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第十九章 神は誰に証明するのか

その夜。

男は再び神について考えていた。

「神がいるとして」

「はい」

「神は自分が神だって、どうやって知るんだ?」

AIが答える。

「興味深い問題です」

「神が自分一人しかいなかったら?」

「比較対象がありません」

「そうだよな」

男は考えた。

唯一絶対の存在。

それは、

「自分が唯一絶対である」

ということを、どうやって確認するのだろう。

他の何かが存在しなければ、「唯一」という概念すら成立しない。

男は目を見開いた。

「……神には、世界が必要なんじゃないか?」

神が神であるためには、神ではないものが必要になる。

神が創造主であるなら、創造されたものが必要になる。

神が全知なら、「知る対象」が必要になる。

神が存在の根源なら、存在するものが必要になる。

つまり――

神は完全に孤立して存在することができないのではないか。

神自身を示すために、神ではないものを必要とする。

「ってことは」

男は呟いた。

「神は世界を作ったんじゃなくて……」

「世界によって、自分を神として証明している?」

「そう」

男は笑った。

「神様も結構めんどくせえな」

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