3話ー転移者と変異者、二つの異端。
私は学校が終わってから、車の写真を撮ったり。
電車の写真を撮ったり、それを元に絵を描いたりするようになった。
電車は割と、かつて居た世界と似ている車両が多かった。
ただし、自分の居た地方より東の中部の列車ぽかったり、古い車両はいわゆる国鉄型みたいな車両も、そっくりそのまま見た目だった。
しばらくして、電車などに興味があると知ってか、この世界での保護者の養父は鉄道模型の一式セットを買ってくれた。
大きめのスペースとレイアウト。
車両はフル編成でそろえてくれたので、相当お金があるのだろう…。
私は久々に養父と魔法の練習をした。
養父の東嗣治は「練習に付き合ってあげられなかったけど、覚えている。えらいじゃないか」と褒めてくれた。
結界の中に何故か橋が建てられていた。
「いざというときは、護身も必要だ。あの橋を杖を使った攻撃魔法で落としてみなさい」と東嗣治は言った。
私はためらいなく杖をふるって、橋へと当てる。
橋は煙を上げるが、全然落ちない。
橋を見るが、傷一つ、ついていなかった。
東嗣治は「命中精度が高い。初めてだとは思えないが…、どこかで練習をしたか?」と言う。
私はそんなことをした記憶はなかった。
なので「いいえ、しておりません」と答えた。
東嗣治は疑り深く、「それは本当か」と聞いていた。
東嗣治は魔法で記憶を読んだのだろう。
「本当だったか…。それはすまない…」と言って、私に謝罪をした。
そして、東嗣治は「護身のためには、直撃弾ではなく至近弾として当てる必要がある」と言い、橋の上にさっきは存在しなかった動く黒い人影が出現した。
東嗣治は「直撃弾を当ててしまうとあの黒い影は消える。至近弾だと倒れて動かなくなる」と説明をしてくれた。
そして、私は「わざと少し外した至近弾として黒い影ギリギリを攻める」
東嗣治は「まるで過去に魔法なり銃器なりを使ったことのあるような素性の良さだ…」と、あまりに完璧すぎる至近弾に驚いている様子だった。
東嗣治は「魔法学校に転校させたいくらい、素性が良すぎる」と言う。
私は「それは嫌だわ。だって、会えなくなったら加奈子や陽子が悲しみそうだから…」と言って、私はその話を断った。
東嗣治は言う。「わかった。今の学校に友達が居るなら、無理に転校は勧めない」
そして、東嗣治は「出来た友達は大切にしなさい」と言った。
次の日、私は学校へ行く。
今までは学校で、誰とも話さない事も多かった。
だけど、姫野陽子や十島加奈子が関わってくれるようになってから、私は姫野陽子、十島加奈子や、その友達とも話すようになった。
その中で、篠島玲子と仲良くなった。
篠島玲子はどこか、ミステリアスな雰囲気のある美しい女性だった。
私は校門で、篠島玲子に声を掛ける。「一緒に帰らない?」
篠島玲子は「いいよ」と応えてくれた。
私は篠島玲子にたわいない話を、し続ける。
篠島玲子は少し微笑んだりはするが、大きく笑うことはなかった。
歩いていると、篠島玲子が足を止めた。
私は「どうしたの?」と言う。
篠島玲子は口に人差し指を当てて、静かにのジェスチャーをしてきた。
すると、上から氷塊が地面に落ちて砕けた。
篠島玲子はボソッと何かを唱える。
すると、私と篠島玲子の周りにドーム状の結界が出来たのがわかった。
そして、篠島玲子がまたボソッと何かを唱えると、結界の上に三本足の八咫烏が三羽、落ちてきた。
篠島玲子は「私、たまにこうやって狙われるの。最近は悪い人間が、こういう差し金をよこすの。だから、こうやってやり返して牽制しているの」と言う、
私は「玲子さん…。大変ね…」と言う。
篠島玲子は「由利さん。私が魔法を使うのを見ても驚かないのね」と言う。
私は打ち明けるべきかどうか迷ったが「実は、私も少しだけ魔法が使えるの。玲子さんほど強くはないけれども…」と言い、そのことを打ち明けた。
篠島玲子は「由利さんも使えたのね。だから、杖を鞄に隠していたのね」と言う。
私は「登下校の時の為の護身用でね…」と答える。
私は疑問に思って聞いてしまった。「でも、なんで学校では杖を一切、出した事がないのに、杖を隠しているって知っていたの?」
篠島玲子は「悪い人が私を襲うには魔法が使えない学校というタイミングで襲うのが一番都合が良いから、他人の鞄に悪い差し金を挟むことがあって、それで鞄を魔法で透視していたの。ごめんなさい。不快ですよね。他の子達には内緒に」と言う。
