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18・セタとトーラス頑張ってます

「セタ君! 一匹そっちに行ったよ!」


「まかせろ!」


 ゴブリンの振り下ろした棍棒を避け、俺の剣がゴブリンを切り裂いた。


「トーラス! 大丈夫か!?」


 トーラスは盾でゴブリンの短剣を受け止め、剣でゴブリンの胸を貫いた。


「な……なんとか倒せたよ」


 トーラスは剣を抜き取り、剣を振って血を振り落とした。


「薬草採取が、ゴブリン退治になるとは思わなかったよ」


 俺とトーラスはギルドの常時依頼の薬草採取をしに来ていた。


「そんな時もあるさ、気を抜かずにとっとと薬草も取って帰ろう」


 ついでにゴブリンの討伐証明である耳も取っていく。


「薬草もこれくらいあればいいよね」


「十分だろ」


 ここは王都から少し離れた森の近く。


 薬草が群生している場所だが、魔物も出やすい所でもある。


 休みの間、俺とトーラスはギルドの強制依頼を受けることになっていた。


 なぜかというと、王都の学生で冒険者になるというのは、ある意味エリートコースだという。


 学園は子供とはいえ貴族も通っているので、人脈ができるからだと言われている。


 王都以外の街や村に学校が無いところの平民などは、家を継ぐかどこかに奉公に出るか、冒険者になるしかない。


 冒険者なら、読み書きはギルドで教えてもらえる。


 その代わり、貴族たちとの関わりは殆んどない。


 そういうことなので、王都の学生冒険者は優遇されていると言われている。


 なので他の冒険者のやっかみもあるせいか、学生冒険者はギルドからの強制依頼が存在するのだ。


「よし、戻ろうか」


「うん、袋も一杯になったしね」


 俺たちは王都へ向けて歩き出した。


「そう言えば昨日、チャーニに会ったらすげー疲れた顔してたな」


「そうなの? いつも明るいからイメージ湧かないよ」


「理由を聞いたけど、笑って話を濁されたんだ」


「へぇー」


 ま、いつか話してくれるだろ。


 そんな話をしながら歩みを進めていると、前の草むらからゴブリンが三匹出てきた。


 向こうはこちらを見ると、手にした棍棒を掲げて襲いかかってきた。


「トーラス!」


「わかってる!」


 トーラスは盾を前にし、ゴブリンに突っ込んでいく。


 最初のゴブリンの棍棒を盾で受け止め、そのまま弾き飛ばし、右から来たゴブリンに剣を振るうが外される。


 トーラスが背中を見せたところにもう一体のゴブリンが襲いかかるが、


「させないぞ!」


 俺がそのゴブリンを切り伏せた。


 俺はそのまま弾き飛ばされたゴブリンに駆け寄り剣を突き刺したが、棍棒で受け止められた。


「セタ君!」


「大丈夫! 問題ない!」


 棍棒をがむしゃらに振り始めたゴブリンに俺は一旦距離をとった。


 トーラスの方も、上手く盾を使って攻撃を防ぎ、剣で切り付けている。


 俺の方のゴブリンは棍棒を振るのをやめて、大声で鳴き出した。


「まさか! 近くに仲間がいるのか!?」


「それヤバくない!」


「とにかくここを離れよう!」


 俺はトーラスに襲いかかってきているゴブリンを二人で倒し、慌ててここから離れることにした。


「なんかゴブリン多くない!? 気のせいかもしれないけど!」


「どっかから流れて来たのかな?」


「ギルドに報告したら、飲んだくれの冒険者たちが喜ぶぞ!」


「言えてる!」


 そんなことを話しながら俺たちは走っている。


 ようやく街道近くにたどり着いたが、後ろからさっきのゴブリンが追いかけて来ていた。


「しつこいな! トーラスここで仕留めるぞ!」


「わかったよ! セタ君!」


 流石に街道まで連れて行くわけにはいかないもんな。


 おそらくさっき仲間を呼んだゴブリンともう一匹。


 後ろから来ているかもしれないが、まずはこいつらからだ!


「一匹づつ仕留めるぞ!」


 トーラスが盾を構えながら突進していくすぐ後ろに俺も続く。


 ゴブリンがトーラスの盾に棍棒を当てたと同時に、ゴブリンの横に出て切り付けた。


「まず一匹! 次!」


 トーラスは俺がゴブリンを切り付けたのを確認してすぐに、次のゴブリンに向かって行った。


 トーラスも戦闘に慣れて来ている。


 盾をゴブリンに叩きつけ、怯んだところへ剣に突き刺した。


「ナイス! トーラス」

 

「なんとかなったね」


 喜ぶのも束の間、先ほどのゴブリンが呼んだと思われる、新たな三匹が現れた。


「休む暇無しだな!」


「終わったら、チャーニさんの所のパン食べにいかない?」


「そうだな! 早い所こいつら片付けるぞ!」


 俺は三匹のゴブリンに駆け寄り、手前のやつに剣を振り下ろした。


 相手も錆びれた剣で防いだが、俺は左腕で腰にある短刀を引き抜きゴブリンの脇腹に突き刺した。


 残りの二匹はトーラスの方へ向かって行った。


 俺もトーラスを援護するため駆け寄る。


 その時、ゴブリン二匹が向きを変えて走り出した、


 その先には王都へ向かう馬車が来ていた。


 馬車の前には馬に乗った護衛もいるのに、ゴブリンの考えはわからないが、馬を狙うらしい。


「あいつら馬を狙うつもりだ! トーラス、手前のやつなんとかできるか!?」


「やってみる!」


 俺は馬車の馬に走って行くゴブリンに向かって魔法を放った。


「サンダーランス!」


 稲妻の槍が俺の手から飛び出し、ゴブリンに命中した。


 トーラスもゴブリンに盾を投げつけて、倒れたゴブリンにトドメを刺したところだった。


「危なかったー」


「あぁ、なんとかなったな」


 俺とトーラスは、しゃがみ込んで笑いながら馬車が通過するのを眺めた。


 馬車にはモンティーレ家の紋章が描かれていて、後ろからは見覚えのある冒険者が馬に乗って続いていた。


「あの馬車、フィリア様の家の馬車だな」


「うん。 後ろの冒険者は評判のいい人たちだったね」


 馬に乗った冒険者たちはこちらに手を振ってくれた、


 俺たちも手を振りかえした。


 馬車はそのまま通過して行き王都へ向かって行った。


「俺たちも帰るか」


「うん。 僕お腹ぺこぺこだよ」


 ゴブリンの討伐証明である耳を取り、俺たちも帰るのだった。

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