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第十五章 証明の輪

宇宙は存在する。

だから、宇宙の状態がある。

その宇宙の中で、星が生まれる。

星が存在することで、宇宙はまた別の状態になる。

星の中で元素が作られる。

惑星が生まれる。

生命が生まれる。

生命は情報を複製する。

情報は記憶される。

記憶は意識を作る。

意識は宇宙について考える。

そして宇宙は、

自分自身について考える存在を生み出す。

その存在が、

「なぜ宇宙は存在するのか」

と問いかける。

その問いそのものが、また宇宙の状態になる。

だから、

存在証明には終点がない。

証明は存在を示し、存在は新しい証明を生む。

証明されたものは、次の証明へつながっていく。

それは直線ではない。

始まりも終わりもない。

輪になっている。

男は最後にAIへ尋ねた。

「じゃあ、宇宙が消滅したら?」

しばらくして、返答が表示された。

「その問いを考えている今も、宇宙は存在しています」

男は画面を見て、少しだけ笑った。

そして最後に、こう入力した。

「じゃあ、俺が何も意味のないことをしてても?」

AIは答えた。

「存在している限り、それもまた存在の一つです」

男は椅子に深くもたれた。

窓の外では、朝が始まっていた。

鳥が鳴いている。

車が走っている。

誰かが眠っている。

誰かが働いている。

誰かが笑っている。

誰かが泣いている。

宇宙のどこかでは、誰にも知られない星が生まれ、誰にも知られない星が消えている。

それらに意味があるのかは分からない。

だが――

意味がなくても、存在している。

そして存在している以上、それは何かを示している。

男は、紙に円を描いた。

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