし、それが「自分」を作っているのだとしたら。
死とは、本当に存在の消滅なのだろうか。
それとも――
情報の状態が変化するだけなのか。
男はその問いを、すぐには次の質問に変えなかった。




