24・フィリア畑に重鎮揃い
『師匠?』
クランツ様以外に、一緒にいた二人も声を揃えてました。
「君、詳しく教えてくれないか?」
クランツ様、それはどうでもいいことでは?
それでもクランツ様は興味津々のようです。
「は、はい。 実はこの前フィリア様と冒険者ギルドで依頼を受けることになりまして、その時のフィリア様の戦いぶりを見て、僕の目指す冒険者の姿を見たからです!」
セタ君……そんなに力説しないでください。
ほら、クランツ様も何か感心しながら聞いてますよ?
「君はやはり面白いな」
私、面白がらせているわけではありませんわ。
「確かに、今使っていた魔法も興味があるねしね。 おっと。 失礼したね、お久しぶりです、フィリア嬢」
確か、キルデ様でしたよね?
「はい、お久しぶりです、キルデ様」
私は農作業服で貴族淑女の挨拶をしました。
「くっくっくっ――。 その姿でその挨拶は斬新だな」
クランツ様が笑っています。
何気にここまで笑うクランツ様は初めて見ました。
「すまない。 話がそれてしまった」
クランツ様……本当ですよ。
「礼というのは、アルベンに来てくれたことは何より、別れ際に頂いた物の礼をどうしても言いたくてね。 君の実家に行く前にフィリア嬢に会っておきたくてね。 迷惑だったかい?」
別に迷惑ではありませんが。
驚きました。
「いえ、迷惑だなんて思ってもいませんわ」
「そう言ってもらえて良かった」
よく見るとクランツ様の憑かれた感じが少し和らいだような感じがしますね。
マイラー先生も言ってましたが、あのキノコと蛇は薬の材料にもなるからきっと煎じて飲んだのですね。
「フィリア嬢、前に渡した腕輪はどうですか?
調子いいでしょ?」
キルデ様が腕輪のことを言ってきましたが、何のことですか? 腕輪ならずっとしまっていますが?
「すみません、キルデ様。 腕輪は部屋にしまってありますよ? 折角の頂き物ですから」
あれ?キルデ様の様子がおかしいですわね。
「い、一度も使っていないのですか?」
あれ?なんですかその絶望したようなお顔をわ。
「えと、あれは私に合わせて作っていただいた、ただの腕輪ではないのですか?」
キルデ様が地面に手をついてしまいました。
一体どうしたというのですか?
「あれは君が魔力が少ないということで、作った魔力回復の腕輪なんだよ。 説明したよね?」
説明? 覚えがありませんわ。
「申し訳ないのですが、説明というか、腕輪をいただいたとき、キルデ様のやらかしの方に話がいってしまって、その……何も聞いていないのですが」
私が当時のことを言うと、クランツ様が思い出したように言いました。
「そういえばキルデ主任がフィリア嬢に腕輪を、まるでプロポーズをするように渡しいてから話がおかしくなりましたね」
プロポーズと言う言葉に、何故かルッツ様が声を上げていました。
それをトーラス君が「たぶん違うと思うよ?」と言ってますね。
何が違うのでしょうね。
それよりもキルデ様です。
「そ、それは本当かい? クランツ君!」
いつまでも地面に手をついているキルデ様が首を上げてクランツ様に聞いています。
「ルベルトも聞いていたよな?」
クランツ様お付きのルベルトさんも「確かに一度も説明をされていませんでした」と、淡々と答えています。
「何てことだ、僕としたことが」
キルデ様は立ち上がり、姿勢を正して私に向き直りました。
「フィリア嬢、腕輪は発動させると装備者に魔力を供給してくれるように作ったんだ」
「そうだったのですか。 それは大変な物をいただきありがとうございます」
そんなに凄い物だったのですか?
早く言ってくださいな!
しかし、今の私は闘気を練習していますのよね……あ、もしかして、両方使えないですかね。 明日から練習してみましょう。
「何か面白いことを話しているね」
突然現れたのはランディル殿下と、Sクラスの面々です。
「え? ランディル殿下!」
キルデ様が驚きと同時に跪きました。
それに併せてクランツ様とルベルト様も跪きました。
「三人とも、ここは学園だよ。 それはよしてくれ」
殿下が言うと、三人は立ち上がりました。
「ランディル殿下は何故ここに?」
キルデ様は殿下がここに来ることに驚いていました。
「何、僕の練習相手のフィリア君がここにいるからね。 ここに来るのも別段おかしくはないだろう」
殿下が言うと、クランツ様が気がついたようです。
「ひょっとして、学園の演劇でしょうか?」
クランツ様が聞くと、殿下が「そうだよ
」と言って微笑んでいます。
「おお、そうか。 もうそんな時期なのか!」
キルデ様が手を叩いて納得しています。
「ランディル殿下とフィリア嬢を練習相手としているということは、殿下はさぞ素晴らしい役なんでしょうね」
クランツ様が、それは楽しみだと言っています。
そんなクランツ様とは裏腹に、殿下の表情が曇っていくのでした。
「そうだね、僕はちょい役だけどね」
殿下がそんなことを言っていました。
どうして、はっきりと役を言わないのですかね? ひょっとしいて当日に驚かすつもりですね。 なら私はが口を出すことではありませんね。
しばらくみなさんと話し合ってから、クランツ様とルドルフさん、キルデ様は、モンティーレ家に向かうと言うことで去って行きました。
私は去り際に、クランツ様にもしよろしければ演劇を見に来てくださいと言っておきました。




