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彼女をNTRれたうえに車で跳ねられ、事故のお詫びに何でもすると言った運転手のお姉さんが実は……。  作者: beru


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第五十四話 遂に彼女に愛想を尽かされる?

「はあ……なんだろうな、この気持ちは?」

 翌日、コンビニバイトで品出しをしながら、昨日の事を思い出して溜息を付く。

 葉月さんは本当に俺のことが好きなのか?

 好きなのは確かにせよ、嫌がらせばかりされては流石に俺も考えねばならない。

 英樹とは姉弟だから、浮気とかではないのはわかるんだが、それでも葉月さんがあいつに嬉しそうに絡んでいるのを見たら、何故か胸糞悪い気分に陥ってしまう。

 嫉妬しすぎかも知れないが、それにしたって、葉月さんがあいつとあんなにあざとく仲良くしているのを見ただけで、こんな気持ちになるなんて……。


 夏休みはバイトを頑張って葉月さんを出来る限り喜ばせたいと思ったのに。

「あ、いらっしゃいませ。あ……」

 悶々としながら、品出しをしていると、お客さんが来たので、挨拶をしたら何と葉月さんが店にやってきた。

 今日もお美しい方だな……じゃなくて、わざわざ何をしに来たんだ?

「ちょっと、そこのクソムシ」

「な、何でしょう?」

「アハハ、あんたクソムシって名前の店員なんだ。ごめんなさーい。まるでクソムシみたいに気持ち悪い人だから、ついそんな言葉を口にしちゃったわ」

「ははは……冗談きついですよ」

 これ、葉月さんだったから俺も苦笑いで済ませているけど、他の客が言ってきったら、ハラスメントどころじゃ済まないレベルの暴言なんだが、これも愛嬌で済ませて良いのだろうか。

 とは言え、ここで喧嘩をしてもしょうがないので、グッと呑み込んで、

「あのー、何かお探しの品でも?」

「ああ、そうそう。受験勉強を頑張っているウチの弟に何か差し入れを買ってやろうと思って。アイスクリームでも買ってあげようかしら? 何かオススメの品はないかしら、クソムシ」

「そ、そうですか。アイス売り場はこちらになりますので、えっと……どんなアイスが好きなんですか?」

 わざとらしく英樹の好きな物を買いに来たとアピールしてきた葉月さんに、更にモヤっというか、苛立ちみたいな感情を覚えながら、アイス売り場に案内していく。

 てか、この態度、まるで悪役の令嬢というかお嬢様みたいで逆に笑えるんだが、まさかいつも葉月さんってこんな言動なわけじゃないよな?


