5・測定とチーム戦 1
「魔力測定するぞ、男女別で並べ」
オーブル先生の指示で男性と女性で分かれました。
魔力量は、黒、緑、青、赤、白、金、虹の七つに分けられています。
実は、私は魔力量が普通の貴族より少ないのです。
昔、その事がお父様の悩みの種でしたが、元王宮魔道士のお爺さま、マイラー様が家庭教師を買って出てくださったおかげで、人並みに魔法が操れるようになりました。
その時、サシャも一緒に受けさせてもらっていましたね。
あの家庭教師のマイラー様、何故か私よりサシャを鍛えていらしたような……。
私はひたすら魔力操作ばかりでしたわ。
そんなことを思い出していたらすでに半分以上の方たちが測定を終えていました。
「次の方」
測定係の女性の先生が呼んで、ラザリア様がテーブルの上にある水晶へ手をかざしました。
すると水晶が白く輝きました。
「おお! この若さでこの魔力量は凄いですよ! 彼女は!」
先生や、それを見ていたクラスメイトたちが湧き上がります。
ラザリア様は少し恥ずかしそうに戻ってきました。
「凄いですよ、ラザリア様!」
チャーニさんが興奮しながらラザリア様を褒め称えています。
「次の方」
「あ、私です」
手を上げてテーブルまで行くチャーニさん。
緊張した面持ちで水晶に手をかざすと、
赤色に光りだした。
「え? 私赤色なんですか?」
状況が飲み込めていないようで、呆然としているチャーニさん。
それもそのはずです。
平民で赤は、珍しい方です。
訓練で底上げはできますが、ほとんどの場合は青止まりです。
周りのみなさんも驚いています。
「はい、次の方」
私の番です。
みなさん、なぜか私の魔力量に期待しています。
水晶に手をかざすと、
緑色の光が放たれました。
周りが沈黙してしまいます。
一人だけお腹を押さえて笑っていました。
が、すぐにルッツ様に叩かれていました。
魔力量が少ないのは今さらです。
そんなことで私の悪役令嬢への道が閉ざされているわけではありません。
「フィリア様はやはり魔力量が増えなかったのですね」
昔からの私のことを知っているラザリア様が顔を曇らせていました。
「こればかりは仕方ないさ」
なんとなくラザリア様の頬に手を当ててそんなことを言ってみました。
ラザリア様は、「うひゃー!」と言いながらチャーニさんに抱きついていきました。
その一部始終を見ていた他の女子生徒が羨ましそうに眺めていました。
「よし、少し休憩したら魔法を使える奴には的に当ててもらう。 使えない奴はよく見ておくようにな、その後チーム戦を行うぞ」
立ち去ろうとした先生が振り返り、
「そうそう視察のお偉いさんも来るからな」
男子生徒の一人が先生に大声をあげました。
「そういうことはもっと早く言ってください!」
先生は笑いながら手を振って歩いていくだけでした。
*
入学式前日——
「魔法省の開発した魔導具が試験以外で使われるのは初めてですが、大丈夫でしょうか? キルデ主任」
学園の保健医がたずねた。
「問題ありません。 すでに騎士団の訓練で運用が始まっています」
キルデは保健医の質問に答え、
「腕輪を装着して、障壁が発動している間は魔法攻撃や物理攻撃を防ぎます。 色の変化にさえ気をつけていれば問題ありません。 それに、この制御板で強制的に動きを止めることも可能ですよ」
言いながら、手にした腕輪を眺めている。
「なんにせよ、これがあれば生徒たちが危険に晒される事はないだろう」
学園長は生徒に怪我が及ばないのなら、それに越した事はないと考えていた。
「本日は五十個お持ちしました。 残りは後日お届けいたします」
「よろしく頼む」
学園長は一呼吸おいて、
「今年は第二王子が入学なさるからな、兄でもある王様も気になさっているのだろう」
「そうですね。 二年前の事件から色々変わりましたからね」
キルデ主任も何か思うことがあるのだろうか暗い顔をした。
「王都の防衛から通貨とその名称までな」
学園長は新しく発行された金貨を取り出して眺めている。
金貨には女性の横顔が彫られていた。
「それで学園長、この腕輪を試すクラスは決まったのですか?」
保健医が学園長に尋ねる。
「Aクラスに頼むとする」
「後でオーブル先生に伝えておきます」
そしてチーム戦当日を迎えるのであった。
*
「よーし、集まれ」
オーブル先生が来ました。
後ろには見たことのない方たちを連れていました。
「集まったな」
オーブル先生はみんなを見渡してから、後ろの方たちを紹介してくれました。
「こちらは魔法省主任のキルデ様」
眼鏡をかけた長髪の方が一歩前に出ました。
「キルデです。 よろしく」
キルデ様が下がりました。
「こちらのお方が、アルベン辺境伯領領主のクランツ様です」
危険な森が近くにあるという、あのアルベン領ですか!?
お忙しいのか、お会いした事はありませんでした。
見た目はスラリとした長身で短髪です。
それに、随分と若いお方のようですが、少々お疲れに見えます。
クランツ様が前に出て挨拶をしました。
「クランツだ、よろしく」
二人の挨拶が終わると、クラス全員が挨拶を返しました。
「では、魔法を撃てる人はこちらに来てくれ」
魔法が撃てるのは私を含め十名程で、殆どが貴族の方々です。
その中で、セタ君もいました。
お父様が冒険者でしたから、色々教わっていたのでしょう。
先生の合図で、的に向かって魔法を放つようです。
「始めようか」
先生の合図で的当てがはじまりました。




