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19・お土産です

 馬車は無事に王都に着きました。


 そして私の家に到着です。


 私は騎士や冒険者たちにお礼を言いました。


「みなさまお疲れ様でした。 無事帰れたのはみなさまのおかげですわ」


 屋敷からお父様とカルロスがでてきました。


「おお! フィリアよ、無事に帰って来たな」


 お父様は大袈裟に手を広げて歩いて来ました。


 その後ろから小さな影が飛び出して来て、


「お帰りなさいませ、お姉様!」


 アレスが私に飛びついて来ました。


 私が手前でアレスを抱いてしゃがんだものだから、お父様は抱きつく相手がいなくなり、よろけていました。


 キース様たちを見ると、カルロスが依頼達成のサインをしているところでした。


「フィリア様、僕たちはこれからギルドに報告に行きますので、ここで別れです」


 そうでしたね。


 この人たちとここでお別れです。


「短い間でしたがとても楽しかったですわ」


「また縁があったら会いましょう」


「……その時は楽しみ」


 リリア様とダリア様と挨拶をして、アラン様、カイ様、ミシェッド様とお別れの挨拶をすると、彼らは屋敷から出て行きました。


 少し寂しくなりますわね。


「お姉様、そのカゴの中はなんですか?」


 そうだ、うさぴょんを出してあげないと。


 私はカゴの中からうさぴょんを出しました。


「うさぴょんですわ。 可愛いですよ」


「フィリア! それは一体!」


 お父様が驚いてしまいました。


 アレスは——。


「もふもふだぁ〜」


 すでに撫で回しています。


「旦那様、この角うさぎ……うさぴょんは、お嬢様がテイムしましたので心配はないです」


 サシャの説明にお父様は目を白黒させて、


「テ……テイムだと!?」


 私はアレスにうさぴょんをお父様にも触らせてあげてとお願いすると、アレスはうさぴょんをお父様に渡しました。


「っ……ほ、本当に大人しいな。 しかも角が半分折れているのか?」


 お父様はうさぴょんの頭を見ています。


「はい。 折れたままだと危ないので、丸く削りました」


 サシャの魔法で削ってましたね。


「それとギルドには登録済みでございます」


 サシャの説明にお父様も納得していました。


 うさぴょんの説明はサシャに任せて、私はアレスにお土産を渡します。


「アレスにお土産があるのです」


 私はアイテム袋から、基礎から育てる剣術の書物を取り出して、アレスに渡します。


「わ! 剣術の本ではないですか!」


 アレスは嬉しそうに本を開いて読み始めました。


「よかったなアレス。 で、私のお土産はどんなものかな?」


 ……忘れてました。


 そうでした!


 あれがありました!


 うさぴょん用に一個だけ別にしておいたキノコ!


「お父様にはこれを! とても希少なものらしいですわ! マイラー先生もおっしゃっていました!」


 お父様に包みを渡すと、すぐさま開けて中を見ていました。


「……なんだこれは?」


 お父様はキノコを手に取り、それを振って音を出していました。


「それはガラガラキノコというものです。 薬の材料になるそうですが、そのように鳴らすと魔物を呼び寄せるようです」


 サシャ、説明ありがとう。


「んぶっ! なんていうものを!」


 お父様は吹き出していました。


「……お気に召しませんでしたか」


 私が悲しそうにすると、お父様は突然慌てました。


「な! 何を言うか! 娘のお土産だ、嬉しいに決まっているではないか!」


 そう言ってお父様は笑ってくれました。


「……親馬鹿」


 サシャの呟きはお父様には聞こえなかったようです。


「それで、お母さんには無いのかしら?」


 突然お母様が現れました。


 ……もう、何もありませんわ! ピンチです!


「奥様にはこれがよろしいかと」


 サシャがアイテム袋から一本の牙を取り出しました。


「サシャ、それは……」


 それは見覚えのあるものでした。


「サーベルタイガーの牙です」


 お母様はそれを手に取ると、なんだか嬉しそうにしていました。


「あらあら、これはとても素晴らしいですね。 部屋のアクセサリーにちょうどいいわね」


 ナイスですわ! サシャ!


 しかし、いつの間に貰っていたのでしょうか。


 一通りの事をやり終えたので、屋敷に入ろうとしました。


「ちょ! ちょっと待つのじゃ! 儂を忘れないでほしいのじゃ!」


 そう叫びながら馬車からぐるぐる巻きにされたマイラー先生が転げ落ちて来ました。


「あら、先生ではありませんか。 また何かやらかしたのですか?」


 お母様の冷たい眼差しがマイラー先生を射抜いています。


「待て! 待つのじゃ! まだ何もしていないのじゃ! これからするのじゃ!」


「なるほど……縄を解いた瞬間に何かしでかすと、そう言う事ですね? 先生……いや、ゴミクズ」


 サシャも冷たい視線を送っています。


「まあまあ、お前たち。 今は良いでは無いか。 マイラー様も落ち着いて下さい」


 お父様が場を納めようと動きました。


「カルロス、縄を解いてくれ」


「かしこまりました」


 お父様はマイラー先生に近づき、小声で話をしていましたが、聞こえてしまいました。


「頼むからアリサを怒らせないで下さいよ」


「わかっておるわい。 儂だってまだ死にたくないわい」


 私はお母様をチラリと見ました。


 なんだか笑顔が怖いです。

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