探査機
「課長! これを何処で手に入れましたか!?」
珍しく興奮しているエリスに圧倒されながら経緯を話した。
「宇宙の残骸をオークションしている場所だよ。偶に昔の道具や他の知的生命体の探査船が競売に掛けられるんだ」
エリスは直ぐに倍の金額を出して買取り、事務室の横にある分析室に入り機体をトランクから出す。トランクとは四次元ポケットの様に他次元に繋がっており、そこに道具を収納するというものだ。
今回使用したのは一軒家が四軒入るぐらいの広さのものを使っている。
「――間違いない」
指先が震えていた。何百年も昔に捨てたはずの記憶が、頭の奥で嫌に騒がしい。
「地球から来たものだ」
機体の金属板には男女の人類と機体の比較図があり、惑星探査機であると確信した。
「アレス、漂流座標から逆探知できる?」
「はい、可能です。ただし、向かうのであればエリスが前に使用していた様な戦艦級の物が必要になります」
端末スピーカーから機械音声が返る。アレスはエリスの私用AIだ。今時、一家に数台あっても珍しくない。
前に使用していた様な戦艦か……確かまだやってたよな。
軍関係のオークションサイトを閲覧すると、何世代か前の武器や武装、艦が表示される。型落ちした軍艦は民間市場に流れることも珍しくない。輸送業者や警備会社、あるいは物好きな退役軍人が買っていく。そこにはエリスが前使用していた『エルゾワ級戦艦』があった。
「課長、次はこの機体の惑星に出向こうと思います」
エリスは入札ボタンを押しながらロレンスに言った。
「……へ?」
購入申請:エルゾワ級戦艦
残高が凄まじい勢いで減っていく。だが、不思議と後悔はなかった。




