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街に必要なもの

「ようやくお披露目か・・・なるほど確かにハロウィンのよく知る姿だ・・・だが・・・・・・」


ホワイトアイスの背中から、光沢のある飴の腕が生える。一本、二本、と増えていき、合計四本の腕が背中から伸びる。


「ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ・・・腕が増えたなァ、キャンディマン。来てみろ、どんなものか試してやる・・・!」


「抜かせ・・・ッ!」


ホワイトアイスはドンと地面を蹴り、今まで以上のスピードで接近する。

そうして岩よりも固い『キャンディ』の腕を四方八方から振るう。取った。ホワイトアイスは確信した。この数では防御は不可能だ。ホワイトアイスは嗤う。そしてカボチャの怪物にめり込む――――――――その直前に。

ボゴオッッ!と強烈な蹴りがホワイトアイスの横腹を蹴りぬく。『キャンディ』の体のせいで、ぐぬりと必要以上に歪曲して吹っ飛んだ。

いくつものビルの窓を削り、最後には側面の壁に叩きつけられた。


「・・・ガッッ、ハッ・・・・・・ッッ!」


ホワイトアイスは身体と口から『キャンディ』を大量に吐き出しながら、地面に落下する。


「ハハハハハハハハハハハハッ!」


ジャック・オ・ランタンは高らかに嗤う。


「カボチャ風情がァああああああああああああああ!」


ホワイトアイスは周りに落ちた『キャンディ』をかき集めバクバクと口に含んで、ぼりぼりとかみ砕いた。


「ああああああああああああああああッ!」


最早言語もない。ただ吠えてカボチャに向かう。


「ハハハハッ!いいぞ!馬鹿みたいに必死に来い!」


そうして両者は三度目の衝突を向かえる。その勢いは凄まじく、周囲のビルの窓ガラスはほとんど砕けとび、街灯は派手に折れ曲がり、付近の十字架は一瞬で消え去った。

カボは今では体全体を発光させて、まさしくカボチャのランタンのように、ホワイトアイスに熱を持った強力な攻撃を見舞う。一方ホワイトアイスはそれを防ぐことしかできなかった。


(・・・なんだ、この力は・・・ッ!)


まるで先ほどのカボの力の比ではない。中にチャムという火がともることによって、ランタンは凄まじい攻撃力を持つようになった。畳みかけるようなジャック・オ・ランタンの攻撃。


(防ぎ、きれなッ・・・)


ホワイトアイスはドンと拳を腹に受け、雪を散らしながら地面を転がっていく。


「ぐあああああああああああ!!」


殴られた腹を確認してみる。ジュウううう、と音を鳴らしながら焦げている。砂糖が焦げたような臭いがひどく癇に障った。


「ハッ!もう終わりか?」


「随分、調子づいてるな・・・。ハァ・・・ハァ・・・勝利でも確信したか?」


「ハハハ勝利・・・勝利か・・・ああ、それは随分甘酸っぱいだろうな。・・・だが要らない」


「なんだと?」


「お前は勘違いをしている・・・必要なのは・・・悲鳴と、騒乱と・・・俺様の笑い声だ・・・ハハハハッ」


「そんなものが何になる!?」


「・・・・・・ああ、一つ忘れてた」


ジャック・オ・ランタンはニタニタと笑みを浮かべる。


「・・・灯りだ」


カボチャの怪物は熱を上げる。身体は煌々と光を発し、雪を溶かし、通りを照らす。


「この街に最も不必要なものだ・・・ッ!」


「アーッハッハッハ!だから面白いんだよォ!」


ホワイトアイスは自身の虹色の脊椎を引き抜き、槍を持つように構える。


「そんなものはもう無駄だ」


暗闇の中に一筋の道が出来る。それはジャック・オ・ランタンが高速で移動した軌跡だ。

ぎゅんと一瞬でホワイトアイスとの距離を詰め、虹色の脊椎を掴み、どろどろと溶かす。

ホワイトアイスは絶句する。ジャック・オ・ランタンが高熱を帯びた拳を鋭く叩きこむまで、動けなかった。

飛んでいき、そのままどさりと倒れる。

顔の半分以上の感覚がない。やたらじゅうじゅうと音を立てているのは殴られた自分の顔の半分が焦げているからだ。ただの殴り合いなら圧倒的に分が悪い。目の前のカボチャは、想像以上の化け物だ。カボチャとはいえハロウィンを象徴する存在だ。安く見積もりすぎた。


「フ・・・フフフフフフハハハハハ・・・ッ!」


負けを認めた。だが、ホワイトアイスは嗤う。

ジャック・オ・ランタンはその様子を眺める。どこか楽しそうに笑われるのは、なんだか不快に思えた。


「敵わない。ハハハハそれはそうだ、俺はただのまがい物だ。純粋な化け物でもない。そんなこと俺がよく知ってる」


ホワイトアイスはゆっくりと起き上がる。


「だが、そんなことは俺にとってはどうでもいい。この街の結末はたった一つだと教えたはずだ・・・・・・この街は滅びを以て完結する・・・!」


顔を半分焼かれても、なおホワイトアイスは笑う。


「さあ、聞こえてくるぞ!この街の歓喜の歌声がな!」



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