↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
35/56

12・魔法の授業

 数日後。


 アルベン邸は慌ただしくしていたので、邪魔にならないように活動をしていました。


 そのせいもあって夜は早めの就寝です。


 私は気持ちよく眠りから覚めました。


 目を開ける前に軽く背中を伸ばします。


 きっと清々しい朝です。


 目を開けて窓の外を見てみると……、明るくなり始めていますね。


 夜明け前でした。


 枕の近くでうさぴょんが気持ちよさそうに掛け布団から顔を出して寝ています。


 昨日の夜に、私とサシャでうさぴょんをお風呂に入れて、丹念に洗いましたの。


 そうしたら、真っ白で綺麗な毛並みになったので、私は目を輝かせました。


 ついでにサシャが、マイラー先生に習った風魔法で、うさぴょんの角が折れた部分を丸く削ってくれました。


 ツルツルです。


 これなら、痛くありませんね。


 寝る時、私がうさぴょんと寝ようとしたら、サシャまで入ってきたのは驚きましたわ。


 なんでも、「私はまだ、この角うさぎが安全だと思えません」と言って、うさぴょんを真ん中に、そのまま寝てしまいました。


 そして今、掛け布団をめくると、いつもは起きてくるはずのサシャが、うさぴょんのお腹に顔を埋めて、気持ちよさそうに寝ています。


「……ずるいです」


 あまりにもずるいので、私はサシャに抱きついて再び眠りにつきました。


 .

 .

 .


「……じょ……さま、おじょ……さま」


 誰かが呼んでいます。


 私は体に感じる硬く、冷たい感触に意識がはっきりとしてきました。


「……ううう」


「お嬢様、お目覚めになりましたか?」


 サシャの声が聞こえてきます。


 私は冷たい感触に目を開けると——。


 床にうつ伏せになって寝ていました。


「……どうして私は床に寝ているのかしら?」


「また、いつものように寝ぼけていますか?」


 意識がはっきりしてきました。


 ……またですか。


 サシャ、また私を床に落としましたね。


 ぐっ……今度という今度は……。


 いや、待ってください。


 実は私が悪役令嬢になりたいということに気がついていて、訓練してくれているのでは……。


 そうです!


 今まで読んだ資料には、大変なことになる方が多かったのです!


 床で寝る、そうですわ、これはその時のための訓練なのですね!


 その訓練、サシャの気持ち、しかと受け止めましたわ。


    *


 夜明け前、私は眠りから目覚めました。


 目の前にはお嬢様の角うさぎが寝ています。


 その体を見ていたら、思わず抱き寄せてしまいました。


「あ……もふもふでふね」


 顔を埋めながら喋ったら、くすぐったかったのでしょうか、うさぎがモゾモゾ動きました。


 その後にお嬢様が起き出した気配がしたので、私はじっとしています。


 この状況で私も起きると恥ずかしいので……。


 布団をめくられ、「……ずるいです」


 その言葉の後に、お嬢様は私にしがみついてきて、そのまま眠ってしまいました。


 寝ぼけていては仕方ありませんね。


 外もすっかり明るくなり、私はうさぎを脇へずらし、胸に顔を埋めてしがみついているお嬢様をそっと引き離し、着替えを済ませます。


 さて、お嬢様も起こしますか。


「お嬢様、お嬢様」


 起きませんね。


 私は布団を剥ぎ取ると、その勢いのままお嬢様は床へと転がっていきました。


 しばらくすると、唸るような声が聞こえてきました。


「お嬢様、お目覚めになりましたか?」


 その後も、いつものやりとりが行われましたが、なんだか今日は少し様子が違いますね。


 お嬢様は私の顔を見ながら何かを考えています。


 ……ああ、この顔は碌なことを考えていませんね……。


 私はお嬢様に見られないように小さなため息をつきました。


    *


 ——午前中の授業です。


「今日、マイラー先生はキルデ様とのお仕事は大丈夫なのですか?」


「昨日、フィリア嬢たちが持ち帰った魔石な、あれを少し加工してやったら、作業効率が大幅に改善したからのー、今はあやつ一人で大丈夫じゃ」


 流石はマイラー先生です。


「ほれほれ、そんな事よりフィリア嬢は引き続き結界魔法の練習じゃ、サシャちゃんはフィリア嬢を補助するのじゃ」


 私は返事をしてから、教わったことを思い出しながら魔法を構築していきます。


「お嬢様、その調子です」


 サシャの補助の元、なんとか土台が完成しました。


「やった、完成です」


 マイラー先生も頷いてくれています。


「よし、感覚を忘れないうちに今度は一人で行うのじゃ」


 この後、何回か練習をして、成功確率が上がってきました。


「よく頑張ったの。 この後は森にでも行って実践してみるぞ」


 忘れていました……、マイラー先生もサシャと同じで実戦派でした。


 こうなるともう、強制的に連れていかれるんです。


「フィリア嬢、心配することはないぞ。 儂が結界を張っておくのでな」


 ほっほっほっと、軽い笑いを浮かべているマイラー先生。


 こういう時は頼りになりますわ。


 今まで黙っていたサシャがたった一言、確認してきました。


 「美人の冒険者が通りかかったら?」


 サシャ、いくら何でも森に行ってまで……、


「むろん! 追いかけるのじゃ!」


 マイラー先生……、


 全く頼りになりませんわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。