鏡からの救済
突然、鏡から声が響いた。
「莉亜ちゃん、莉亜ちゃん。」
莉亜は怖くて、個室の隅にうずくまった。
「やめて……助けて……」
涙が止まらず、震える声が漏れる。
「大丈夫。私は君を助けに来たんだ。」
鏡の中の少女が静かに言った。
「えっ……?」莉亜は顔を上げた。
その時、トイレの入口に足音が響く。
有理だ。
「出てこいよ、豚女!」
バンッ! とドアが激しく叩かれた。
莉亜は思わず息を呑み、さらに奥へ身を引いた。
「大丈夫、任せて。」
鏡の少女がそう言った瞬間、個室の電気がプツンと消えた。
真っ暗闇の中、石鹸入れやトイレットペーパー、そしてゴミ箱が浮き上がる。
ドサッ! バキッ!
品物たちが一斉にドアの外へ飛び出し、有理たちを襲った。
「きゃあーっ!」
悲鳴が上がると、すぐに足音が遠ざかっていく。
やがて、廊下はシーンと静まり返った。
莉亜は恐る恐るドアの隙間から外を覗いた。
誰もいない。
息を整えて個室を出ると、鏡の少女が誇らしげに言った。
「どうだ? 怖い人たちはもう逃げたよ。」
「うん……ありがとう。」
少し落ち着きを取り戻した莉亜が、小さく笑った。
「いいえ。君を助けられて、私も嬉しいよ。」
「ねえ、少し話を聞いてくれる?」
鏡の少女が、真剣な表情で切り出した。
「……うん。」
莉亜は頷いた。
【次回予告】
次回の『鏡の向こう』は……
「大丈夫、任せて」
闇の中で舞う石鹸入れとトイレットペーパー!
ソフィアの正体とは……?
つづく




