第五話 食べ物は創造で。
前のリザック・ピエロが遺した本には、イタイテを越え東へ向かうと貿易都市セーテンがあるという。
貿易都市というのであれば、商人が集まる。
商人が集まるということは、お金を持っている人が多いということだ。
つまり、次こそはお金を恵んで貰えるのではないかと考えた。
ということで、一先ずそこに向かおうかと思う。
松明で照らしているとは言え、流石に夜道を歩くのは危険だろうと判断した俺は、墓地から離れた所で野宿をしようとしたが。
「あ、リュック忘れてた・・・」
お義母さんから渡されたあの大きいリュックを忘れてきたのだ。
中に入っているのは寝袋だけだったのでむしろ邪魔になっていただろう。
とは言え、寝袋が無ければ寝るに寝れないだろう。
それに少女を地べたに寝かせるのは俺の心が許さない。
「そういえば、君の名前を聞いてなかったね」
俺は問いかけるが、少女は申し訳無さそうな顔をして
「私の名前・・・ごめんなさい・・・無いんです・・・」
と言った。
名前が無い・・・生まれた時にもうすでに売られていたとか色々あるんだろうが、聞いてやるのは酷というものだ。
名前がないのならば付けてやればいいのだ。
「そっか、俺で良かったら名前を考えるけど、それでいいかな?」
少女は心底嬉しそうな顔をして力強く頷いた。
覚えやすくて可愛い名前がいいな。
「そうだな・・・『サラ』なんてどうかな?」
在り来りな名前ではあるが、少女はそれで喜んでくれたようだ。
「さて・・・どうしたものか」
今夜一晩過ごすための寝床と、あとは食事だ。
食事問題はなんとしても解決しないといけない。
サラもだが、俺に関しては丸々二日食べていない。
「ご、ご主人様ってなんでも出せるんですか・・・?」
「そうだなぁ、多分大抵のものは出せると思うけど。あっそうだ」
俺は【創造】で寝袋を二つ程作った。
そういえば、食べ物も作れるのかな。
試しにりんごを二つ程出した。
「おお、作れるじゃないか。どれどれ味は?」
一つをサラに与えてもう一つは自分が食べた。
シャクッと軽快な音を立てる。
口の中にりんごの甘みが・・・広がらない。
「む・・・無味・・・」
食感だけはりんごのようだが、味は全く無い。
ただの固形物だった。
「悪い、味が無いようじゃ美味しくないよな・・・捨ててくれていいよ」
サラに目をやると、サラは美味しそうにそのりんごを食べていた。
気付く頃にはへただけを残す形になった。
「ご主人様!この果実は今まで食べたどのものよりも美味しいです!」
「そ、そうか・・・良かったらこれも食べていいよ」
持っていたりんごをそのまま手渡すと、とても嬉しそうに受け取った。
「それ食べたらもう寝るんだぞ」
そう言うと寝袋に潜り込んだ。
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翌日、目が覚めると隣でサラが正座をしたまま俺のことをジッっと見つめていた。
朝の挨拶を行うとサラは元気な声で「おはようございます!」と答えた。
(これは目覚まし時計のアラームよりも目が覚めるな・・・)
と思いながら果物を幾つか作る。
昨日は疲れていた為、味のないりんごが出来たのかもしれない。
そもそもりんごが悪いかもしれないと思い、今回はりんごの方かにオレンジ、レモンなどの柑橘類を作った。
また、作った幾つかをサラに渡して、朝食とした。
「んー、やっぱり味が無いな・・・」
【創造】で食べ物の形取ることが出来ても味がしないということが分かった。
が、それでも空腹は満たされるし、果物特有の瑞々しさで喉も潤された。
それにコスト0で幾らでもつくれるのでお金が無くても空腹を紛らわすことが出来るのは利点だ。
あとはサラも喜んでくれるてるからそれで良しとしよう。
食事を終え、荷物をまとめ出発の準備をする。
「あ、そういえば【創造】で作った物ってその場で置いておいたらどうなるんだろう」
俺はふと、昨日芸をする時に作った物の事を思い出した。
リュック等と同様にイタイテに置いてきてしまったが、しばらくしたら消滅したりするのだろうか。
そんなことを考えながら寝袋が丁度入る程度の大きさのリュックを作りその中に詰める。
「さて準備も終わったし行くか」
二人分の寝袋を入れたリュックを背負い出発しようとする。
「あの、ご主人様」
サラが申し訳無さそうに聞いてくる。
「私は・・・何も持たなくていいのですか?その・・・私は一応ご主人様の助手ですので・・・」
何か持たしてくれと顔で言っている。
とは言え、少女に何か持たせるというのは気が引ける。
それに持っている物もそんなに重くはない。
何の原理か【創造】で作ったものは普通の物よりも軽いので、二人分の寝袋を詰めたリュックは昨日まで持っていた大きいリュックを背負うよりは全然楽なのだ。
「んー・・・でも持つものって言ったらこれぐらいだし・・・あっそうだ」
大きめの紙袋を作り、その中に袋いっぱいに果物を入れた。
それでもそんなに重くないので少女に持たせるには丁度いい。
「ほら、これ持ってて。お腹が空いたら食べていいから」
サラは驚きながら、袋を受け取りそれでも申し訳無さそうな顔をしながら「ありがとうございます・・・」と言うのだった。
出発してからしばらく歩いた。
著:リザックの本に付いていた地図と、太陽の位置で方角を確認しながら歩みを進める。
ただ時計がないので性格な方向かは定かではないのでかなり不安だ。
サラは黙々と袋の果物を食べている。
俺もそんなサラを見ながら本を読み進める。
俺はふとある目次に目が留まる
『死霊術とは』
死霊術、恐らくサラが生き返ったのはこれが原因なのだろう。
『僕は以前より死霊術の研究を行ってきた、理由は僕の両親の蘇生だ。
しかし、魂が蘇っても肉体がないせいで魂はすぐに還ってしまう。コップが無ければ水を注ぐことが出来ないように、魂も器がなければ世に残ることが出来ないのだ』
サラが無事に復活できたのは体があったからか・・・
『死霊術で蘇生出来た生物は体を動かすために蘇生主の魔力が必要とする。その為定期的に魔力の供給を行う必要がある。これを行わなければ、魂は還ってしまう』
魔力供給を行わないといけないのか・・・しかし、どうすればいいんだろうか。
そういえば、【創造】は魔法だから魔力によって物を作るのであれば、それをあげたら一応魔力供給になるのかな。
「魔力供給出来てるから美味しいって言ってるのか・・・?」
なんであれ、サラは俺が作ったものをあげればなんとかなるってことか。
それならば安心かな。
そうこうしていたら遠くの方に街のような物が見えてきた。
「ご主人様!あれがセーテンですかね!?」
街に着けばまた忙しくなるだろう、次はお金を貰える策を考えなくては。
そんなことを思案しながら歩みを進めるのだった。