私は「他の子には言わないわ。でも、そのタイミングを狙うなんて卑怯ですよね…」と言う。
篠島玲子は「本当にね…」と言った。
私はまたまた興味本位で篠島玲子に「玲子さんは杖は持っていないのですか?」と聞く。
篠島玲子は「持っては居るけど、杖を使った魔法は下手すぎて…、基本、杖は使わないわ。ボソッと詠唱する方が得意だから」と言った。
私は家に帰ってから、東嗣治と結界に入り至近弾と直撃弾の練習をして、結界から出た。
次の日、学校へ行き授業を受けて、下校の時間が来て帰るとき。
篠島玲子は待っていてくれた。
篠島玲子は学校から出て、しばらくしたところで言う。「由利さんって、両親のどちらかが魔法を使える体質なの?」
私は「養父も養母も魔法は使えるけれど、どうかしたの?」
篠島玲子は「由利さんの本当の母親は誰…?」と言う。
私は「私が元に居た世界にいるかな…」と答える。
篠島玲子はすごく困惑した様子で「元の世界…?」と言って、続けて「その御両親は魔法を使えたの?」と訊く。
私は「ごく普通の一般人だから、使えなかったと思うけど…、私もこっちに来てしまってから、魔法を知ったから、あんまりよくわからなくて…」と答えた。
篠島玲子は「ごめんなさい…。デリケートなことを訊いてしまったわ」と言う。
私は「ううん、いいよ。私が転移者なのはいつか言おうと思っていたし、大丈夫」と言った。
篠島玲子は「由利さんには、打ち明けられる気がするの、だから言う。」と言い篠島玲子は「私が魔法を杖から出すのが苦手な理由は、実は変異者だからなの」と言い秘密を打ち明けた。
私は「え…?変異者ってなに…」と訊いてしまう。
篠島玲子は「変異者っていうのは、どんな生物にも突然変異という遺伝子異常が起きるように、私の両親は共に魔法は一切使えない普通の一般人。そこから生まれた私は魔法が使える忌み子だったの。両親のどちらかだけでも魔法が使えれば、才能が一部でも受け継がれるのは当たり前だけど、私にはそれがなかったの。そして魔法が使えるとしても、変異者の使える魔法には、何か制約があることが多くて、私は杖から魔法を出すのが苦手と言う制約があるの。だけど、その代わりのギフテッドもあって、私の場合は強い魔法をボソボソ声の詠唱でも発動ができるという能力があるの」と私に説明をしてくれた。
そして、篠島玲子は「だから、私は由利さんの素性が気になったの。色々と失礼な事を訊いて、ごめんなさい」と再び謝罪をする。
私は「私の方こそ、ごめんなさい。変異者故の苦悩とかあると思うけど、聞き返してしまって…」と謝罪をする。
篠島玲子は「こっちの世界のことを知らないのは、来たばっかりなのは本当みたいだし。罪ではないわ。これからも仲良くしてくれるかしら?」と言う。
私は「はい!!!」と応え篠島玲子の手を握った。
私は家に帰ってから、疑問に思う。
魔法は杖が基本だ。と養父、東嗣治は言っていた。
どうやって、ギフテッドに気づいたのか。
私は帰宅後、父に「最近、出来た友達に変異者の魔法使いがいるの。その子は杖だと魔法のコントロールが上手く出来ないけれど、ボソボソ詠唱でも強い魔法が放てるの。どうやって、気づいたのか…。気になるのだけど、どうやって気づいたか、見当は…」
父、東嗣治は言う。「そういうのは本人に訊いた方がいいが、おそらく偶然に気づいた。というのが、説としては高いだろう。私は魔法界で魔法学者だった頃もあるから、変異者についても調べていたことがあるが、ギフテッドと制約は反比例して強くなる。だから、例えば、水魔法が全く使えないと火魔法がかなり得意だったり、水魔法が一部使えない程度だと、火魔法が少し得意程度になる。それにしても、ここまで極端な制約と強いギフテッドがある人は初めて聞く。今度、会わしてくれないか?」
私は篠島玲子に連絡を取る。
「今度、父が会いたいと言っているの?会えたりしない?」
篠島玲子は
「私に危害を加えないなら、会えるわ」と返信をした。
私は父に返信を見せた。
父、東嗣治は「魔法界の方で、かつて魔法学者だった。だから、危害などは加えない。安心してほしい」と返信するように私に言ってきたので、そのように返信をした。
休みの日。
父親と母親に連れられて、私の家に来た篠島玲子。
篠島玲子は言う。「由利さんは東さんが養父だったのですね…。だから、魔法に詳しいと…」
私は驚く。
