6・盾と魔石
私とサシャ、そしてキース様たち六名の計八人は、キース様の盾を新たに買い求めに、武器屋へ向かっています。
ダナトス様のお話では、大通りの一本裏にある武器屋が良いと教えていただきました。
「あの、お嬢様は馬車とかは使わないのですか?」
リリアさんが遠慮がちに聞いてきました。
「歩くのは好きですから問題ありませんわ」
最初、街に入った時は見られませんでしたからね。
それにしても……随分と整えられた街並みですわね。
なんと言うか、裏路地に行くにも細い道が無いんですよね。
広いのです。
あと、所々に兵士たちの詰所があるのが特徴的ですわ。
住民への配慮がなされている感じですね。
ただ、街を歩いている人があまりいないのが気になります。
「サシャ、人が少なく感じませんか?」
「そうですね。 恐らくですが、クランツ様の悩みの種が原因かと」
そのような事を話していたら、目的の武器屋まで辿り着きました。
「こ……ここなのか?」
キース様が入り口で固まり出しました。
確かに見た目は豪華で、お値段も良さそうです。
「ミシェッド……ここは俺たちが入ってもいいのか?」
「アレン、入ってはいけないことはないが……気が引けるな」
そんな冒険者のみなさんの事など気にする様子もなく、サシャが扉を開けて、「皆様もどうぞ中へ」と誘うのでした。
「いらっしゃいませ。 本日はどのような物をお探しでしょうか」
「盾はありますか?」
「盾、でございますか?」
「そうですわ」
お店の人は私たちを盾を置いてあるフロアまで案内してくれました。
「こちらになります」
そこには色々な形をした盾が壁に掛けられていました。
「凄いですわね」
「……すげー、こんな高級そうな盾、いつかは持ってみたいぜ」
キース様は盾を選び出しました。
ふと、サシャを見ると部屋の隅に置かれている盾を見ていました。
サシャは盾を手に取り、色々なところを軽く叩いています。
何個めかの盾を確認していたら、「これがいいですね」と言って、キース様の元へ向かいました。
キース様は壁に掛かっている盾を物色していました。
「キース様、こちらがよろしいかと」
先ほどサシャが選んだ盾をキース様に渡しています。
「……わざわざ選んでくれたんですか?」
サシャは頷き盾を手渡しました。
キース様は盾を手に持ち、何やらハッとした顔をしました。
「サシャさん、これって……」
何かを言いかけたキース様に対して、サシャは自分の口元に指を当てて、それ以上言わないようにと仕草で示しました。
「会計をしてしまいましょう」
*
店を出てギルドに向かう途中。
キース様はサシャに先ほどの事を聞いていました。
「サシャさん。 これとんでもないものじゃ無いんですか? 僕でもわかりますよ」
「掘り出し物ですね」
サシャはしれっと言いました。
キース様は目を白黒させながら、
「掘り出し物って言うレベルじゃ無いでしょう……」
その会話にカイ様が入ってきました。
「そんなに凄いのか?」
「ああ、おそらく下手な魔導具より上だぞ」
二人はサシャを見ました。
「そのような物をガラクタと一緒に置いておく店が悪いのです」
ふんと、そっぽ向いて言いました。
何を当たり前な事をと言わんばかりの言い方ですわね。
サシャらしいです。
*
私たちは今、冒険者ギルドにやって来ています。
話には聞いていましたが、怪我をした冒険者様が大勢いますね。
それだけ大変なのでしょう。
私はキース様たちと一緒に依頼が貼られている掲示板を眺めました。
「俺たちは魔石を集めようか」
その言葉に他の方たちは賛成していました。
「私もそれがいいと思いますわ」
キース様たちに混ざって移動しようとしたら、サシャに止められました。
「なんですの?」
不思議に思い、サシャを見ると。
「お嬢様は彼らと同じ依頼は受けられませんよ」
「なぜですの?」
私はギルドカードを取り出してサシャに聞きました。
「ランク差です。 お嬢様」
「私はFランク」
サシャが続いて、
「彼らはCランク」
私も一緒に魔石を集めたかったですわ……。
ショックを受けていた私に、救いの手を差し伸べてくれたのはリリア様でした。
「フィリア様、薬草採取を受けたらよろしいのでは?」
「薬草採取……ですか?」
「そうです。 それならば私たちの近くでできますよ」
なんと言う事でしょう!
名案ですわ!
女神様はここに居ました!
「では、私も彼らとは別の依頼を受けるとしましょう」
サシャも何か依頼を受けるようです。
依頼表を持って受付に行くサシャを見ていると、受付のお姉様が、
「あの……メイドさんですよね?」
「それがなにか?」
「武器とかは……」
「問題ありません」
なんか受付のお姉様が震えていますね。
私も受付を済ませてしまいましょう。
「この薬草採取を受けますわ」
こちらの受付のお姉様は、私を見つめています。
「お嬢様、ここは冒険者が依頼を受ける場所ですよ?」
私も冒険者のカードを持っていますわ。
だから冒険者なのです。
「ああ! フィリア様! カード、カード出して!」
リリア様が私のそばに来てカードを出すように言ってきます。
「これですか?」
「そうです。 依頼を受けるときには必ず出してください」
持っているだけではダメなのですね。
……そう言えば私、依頼を受けるの初めてでしたね。
「ありがとうございます。 リリア様」
お礼を言いながら頭を下げました。
「い……いいですから、頭を上げて下さい!」
「大変失礼しました。 カードですわ」
受付のお姉様はまだ変な顔で私を見ています。
「この依頼で間違いありませんか?」
「問題ありませんわ」
「はぁ……」
なんとか依頼を受理できました。
さぁ、初の依頼ですわ!




