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26・畑改修します

 畑に戻ってきた私たち、セタ君はひたすら師匠は凄いと言い続け、リド様はまた勝負しろとしつこく言ってきます。


 ルッツ様とトーラス君は別の用があると校舎へ戻っていきました。


 殿下とクランゼ兄弟、あとマイク様はしっかり付いてきます。


「あと少しで草刈りは終わりですね」


 私はアイテム袋から、テーブルと椅子を取り出して殿下たちに勧めました。


 殿下とマイク様、クランゼ兄弟も椅子に腰を下ろしました。


 私は草刈りを始めようとしたところで、殿下が話しかけてきました。


「フィリア嬢はどうしてこんな所で畑をやっているんだい?」


 それを聞いてくるのですか?


 私の真の目的は伏せて言います。


「土をいじることで食べ物のありがたみを感じるためですわ」


 確か前にオーブル先生とカトラス生徒会長にも同じことを言ったはずですわ――たぶん。


「そうか、偉いんだな君は」


 しみじみ言わないでください。


 なんか罪悪感が……。


 私はセタ君を見ました。


 そこに何故かリド様も一緒になって剣を振っています。


「そういやセタよ、お前あいつのことを師匠と呼んでいたな」


「はい。 フィリア様に弟子入りしました」


「はぁ? お前冒険者やってんだからギルドでもっとつえー奴に教わりゃいいじゃん」


 二人は剣を振りながら話しています。


「師匠の戦いぶりが、僕の目指す形に一番近いからです」


「ふーん……たしかにあいつ強かったな。 俺もあそこまで負かされたのは親父以来だ」


 話しながら剣を振り続けている二人。


 私は殿下に向き直り、演劇の稽古の続きをしますか? と聞いた所――


「今はマイクがいるからまた今度で」


 と、小声で言ってきました。


 殿下、マイク様に苦手意識が芽生えてしまったのでしょうか。 笑顔が引きつっています。


 殿下は私の草刈りを興味深そうに見ています。


「フィリア嬢、君は面白い魔法を使うね。 それはなんだい?」


 草刈りを見ていた殿下が気になっていたようです。


「これですか? これは草刈り魔法ですわ」


「そんな魔法もあるのか」


 あるかどうかは知りません。


 私が適当に作っただけですから……。


「なら、台詞合わせでもいたしますか? そろそろ本番も近くなっていますし。 サイラス様やイコラス様もいらっしゃるので、その部分だけでも」


 私が提案すると殿下も「それはいいな」と言ってくださったので、クランゼ兄弟の登場するところからやることになりました。


 私はアイテム袋から、ポットと人数分のカップを用意し、お茶をいれました。


「では、アイラが追い出され、実家に帰ったところからですね」


 私が台本を広げて言うと、兄弟はお互いやる気を見せてくれました。


「イコラス、俺の足を引っ張るなよ」


「兄さんこそ、僕の邪魔はしないでよね」


 お互い目を合わせて、何かがバチバチ見えるようでした。


 やる気……違いませんか?



 数時間後――。



 台詞合わせをしていたらかなりの時間がたっていました。


「もうこんな時間だね、今日は終わろうか」


 殿下が言うので、台詞合わせは終わりとなります。


 その間リド様とセタ君はずっと剣を振っていました。


 あの二人、いつの間にか仲がよろしくなっていますわね。


「そうですわね、後は本番に向けての通し稽古があるくらいですからね」


 通し稽古は、レコラさんが講堂使用許可を取ってくださる予定になっていますから、それまで待つことにいたしましょう。


「そういうことで、僕たちも本番が始まるまで、ここに通わせてもらうとしようか」


 ……はい? 今なんとおっしゃいましたか?


 というか、殿下ここに通っていたら、ご自分の練習が出来なくなるのでは? 先ほどまた今度って言ってましたわよね?


 そんなことより、ここには屋根も何も無くてよ?


 困りましたわね、テラスでも作りますか?


 後、着替えも出来るような小屋も欲しいですわね。


    *


「と言うわけで、畑にテラスと小屋を作ろうと思いますので材料が欲しいですの!」


 私は事のあらましをサシャに伝えました。


「それはまた、面白いことになっていますね」


 そう言ってサシャはメモに必要な物を書き出していきます。


「殿下たちもいらっしゃるのですよね?」


 確認してきたサシャに私は頷きました。


「後はうさぴょんの小屋ですかね……」


「何故うさぴょんの小屋ですの?」


 サシャはうさぴょんを抱きかかえて言いました。


「いつも部屋の中だけでは息が詰まりましょう。 うさぴょんだって土を触りたいでしょう」


 なるほど。


 確かにずっと部屋にいるより健康的ですわね。


「わかりましたわ。 材料が揃い次第、フィリア畑の改修工事ですわ!」


「いえ、お嬢様のお手を煩わせません。 私が知人を当たってみましょう」


 そう言ってサシャは出かける準備を始めました。 あの、黒い服を身に纏って――。


「朝には戻りますので。 うさぴょん、お嬢様の護衛を任せましたよ」


「キュッ」とサシャに向かって敬礼をするうさぴょん。


 サシャはうさぴょんに何を仕込んでいるのでしょうか……。


 うさぴょんの敬礼を見て、サシャは部屋を出て行きました。


「このような遅い時間でも大丈夫なのでしょうか?」


 きっとサシャにも考えがあるのでしょう。


 ここは任せましょう。

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