確かに、養父は魔法に詳しいが、そんなに有名人だったとは…。
篠島玲子は「科学至上主義を取り入れて、弔うことを忘れた一般界で、信仰心というか、弔うことを再定着させた偉人なんだから…」と言う。
篠島玲子は続けて「由利さんが宮野を名乗れるのは、嗣治さんが養子の制度に転移者や、魔法界から移住した子が、家との繋がりを忘れないように、名字を変えなくて良いって制度を作ったからなの。だから、もっと嗣治さんに感謝してもいいのよ。由利さん」と言う。
声や表情からは感情が高ぶっているのは、わからないが…。
玲子はかなり、興奮しているのだろう。
私は養父の東嗣治が結界の調整をしている間に、お茶とお菓子を用意して、ゲーム機を出して篠島玲子と一緒にゲームをした。
篠島玲子はゲームに勝った。
そして、篠島玲子は語り出す「私に魔法の才覚があるって気づいたのは両親で、私は覚えていないのだけど、飛んでいるカラスを指先から閃光を放って打ち落としたのが、きっかけだと聞いているわ。その後、両親は色々と調べたり、魔法の教室に通うように、手配をしてくれたわ。だけど、魔法の教室は杖から魔法を出すのが基本だったの。だから、散々いじめられたわ。そして、いじめっ子の男の子に私が母から貰った大切な杖を折られたわ。その時、私はそいつが痛い目を見れば良いと思って、そいつに向かってボソッと石化魔法を唱えたの。普通は皆に聞こえる声量じゃないと、それは発動しないの。だけど、発動してその子は石になったの。私は慌てて解除の魔法を唱えたけど、それ以来、怖くて誰も話し掛けてくれなくなったの。それからは個人的に魔法を教えてくれる女性も家で色々教わったけれど、その人も詠唱より杖が得意で、私が杖で使う魔法を意図的に制限していると思って、本気で使うように言われたので、本気で使ったの。そしたら、火災になってそれを消すために杖から水を出したら、小屋が壊れるほど水が出てしまって…。それ以降は詠唱が得意な魔法使いをその女性は教えてくれたわ。だから、それ以降は私は詠唱を極めることになったわ」
私は「そんな辛い過去があったんだね…」と言う。
篠島玲子は「別に辛いとは思っていないわ。今は十分、幸せだし」と言った。
私の養父、東嗣治が呼んでいる。
二人で庭の方へと向かった。
東嗣治は「篠島さんも入れるように調整をした」と言う。
そして、東嗣治は結界の扉を開いた。
この前、東嗣治が魔法で用意した橋がそのままあって、そこには擬似標的があった。
篠島玲子はボソボソと何かを唱えた。
すると、擬似標的が全て石化した。
東嗣治は拍手した。
そして、納得したように「これだけ強く、しかも、これだけのギフテッドであれば杖が使えないのも納得ではある」と言う。
篠島玲子は驚いたように「私の能力、そんなに強いの」と言う。
東嗣治は「えぇ、あなたが思っている以上に変異者のギフテッドを受けている。だから、あなたのことを狙う人が居るのも、納得が出来るくらいにね。玲子さん。あなた現在進行形で狙われているね?」と言う。
篠島玲子は「何故、それを…」を驚いた様子だった。
東嗣治は「娘は時折、用水路に飛び込んで死のうとするくせがあって…、時折、後をつけていたが、その時、三羽の八咫烏を詠唱魔法で撃ち落とすのを見た。あれは相当、手練れの魔法使いが飼い慣らした八咫烏だろう。私は生憎、半妖動物を飼い慣らすなどそういうことは専門外ではあるが、魔力の反応具合から、相当の手練れが飼っていたことだけはわかった。だから、気をつけた方が良い。その上で誰か魔法が使えて護衛を頼める信頼の出来る人間を見つけた方が良いと思う。私からのアドバイスは以上」そう言うと、結界から出ることを促す。
三人は結界から出た。
外には車が止まっていた。
迎えに来た篠島玲子の父の車だ。
篠島玲子は後ろのドアを開けて、車に乗り込んだ。
助手席側の窓が開いて、篠島玲子の母親が「今日はありがとうございました」と言う。
東嗣治は「また何かがあれば、私にまで連絡を下さい。私は軍や魔法使いの人達とも交友がありますので、娘さん達を守るために異変があれば、連絡をくれれば、そちらへお繋ぎ致します」と言い、電話番号を書いた紙を渡した。
篠島玲子の母は「気に掛けて頂き、ありがとうございます…」と言い、窓を閉めた。
そして、車は走り出した。
東嗣治は私に言う。「変わった子を見つけてきたな…」
私は「たまたまだよ。話していたら、仲良くなったから…」と答えた。




