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第十八章 無駄の存在証明
男は机の上にある消しゴムを手に取った。
「これ」
「はい」
「今ここに置いてあるけどさ」
「はい」
「この消しゴムに宇宙的な意味があると思う?」
「宇宙的な意味については判断できません」
「だよな」
男は消しゴムを机に置いた。
「でも、存在してる」
「はい」
「じゃあ、存在してるってだけでいいんじゃねえか?」
AIは答えた。
「その考え方なら、意味や価値は存在の条件ではありません」
男は頷いた。
「意味があるから存在してるんじゃない」
「存在してるから、後から人間が意味をつけてる」
「はい」
「じゃあ、意味がつかなかったものは?」
「存在したままです」
男は消しゴムを見つめた。
意味を失っても存在は消えない。
価値を失っても存在は消えない。
役割を失っても存在は消えない。
誰にも必要とされなくても、存在そのものは取り消されない。
「……強いな」
男は小さく笑った。
「じゃあ、無駄なものなんてないんだな」
AIは少し考えてから答えた。
「『無駄』という状態まで含めて存在している、と考えるなら」
男は笑った。
「屁理屈みたいだけど、逃げられねえな」




