↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
59/85

16・台詞合わせを始めましょう

 休み前、女子寮の寮母さんにフィリア君付きのメイドに手紙を渡してもらうように頼みました。


「あの手紙、今頃親元に届いているでしょう。 酷くなる前に対処しておけば彼女も少しは淑女らしくなるはずです。 メイドの方には大変な仕事を押し付けてしまった感はありますが」


 そのせいでメイドさんが酷い目に遭わなければいいのですが……。


 ま、フィリア君ならそんな事はしないでしょう。


 僕は職員室へ入って行きます。


「おはようございます」


「おはようございます、オーブル先生」


「オーブル先生、おはよう」


 僕は自分の机に移動すると、机の上に一枚の紙が置かれていた。


 嫌な予感がするが、僕はその紙を手に取り、内容を確認すると——。


 メイド宛に書いたもう一枚の手紙。


 ……実家にこの手紙を届けてくださいと書かれた手紙。


 もし、メイドさんがあの手紙を読んで主である彼女に不敬を働いたりしないだろうか……。


 僕は怖くなったよ……。


「……僕も休みでボケてきたかな」


 隣で僕の独り言を聞いていた先生は、


「ははは、朝から面白い事を言っていますね。 オーブル先生」


 僕を見ながら笑っていたよ。


 仕方ない。


 後で僕が直々にメイドさんに話をしよう。


 変な罰とか受けていなければいいですが……。


 そんな事を考えていたら、授業の時間が迫っていた。


 気を取り直して頑張りましょう。


 僕は教室へ向かって歩いて行きました。


    *


 教室の前はいつもより静かでした。


 何かやっているのですかね?


 気にしても仕方ないのでいつものように教室へ入り、挨拶をする。


「よーし、先生が来たぞー」


 教室の中は静まり返っていて、生徒全員がある一点を見ていました。


 ——それはフィリア君の席です。


 そして、しょぼくれたフィリア君の後ろに見慣れないメイドが立っていました。


 ——ハリセンを持って。


 フィリア君だけではなく、隣のラザリア君まで緊張した面持ちで座っています。


 僕の疑問を察したかのようにメイドさんが口を開きました。


「お嬢様はもちろん、ラザリア様もしっかりと見張らせていただきます。 何せラザリア様付きのペナさんから直々に頼まれていますので」


 腕を組みながら二人を見下ろすメイド。


「先生の手紙の内容から察しました。 他にもあるんですよね、何も言わなくても大丈夫です」


 僕の書いたあの一文が、こんなよくわからない事態になっていたよ……。


 授業中、教室の後ろの方から何回もペシンッと音が聞こえてくるけど、まともに見れないんだよ。


 叩いてるけど大丈夫なのか?


 二人とも伯爵家の人間なんだよ?


 君、メイドだよね?


 いいのそれ?


    *


 さぁ、放課後になりました。


 私、レコラも初めての進行役なので頑張ります。


 クラスのみんなは授業中のことに触れる人はいませんでした。


 今日は演劇の台詞合わせです。


 出だしのランディル殿下とマイク様がどの様に演じるのか楽しみです。


「レコラさん、少し宜しいですか?」


「はい。 何でしょうか、フィリア様」


「今日はどの様に台詞を合わせるのですか?」


「後でも説明しますが、今日は一通り流す予定ですね」


「では、着替えとかはしなくても宜しいのですか?」


 フィリア様の後ろに、いつの間にかラザリア様が立っていました。


「今日は着替えませんよ」


「わかりましたわ」


 フィリア様はそう言って離れて行きました。


 そう言えば先ほど現れたと思ったラザリア様がいなくなっていますが、よく見たらチャーニさんに引きずられています。


 あの二人、貴族と平民なんだけど、最近よく一緒にいますよね。


 チャーニさん、取り巻きになったのかしら?


 それにしてはラザリア様の扱いが雑なような……。


 気にしても仕方ないですね。


 私は教室の中を見渡しました。


 台本を見ながら話している生徒や道具作りの為に必要な物を考えている係の人たちが話し合っています。


 そんな騒がしい教室の扉が開かれ、ランディル殿下たち五人が入ってきました。


 ランディル殿下は部屋の奥を見て、一瞬たじろいだように見えました。


 奥にはフィリア様のお付きのメイドがいるだけですよね。


 ああ、知らない人が居たから驚いたのかもしれませんね。


 ランディル殿下が来たことで、全員席につきました。


 みなさん揃ったところで始めようと思います。


「今日は、台本通りに台詞合わせを行いたいと思います。 進行役は私、レコラが務めさせていただきます」


 クラスから拍手が起こり、私はお辞儀をしました。


「よーし、時間ももったいないから早速始めるぞー」


 オーブル先生が台本を見ながら、ランディル殿下とマイク様を前に呼びました。


「んじゃレコラ君、ここからは頼んだよ」


 先生は黒板の横に椅子を置いて座りました。


「ランディル殿下、マイク様、始めて下さい。 場所はお城のパーティー会場で、エリアル王子が令嬢アイラを追放するところからです」


「わかった。 マイク、始めようか」


「殿下、了解しました」


 教室は静まり返り、いよいよランディル殿下とマイク様の場面が始まります。


「アイラ・イル・アルマーク! 貴様を……きさま…………きさまを追放するくらいなら僕が出ていく!」


 マイク様が裏声になり、王子役が出ていくと言い出してしまいました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。