ファーストコンタクト
「アレス、携帯シールドある?それと魔力バッテリーも」
「あります。全て入り口付近に収納されています。それと、軍服で行くつもりですか?」
服は通常、動きやすいワンピースの様な物が主流なのだが、エリスは日常的にしっかりしたスーツや軍服を着ていた。
「地球人だったらこっちのほうが落ち着いていると思うよ。それと、慣れたものを着ておきたい」
「わかりました。ではせめて、こちらを被ってください」
ロボットアームが天井から伸びて、エリスの頭に帽子を被せる。その帽子がエリスが現役時代に被っていた陸軍第67部隊のものだった。
「――なら、行ってきます」
戦艦から出ると自衛官が数名待機しており、入間基地内にある会議室へと向かった。大きな机と椅子がある簡素な会議室に複数の幹部自衛官が座っており、その中にエリスも座っている。
「初めまして、航空自衛隊杉山智浩空将補です。では、唐突で悪いのですが地球へ来た目的を聞いてもいいですか?」
「はい。惑星レグナードに貴方方の惑星探査機が漂流しているのを確認したので、こちらに興味本位でお邪魔しました」
腕の端末からホログラム化した惑星探査機が映し出されると全員から「お〜」という驚きの声が聞けた。それと同時に杉山の携帯電話には電話が入り、一旦離席していく。
『アレス、通話の傍受できる?』
『化石文明の機器は簡単過ぎます。傍受内容を同期させます』
脳内でアレスと会話し、杉山の電話を傍受した内容を聞いた。
『杉山君、できれば後一時間会話を引き延ばしてほしい。これは命令だ』
『理由を聞いても?』
『米国に情報が漏れて今すぐにでも会いたいそうだ』
『いくらなんでも無茶だと思いますよ。相手は宇宙人。宇宙船を観れば誰もが超科学技術の結晶だと感じますよ。それを引き留めるなど――』
『口答えはいい! 命令だ! 銃でもミサイルでも使って留めておけ! いいな!』
一方的に命令して一方的にガチャ切りするおえらいさんと思われる男に、エリスは不快感が湧き上がる。
やっぱり米国は嗅ぎ分けて来るよな。だけど、待たせろは無いだろ。……ちょっとちょっかいかけてみるか。
数分すると、杉山はお茶と茶菓子を持って来る。その両方をエリスの前に運んだ。
「どうぞ、お茶とお菓子です。口に合えば良いのですが……」
「これはどうも。アメリカを待つ間の繋ぎとしては美味しそうですね」
この時の杉山は心拍数が跳ね上がり、顔は青ざめ、手や脇からは変な汗が出てきていた。




