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18・突撃!ラザリア

 オーブル先生とレコラさんに、フィリア様の指導許可を貰いました。


 寮に戻ったら早速尋ねてみましょうか。


 私はチャーニさんを引き連れて、女子寮に向かいました。


 フィリア様の部屋は三階。


 私の部屋は同じ階ですが、階段を挟んで私の部屋は、フィリア様の部屋と反対側になるのです。


 私の後ろからチャーニさんが声をかけてきました。


「あの、私なんかがここに入ってきても大丈夫なんでしょうか?」


 なるほど、チャーニさんは平民でしたものね。


 いつもは、学園内で対等に接していても、貴族が多いこの寮では落ち着かないはずです。


 そこは私の配慮が足りませんでしたね。


 私はチャーニさんに向き直り、手を取って言いました。


「チャーニさん、そこまで気にすることはないです。 あなたは私のお友達です。 いつものようにしてください」


 チャーニさんに微笑み、少しでも緊張を和らげてあげます。


 彼女は一度深呼吸をして落ち着いたようです。


「もう、大丈夫です」


「なら行きましょう」


 一度自分の部屋へ戻ります。


 私は自分の部屋の扉を開けて中へ入ると、部屋の中央でメイドがこちらを向きながらお辞儀をしています。


「お帰りなさいませ、お嬢様」


「ただいま、ペナ」


 私はメイドのペナに挨拶をすると、ペナは頭を上げてから、テーブルへと向かい、席へ誘導してきます。


「ささ、お嬢様。 お茶の用意ができています。 お連れのお客様の分もご用意してありますので、どうぞこちらへ」


 いつもながらのペナの手際の良さには驚きますわね。


 でも、人を連れてくるなんて一言も口にした覚えはないんですが……。


「おや、不思議そうな顔をしてらっしゃいますね。 いつも言っているではありませんか。 メイドの嗜みだと」


 ……らしいです。


「ささ、そちらの可愛いお嬢様も」


 ペナの誘いにチャーニさんは私を見てオロオロしています。


「座ってください」


 私はお茶の用意がされている席へ手を差し向けました。


 それを見た彼女は席へ向かい、ペナに椅子を引いてもらいました。


 彼女が席へ着いてから、お茶を楽しみました。


「お嬢様、この後フィリア様の部屋へ行かれますよね。 でしたら修羅場には気をつけてください」


 ペナの意味のわからない言葉に私はチャーニさんを見ました。


 それに気がついた彼女も首を横に振っていました。


 ペナは細い包みを持ちながらチャーニさんの所へ向かいました。


「ペナ、何ですかそれは?」


 ペナは私の言葉を無視して、チャーニさんに細長い包みを渡していました。


「え……えーと、ペナ、さん? これは」


 チャーニさんもよくわからないようで、ペナに尋ねています。


 その言葉を聞いて、よくぞ聞いてくださいましたと言わんばかりに胸を張って答えました。


「それはラザリアお嬢様が暴走した時に役に立つ、便利アイテムです。 これからチャーニ様には何かと必要になる代物かと」


 え? 何で私の暴走が前提で、チャーニさんに必要なの!?


 それにその紙の束、何処かで見たような気が……。


「ペナ、それは一体……」


 私が言いかけた時に、ペナがチャーニさんに渡したものと同じだという物を取り出して説明をし始めました。


「はい。 これはハリセンですね。 今朝もメイドのサシャさんに渡しました。 役に立っていたでしょう」


 お前か!? あのハリセンはお前の仕業か!?


 ……とりあえず気を取り直しましょう。


「あ、あの。 ペナさん?」


 チャーニさんがペナに質問しました。


 何でしょうかね。 気になります。


「何でしょうか、チャーニさん」


「どうして私の名前知っているんですか?」


 そういえば、ペナには一言も言ってなかったはずです。


「それは当然、私がメイドだからですよ」


 ペナ、本当によくわからない人です……。


「メイドさんって、凄いんですね!」


 騙されないでください、チャーニさん!


 ペナがおかしいだけです!


「そうです。 メイドは凄いのです」


 誇らしげに胸を張るペナ。


 チャーニさんには後で言っておきましょう。


 ペナが特殊なだけだと。


「チャーニさん、時間も惜しいのでそろそろ行きましょうか」


 私は席を立ち上がると、チャーニさんも立ち上がりました。


「それではお気をつけてください。 チャーニさん」


 ペナが私ではなくチャーニさんに言いました。


「ペナ、私には?」


「いってらっしゃいませ」


 なんか解せませんわね。


 私とチャーニさんは部屋を出て、フィリア様の部屋へと向かいました。


「ラザリア様、この寮はかなり広いのですね」


 包みに包まれたハリセンをしっかりと抱えながら廊下を見渡していました。


「そうですね、庶民の感覚だと広いかもしれませんね。 それとですね、多少大声を上げたくらいでは寝屋の中まで聞こえないようになっていますが、何かあれば警報が部屋の中まで鳴り響きます」


 簡単な説明をチャーニさんにしながら歩いていると、あっという間にフィリア様の部屋へ着きました。


 ここからです、ここからですわね、ラザリア!


 今こそ突撃です!


 心の中で気合を入れて、扉をノックしました。


 すると、待つことなく扉が開かれ、メイドのサシャが

出迎えてくれました。


「これは、これはラザリア様とチャーニさん。 お二人揃ってどうしましたか?」


 サシャは要件を聞いてきました。


 当然ですね、特に約束などしていませんでしたし。


「今日の台詞合わせの件で、私がフィリア様の指導役となりました。 オーブル先生とレコラさんにも頼まれましたわ」


 買って出たけど、、頼まれた事には違いありませんらのね。


「そうでしたか、では中へどうぞ」


 サシャは私とチャーニさんを部屋の中へ案内してくれました。


 はぁ〜……、フィリア様のニホイ……。


 私は誰にも気づかれないように、小さく深呼吸しました。


 ですが、隣に立っていたチャーニさんが包みからハリセンを取り出していたのが気になります。


 私はゆっくり部屋の中を観察すると、窓側に設置されたテーブルで、お茶を嗜んでいたフィリア様を発見しました。


 ……それと、見知らぬ女が向かいに座っているのは何事ですか!?


「コー……ホー……」


 私の意識が暗く染まりそうになった時——。


 スッパーン!!!


 激しい音と、後頭部に伝わる衝撃で意識が戻りました。


「……今、何かありましたか?」

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