14・ザックはいますか?
依頼を受けて少し離れた草原地帯にやって来た私たちは、ゴブリンと交戦中でした。
主にセタ君とトーラス君がすでに8匹討伐済みです。
ゴブリンは二匹。
「僕が一匹抑えるよ! セタ君は向こうを!」
「頼んだ! トーラス!」
見事な連携で、あっという間にゴブリン二匹を討伐しました。
「お二人ともお疲れ様です」
二人は討伐の証である耳を切り落とし、戻ってきました。
「次は私がやりますわ」
と言ったら背中のうさぴょんが暴れ出しました。
「どうしたのかしら?」
「お嬢様、うさぴょんにもやらせてあげてください」
サシャがそんなことを言ってきました。
私は背中からおろしたうさぴょんに聞いてみました。
うさぴょんは任せろと言わんばかりに自分の胸を叩きました。
「うさぴょん、自信満々ですわね」
その光景を見ていた二人は……。
「角うさぎってあんな動作するのか?」
「僕も初めて見たよ」
……そういえばそうですわね。
その時です。
草むらから一匹のゴブリンがこちらに向かってきました。
「来た、ゴブリンだ!」
セタ君がゴブリンに気がつき、剣を抜こうとした時です。
うさぴょんが両手を振り上げ、空高く舞い上がり一回転。
そこからゴブリンめがけて蹴り炸裂しました。
「キューッ!」
うさぴょんの蹴りを胸に受けたゴブリンは、手足をバタつかせながら後方へ飛んでいきました。
うさぴょんは地面に着地してからこちらを向きました。
うさぴょんの後ろでゴブリンが地面に落ちたら爆発し、爆風でうさぴょんの頭のリボンがなびいていました。
「……キュッ」
私たち三人が呆気に取られていると、
「うさぴょん、よく出来ました」
満足げなサシャがうさぴょんの頭を撫でていました。
「……サシャ?」
「ふっ……。 仕込んだ甲斐がありましたね」
満足げなサシャがいました。
*
次は私の番です。
「みなさん見ていてくださいね」
私は辺りを探しました。
少し離れたところにウルフを発見。
「向こうにウルフがいましたわ」
「え! ウルフだと一人では厳しくないですか!?」
「僕たちも手伝うよ!」
セタ君とトーラス君は手伝うと言いました。
「大丈夫ですわ、見ていてください」
ウルフの数は見えるだけで五匹。
私は駆け出しました。
「フィリア様!?」
「危ないよ!」
「お嬢様なら問題ありません。 まぁ、見ていてください」
三人の声が遠ざかっていきます。
ウルフまであと少し。
私は両手にシールド棒を作り出し、握りしめてウルフに飛びかかりました。
「行きますわよ!」
先頭にいたウルフに二本のシールド棒を叩きつけ、すぐさま近くのウルフめがけて飛びかかります。
それを見た三匹のウルフが、一斉に向かってきます。
その場から一旦後方へ飛び退き、ウルフめがけて棒を叩きつけます。
もう一匹は横から私めがけて襲ってきたので、シールド棒で防ぎます。
ウルフはシールド棒に噛み付いているので、シールド棒を元のシールドに戻したら……。
「あぅ、ウルフの口が大変なことになってしまいましたわ」
残りのウルフは下がってこちらの様子を伺い始めたので、先ほど展開したシールドを棒に戻し、二本の棒を一本の長い棒にしました。
そこからウルフめがけて突きまくりです!
——討伐完了ですわ。
*
「これで依頼は達成しましたわよね」
「うん、終わったよ」
「しかし、フィリア様って凄く強かったんですね。 俺ももっと頑張らないと」
セタ君はもっと強くなりたいらしいですね。
冒険者ならもっと上を目指したいですよね。
「お二人は今日もギルドで特訓ですか?」
「ははは、多分ね」
「今日こそは先輩たちに一泡吹かせようよ」
「見学させてもらってもよろしいかしら?」
「構わないよ」
これで見つかると良いのですがね。
私たちは急いでギルドに戻りました。
ギルドに戻った私たちは依頼達成報告をすると、セタ君とトーラス君はごつい冒険者たちに連れて行かれました。
私もその後を追って、訓練場に行きます。
「よーし! セタにトーラス! 今日もありがたーい、俺たちの愛の鞭を受けさせてやる!」
「ひっひっひっ! 今日はどのくらい耐えられるかな?」
「今日は女連れときたか、これはギアを二段階上げてやらねーとな!」
男性のごつい冒険者たちが口々に笑い合っています。
女性の冒険者に至っては——。
「またやってる」
「頑張れ坊やたちー」
そんな声援でした。
そして先輩冒険者たちの愛の鞭なる指導が始まりました。
セタ君とトーラス君が、迫り来るごつい冒険者たちの攻撃を躱していきます。
そして、肝心なザックに似た冒険者は見当たりません。
ここにいるかもと思いましたのに、残念ですわ。