「全くしけているわね。所詮、コンビニじゃこんな程度の品ぞろえね。あーあ、これじゃ、弟が暑くて、受験勉強に集中できないわねえ。お姉ちゃん、とっても心配だわ」

「はあ……」

 さっきから、やたらと弟の事を露骨に話してきているのは、もう俺への嫌がらせなのは明らかだ。

 わざわざバイト中にまでこんな事を言いに来るなんて、ちょっと性格が悪すぎやしないかね、葉月さん。

「あなたみたいなシケた店員さんを見て、買う気なくしたわ。じゃねえ。あー、全く暑いわね。英樹にかき氷でも帰ったら、作ってあげようかしら、あはは」

「ありがとうございました……」

 と吐き捨てるように俺に言って、葉月さんは何も買わずに店を後にしていった。

 あの、普通に迷惑行為なんですがこれ……。


「なーに、あの女の人? 感じ悪いわねえ」

「は、はい……」

「あんなのまともに相手にしちゃ駄目よ。派手な格好しちゃって、最近の若い子はもうね」

 葉月さんが出た後、近くに居たパート店員のおばちゃんがいぶかし気な顔をして、そう俺に言ってきたが、まさかあの感じの悪い女が俺の彼女とも言えなかった。

 店には俺以外にも店員や客がいるのだから、流石に勘弁してほしいですよ……。


「ちょっと言ってやらないとな」

 バイトが終わった後、葉月さんに電話をかけてみる。

 さっきは何のつもりだったのか、問いただしておかないとな。

『何よ、クソムシ』

「葉月さん、さっきウチの店に来ましたよね? あのー、何がしたかったんでしょうか?」

『そんなの決まっているじゃない。クソムシの嫌がっている顔を見る為よ。他に何かあると思っているの?』

 ハッキリと俺への嫌がらせと言い切ったよ、清々しいお方だな。

「えっとですね。別に俺は何を言われようとかまわないんですが……」

『ああ、そうそう。あんたに見て欲しい写真あるの。今、送ってあげる』

「写真?」

 何のことかと思って待っていると、葉月さんから一枚の写真が送信されてきた。


「この写真は……ん?」

 送られてきた写真は小学生くらいの男女の子供、二人が誕生日ケーキを囲って誕生パーティーをしている写真だった。

 何だこの写真は? いや、このケーキに書いてあるのは?

 女の子が隣にいる男の子の頭を笑顔で撫でているが、もしかしてこの二人は……。

『見た? それ、英樹の誕生パーティーの写真よ。あはは、この時、あいつに誕生日プレゼントを初めてやったのよ。とっても喜んでいたわよー、英樹』

「は、はあ……あのー、何でこんな写真を?」

『決まっているじゃない。クソムシをムカつかせるためよ。それ以外、この写真に利用価値あると思っているの、あんた?』

「ムカつかせるって、どうしてそんな事するんですか? ちょっとおかしいですよ、葉月さん」

『何がおかしいのよ。あんた、習わなかった。クソムシが嫌がることは率先してやりましょうって。キャハ、クソムシが嫌な顔をするの見るの、めっちゃ受けるってか、楽しくてさ。クソムシって、私が英樹と仲良くしているの見ると、嫉妬でムカつくんでしょう。だったら、そういう所を見せてやろうと思って、あはは』

 英樹と仲良くしている所を見せつけて、嫉妬させるって……確かに、凄く嫌な感じがするけど、俺への嫌がらせの為にそこまでやる?

 本当に俺の事が好きなら、ここまでやるとは思えない。


(もしかして俺って、本当に嫌われているのか?)

 まさかと思いたいが、葉月さんの行動は俺に嫌われるためにわざとやっているとしか思えなくなってきた。

「弟と仲良くするのは別にどうでも良いですよ。それより、店でああいう事をするの止めてくれませんか? 他のお客や店員にも迷惑になるので……」

『あんた、いっちょ前にコンビニ店員やっているんだ。そういう所、ムカつくのよね。普段、馬鹿なくせに変に良い子ぶりやがって。私が彼女だってなら、私が何をしても味方しなさいよね』

「とにかく、用もないのに来ないで……欲しいなって思っているんで、本当に買い物とか用があるとき以外は、遠慮してくれると嬉しいなと」

『クソムシの分際で私に説教する気? 大体、あんたさ。私に数千円か数万貢いだくらいで、ご機嫌を取ろうってのがマジムカつくのよ。随分と安く見られたもんだわ私も。てめえみたいなクソムシが私の心を動かそうってなら、最低でも現金で一億円くらいは積みな」

 もう無茶苦茶過ぎて、返す言葉もない。

 葉月さんとの会話もいい加減、限界に来てしまったので、切ろうとすると、

『ったく、彼氏面するのもいい加減にしな。こっちは事故の義理で付き合ってやっているだけなんだからね。私にヘラヘラ付き纏うの、マジ迷惑なんだよ、バーカ。マジで死ね』

「――っ! は、葉月さん! ちょっと」

 俺に言いたい放題の罵倒をした後、葉月さんは一方的に電話を切ってしまった。


「…………えっと、これって……」

 葉月さんにフラれた? マジで?

 そう思うと、彼女の俺への罵詈雑言が頭から全く離れず、放心状態のまま、しばらくその場に立ち尽くすしかなかったのであった。


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