91.季節外れの暖房
さぶっ…
体の冷えで目が冷めた
遮光カーテンの隙間から漏れる光は弱々しくて
窓を雨が叩く音がする
桜が散り 芝桜の香りが広がり
夏に向かっていく季節だというのに
異様な部屋の冷たさに
体がブルっと震えた
ベッドから起き上がったのはいいものの
フローリングに素足で触れた途端
体の冷えは一気に加速した
寒い寒いと慌てて靴下に足を通し
寝間着の上にカーディガンを羽織る
寒い寒い…
その言葉だけが繰り返されて
灯油代がかかるから
暖房をつけるのは節約しなければなんてことは
頭の中からポーンと飛んでいった
ストーブのスイッチを押して
暖かくなるのを待つ
いつもならばそこまで長く感じないというのに
点火されるまでのタイムラグがとても長く感じる
ボッ と小さな音を立ててストーブに火が灯ると
私はストーブの前で体育座りをして暖をとり始める
ふあぁー…あったけー…
あれだけ冷え切っていた手先がじわじわと温まっていく
視線の先にはストーブの中の赤
見ているだけでもどことなく暖かさを感じる
もうストーブつけないと思ったんだけどな
心地よい暖かさに 覚醒したはずの脳みそは
もう一回眠ろうよと 私の覚醒スイッチをオフにした
ストーブの設定を変えて 私はまた布団に潜り込む
あったかいなぁ…
いつもならうるさいなと気にする雨音さえも聞こえないくらい
包まれている暖かさは快適で
いつしか瞼は閉じていた
寒いんじゃー!!!!もう6月になるというのに、寒いのじゃー!




