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12/19

12・生徒会長

 試験も終わり、答案用紙が戻ってきました。


 安堵する生徒、嘆く貴族の方や親に怒られると頭を抱える一般生徒の方々。


 特別授業は回避しましたわ。


 私たちのグループで危なかったのは、セタ君とトーラス君でしたわ。


 二人とも「休みはギルドで勉強会だ」と嘆いていましたね。


 そんな私たちがいるのは、いつもの食堂の中央テーブル。


 ここはいつの間にか、一年Aクラスの指定席のようになっていました。


 そしていつものようにチャーニさん、セタ君、トーラス君のマナー講習が始まりました。


「三人とも、とても上手になりましたね」


 私が感想を言うと、ラザリア様とルッツ様も褒めていました。


「なるほど、噂通り面白いことをしていますね」


 私が座っている後ろからそんな声が聞こえてきました。


 振り向くとそこには生徒会長であるカトラス様が立っていました。


 私たちが席を立とうとすると、


「そのままで構わないよ。 座って」


 カトラス様は私たちを見渡してから「僕もご一緒させてもらってもいいかな?」と言われたので、「喜んで」と返しました。


 カトラス様が座られたところは私の向かい側でした。


「それで、カトラス生徒会長様は私たちになにか御用でしょうか?」


 疑問に思ったことを素直に聞いてみました。


「そうだね、今君たちが行っている行為にかな?」


 初めてみた時からこの方は、ニコニコしていますね。


「よろしくなかったですか?」


 私は少し残念な気持ちになってきましたが、


「そうじゃないよ。 僕としてはもっとやってくれた方が嬉しいかな」


 カトラス様は再び全員の顔を見渡してから、


「学園の方針は知っているよね?」


 その言葉に全員が頷きます。


「君たちの行いは、学園にとってもプラスになるのさ」


「……プラスですか」


「そう」


 私の呟きに即答してくるカトラス様。


「学園の方針。 理念と言ってもいい」


 理念、いい言葉ですね。


 そこで私は前から疑問に思っていたことを尋ねてみようと思いました。


「カトラス様の言うことはわかりました。 それで、私も一つ、前から思っていたことがあるのですがよろしいでしょうか?」


「何かな?」


 相変わらず笑顔のままなのですね。


 きっとこれがポーカーフェイスというやつなのですね。


「生徒会についてなのですが、生徒会だけは理念に反する、貴族構成のままなのですか?」


 失礼だと思いますが、どうしても聞いておきたいのです。


「そこね。 そんな難しい話ではないんだよ」


 ラザリア様がカトラス様に水を差し入れました。


「あ、すまないね」


 水を一口飲んでから、再び話をしてくださいました。


「まず、生徒会が貴族で行うには理由があるんだよ。 もし、平民が生徒会長になった場合、それに反発する貴族は少なくないということが一番かな。 それと生徒会長はその時の位の高い家柄の人から選ばれるんだよ」


「なんとなくでしたがわかりますわ」


「その人物が学園に沿わないものはなれないかな。 そうなるとやりたい放題になってしまうからさ。 そこまではいいかな?」


「はい」


「続けるね。 家柄についてだけど、位が高くないと、問題を起こした者が、例えば伯爵の家の者だとしたら、生徒会長にはその上の家の者がならないとだめなんだ。 ここからは学園の問題ではなく、家の問題が出てくるからね」


「そういう事だったのですか」


「そういうことなんだよ」


 カトラス様は水を飲み干してから席を立ち上がり、


「君たちには期待しているよ」と言葉をかけてから立ち去っていきました。


「うはー! 緊張したー……」


「本当だよ、びっくりしたー」


 セタ君とトーラス君はカトラス様がいなくなった途端、緊張をほぐしています。


「そうなんですの?」


 私にはよくわからない感情なので聞いてみます。


「フィリア様は……そうか、伯爵令嬢ですからね。 私たち平民にしてみれば雲の上の存在なんですよ」


 チャーニさんが教えてくれました。


 自分は気にしたことなど無かったのですが、普通はこういうものなのですか……。


「三人とも、やはり私にも同じような感じだったのでしょうか?」


 三人は顔を見合わせてから言いました。


「そうですね。 最初は伯爵令嬢と言うので怖い感情がありました……けど」


 チャーニさんが言い淀みます。


「……けど?」


「フィリア様って最初から普通に接してくれてましたからそこまでは緊張しなかったですね」


「それわかる。 フィリア様に対しては感謝の気持ちはあるけど怖いというのは無いです」


 セタ君も私に対しての感情を仰りました。


 ……そうですか、感謝の気持ちですか。


 私の求める悪役令嬢も、最後は感謝されるのです。


 やはり、間違ってはいませんでしたね。 ふふふ。


「嬉しそうですねフィリア様」


「ラザリア様、そうでしょうか?」


「そうです。 顔が綻んでいましたよ」


「ルッツ様まで……私の顔はそこまで緩んだいましたか?」


 私は自分の頬に手を当て、上下左右に引っ張ってみました。


「ちょっ! フィリア様何を!」


 何かを堪えながらラザリア様が驚かれています。


 私は動きを止めて、周りを見てみると……


 うずくまっている四人がいました。

 

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