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13・冒険者ギルドで待ち合わせ

「というわけで明日の朝から冒険者ギルドに行きますわ」


 私はサシャに言いました。


「なるほど、わかりました。 そんなお嬢様を部屋から出さずにマナーの勉強をする、そう言う事ですね」


「何でですか!?」


 サシャは一通の手紙を見せてきました。


 差出人はオーブル先生。


 私はサシャから手紙を受け取り、中身を確認しました。


 “せめて職員室に入る作法は守らせるようにして下さい”


 短い文章ですわね。


 ………………。


 思い当たる節は………………ありますわね。


 私は手紙を少しずらしてサシャを見ました。


 素晴らしい笑顔で、こめかみピクピクさせて見ています。


 私は手紙を再びずらしてサシャの笑顔を遮りました。


「これは陰謀ですわ!」


「お約束の件ですが、明日の朝に私からお断りさせていただきます」


 頭を左右に振っているサシャを見て私は閃きました。


「なら私も一緒に行きますわ! そうすればお互い丸く収まりますわ! 私は約束を守れて、サシャはお断りするのです。 その後ギルドに入れば良いだけの話ではありませんか!」


 私の話を聞いたサシャは、それはそれは深いため息を吐きました。


 …………失礼ですわね。


「……わかりました、こうしましょう。 私はお嬢様の監視を兼ねてついて行きます。 今日という日が終わったらお嬢様にはしばらく付きっきりでマナーを学んでもらいます。 これで手を打ちましょう。 決定です! よろしいですね?」


 サシャが凄みを利かせてきます。


 これでは私の自由が……。


「よ・ろ・し・い・で・す・ね・?」


「………………はい」


 とても勝てません。


    *


 翌朝、部屋の中で——。


 私は動きやすい服装に着替え、うさぴょんを背中に背負い、腰には紐をつけられ、紐の先はサシャが握っています。


「……いくら何でもこれは」


「お嬢様のためです」


 私がムスッとしていると、仕方ありませんと言いながら紐だけは外してくれました。


 さあ、待ち合わせの場所まで急ぎますわよ!


 ——あっという間に着きました。


 すでに二人は待ってくれています。


「お二人ともごきげんよう。 お待たせいたしました」


「あ、フィリア様。 おはようございます」


 トーラス君は普通に挨拶をしてくれましたが、セタ君はキョロキョロしています。


「フィリア様、おはようございます。 今日は別の方が付き添いなんですか?」


「別の方というのは?」


「ほら、以前チャーニの店で会った時の黒い人とは違うから」


 私は思い出しました。


 セタ君が見たのは、私も初めて見たサシャの姿でしたわね。


「何を言ってますの? 今日も同じ人ですよ」


 セタ君はサシャを見て首を傾げてしまいました。


「そう……何ですか?」


「お久しぶりです。 セタ様」


「本当にあの黒い人!?」


「間違いありません。 あの黒い人が私です」


 サシャもセタ君の反応を面白がっていますね。


「みんな〜、早く行こうよ。 依頼無くなっちゃうよ?」


 トーラス君は早く早くと入り口で呼んでいます。


「悪い、今行く。 フィリア様たちも行きましょう」


 セタ君の後に続いてギルドに入って行きました。


 ギルドの中は賑わっています。


 この時間は特に掲示板の前が。


 そして私の後ろがざわめいています。


 私の後ろに何があるのかしら?


 私は振り向いてみますが何も変わった様子はありませんでした。


 私が前を向くと再び後ろがざわめいています。


「フィリア様、朝から気になっていたんですが、その背中に背負っているのは人形ですか?」


 セタ君が背負っているうさぴょんが気になっているようです。


 当然ですわ、可愛いですもんね。


「違いますわよ? うさぴょんは角うさぎですわ。 私の可愛い相棒ですの」


 背負っているうさぴょんをセタ君に向けると、うさぴょんは返事をしました。


「キュキュキュ!」


 なぜかセタ君ではなく、周りが驚いていました。


「うわっ、鳴いた!」

「本物じゃん!」

「可愛いわね」


「フィリア様、どうして角うさぎなんか?」


 セタ君は興味深そうに聞いてきました。


「それは、私とうさぴょんの激しい戦いの後に芽生えた友情ですわ!」


 私の言葉にセタ君は目を輝かせました。


「本当は、お嬢様が一方的に指で弾き飛ばしていましたが」


 サシャが余計な事を言うから、セタ君が引いてしまいました。


「セタく〜ん、この依頼にしようよ〜」


 トーラス君が依頼表を持って来ました。


 ゴブリン十体討伐。


 依頼表の内容です。


「うーん、今回はフィリア様もいるし、厳しいんじゃないか?」


「あ、そうだったね。 フィリア様がいたら危ないもんね」


 二人は私のことを気に掛けてくれているようです。


「お二人とも、気になさらないでください。 私も今日は、お二人のお力になりますから……そうですわね」


 私も掲示板を見て、追加でウルフ五匹の討伐も加えました。


「はい、今日は私も加えさせてもらいますわ」


 冒険者登録は、学友の方に黙っておこうとしましたが、速攻でバレてしまいましたからね。


 今更ですわ。


 問題は、この依頼の後にセタ君たちが受ける愛の鞭が私の目的なのですから。


 その中に、傭兵ザックみたいな人がいれば良いのですがね。

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