18・モンティーレ伯爵家
久しぶりの実家で朝を迎えました。
「おはようございます。 お嬢様」
「おはよう。 サシャ。 とマイラー先生」
サシャはギョッとして横を見るとマイラー先生はサシャにニコリと笑いかけました。
「お嬢様。 このゴミを捨てて来ますので少々お待ちください」
「ゴミとはどれじゃ? わしが捨てて来てやろう」
サシャが扉を開けて「では、ゴミ箱へ行きなさい」とマイラー先生に冷たい眼差しを向けています。
「わしはゴミかの〜」
そう言いながら、トボトボ出て行くマイラー先生でした。
サシャ珍しく壁に手をついてしまっています。
「サシャ、大丈夫ですか?」
「……失礼いたしました。 お気遣いありがとうございます」
このやり取りを見ていますと、実家に帰ってきたという実感が湧きます。
*
食事を終えて、家族揃ってお茶をいただいています。
「フィリアは午前中、マイラー先生の指導を受けるのだな?」
「そうですわ。 私の魔力量は少ないですから、せめて消費を少なく効率的にしなくてはいけませんわ」
「……そうか」
「アレスどうする?」
お父様はアレスに声をかけました。
「お姉さまと一緒にお勉強したいです」
なんて可愛い弟なのかしら……アレス。
「あら、お母さんと一緒はいやかしら?」
アレスは、うーん……と悩んでから
「お姉様とお勉強します」
「あら、残念ね」
とても残念には見えないお母様がお茶を啜りました。
「ではサシャ、二人を頼むぞ」
「かしこまりました、 旦那様」
サシャに連れられて、私とアレスは庭へ向かうのでした。
移動していると、私の手を引っ張ってくるアレスがいます。
「どうしたのアレス」
「お姉様、学園は楽しいですか?」
あらあら、なんて可愛らしい質問でしょうか。
「ええ、とても楽しいところですわ」
悪役令嬢の経験を積むにはもってこいの場所ですからね。 ふふふ。
「僕も早く行ってみたいです。」
「アレスはもっと大きくなったらですね」
弟との会話を楽しんでいたら、庭に到着しました。
「おお、来なさったな。 おや、今日はアレス様もご一緒ですかな」
マイラー先生はアレスを見ながら、にこやかに話します。
「先生。 よろしくお願いします」
アレスは礼儀正しくお辞儀をしました。
私も先生に挨拶をします。
「マイラー先生。 よろしくお願いしますわ」
サシャは先生にお辞儀だけします。
それからマイラー先生は周りに結界を張り巡らせましす。
「まずはフィリア嬢から。 魔力操作は休まずやっておったかな?」
「はい先生。 ちゃんとやっていましたわ」
「では、見せてもらおうかな」
マイラー先生は私に流れる魔力を感じ取るように見ています。
「ほうほう……安定して、しかも少ない魔力で効率も上がっているようじゃな」
「では、サシャもやって見なさい」
サシャも同じように魔力を巡らせました。
「ほう、前より効率が上がったようじゃな」
「……ありがとうございます」
サシャは一歩下がりお辞儀をしました。
「僕もやりたいです」
アレスも手を上げてやりたいと申し出ました。
「おお、アレス様もやりますかな。 では、この前抑えた通りにやってごらんなさい」
マイラー先生は、すでにアレスにも手ほどきをされているようでした。
アレスの方から魔力が溢れてくるのがわかります。
私より多くの魔力を持っているのがよくわかります。
「そこまでじゃ」
アレスは小さく息を吐いてその場にしゃがみ込みました。
「アレス様は少しづつ、魔力を抑える事を学んでいきましょう」
「……はい」
「次じゃな、フィリア嬢の使える属性は火と風じゃったな」
「そうですわ」
「以前のファイヤーボムとは違う、風属性のやつをやってみようか」
マイラー先生は立っている場所に鉄の棒を地面に突き刺しました。
「まず手本を見せるぞ。 よく見ておくのじゃ」
マイラー先生の指先が、何やら震えています。
その指先を鉄の棒に触れると、パキンという音と共に鉄の棒が二つに分かれました。
「やってみるのじゃ。 なに、フィリア嬢ならすぐできるじゃろ」
マイラー先生のお墨付きですので、頑張りますわ。
マイラー先生がやっていたのはこんな感じかしら。
指先に薄い風の刃を固定して指を振るわせる感じに見えましたわ。
指先を鉄の棒に触れ、横に動かすと――
パキン
音と共に鉄の棒が切れました。
「まさか一度で成功させるとは思わなんだ」
マイラー先生は驚いています。
「お姉様すごいです!」
アレスも小さな手を叩きながら絶賛しています。
どうですか! お姉様は頑張っていますよ!
「……なるほど、面白いですね。 これなら女性の敵を葬れますね」
サシャが何やら呟いています。
「サシャちゃん!? 物騒すぎじゃよ!」
マイラー先生が叫んでいらっしゃいます。
サシャは5本の指で同じように鉄の棒を粉々にしていました。
やっぱりサシャは凄いですね。
魔力量も多いし、自慢のメイドですわ。




