表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ピエロと蘇生従者  作者: 一部に見たが産卵期
4/8

第三話 俺は、全ての人に笑顔を

走ると周りの人は俺を見る。

それでいい、それがいい。

出来るだけ多くの人に見られたほうがお金を恵んで貰えそうだ。

少し恥ずかしい気もするが、今はそんな気持ちを忘れよう。

今日安心して寝るため、明日生きるために全身全霊でピエロを演じよう。



~イタイテ中心街:噴水前~


駆け抜け、肩で息をしながら中心街へ到着する

両手を掲げ、拍手を一つ。

「パンッ」と大きな音を立て周りの人の目を引く。

2,3人ほど注目した程度だが、初めはこんなものだろう。

見られていると確認したところで、ゆっくりと左手を下ろし掲げたままの右手にナイフを一本作る。

原理は分からなくても、体は覚えていたらしく何事も無く成功した。

突然現れたナイフを見た人々は少し驚いた様子だった。

右手を降ろし、ジャグリングを始める。

ナイフ一本ではジャグリングとは言えない、それは当然。

だが、俺の魔法【創造】を持ってすればタダのジャグリングも一瞬で超スゴイ芸になるだろう。

一本目のナイフが左手に渡ったと同時に右手に瞬間的に新しいナイフを作り、また左手に投げる。

これを繰り返す。

世にも不思議な増え続けるジャグリング。

珍しい物を見た人たちは口々に

「おお!すごい!」「珍しい、大道芸人が来るなんて」「ここ数年来なかったものね!」

などと声を上げる。

【創造】の魔法は珍しいのだろう、誰も俺が魔法を使わずにただの手品だと思っているに違いない。

いや凡人だった俺からしたら手品の方がよっぽどすごいけど。

人の声につられて人が寄ってくる。

夜近くで周りも暗くなりつつあったが、店などの灯りでまだ明るい。

人々の顔を見ると驚きや笑顔、タネを明かしてやろうと考えている人など様々だ。

そんな人の顔を見るとこちらも楽しくなってくる。

ジャグリングだけではつまらないと思ったので、他に幾つか昔テレビで見た手品を真似てやってみる。

出来た時には拍手が、失敗しても戯けて誤魔化して笑いを誘う。

しばらくして、ある程度の手品もどきを見せてもうネタが無いようにして終わりを告げる。

すると、拍手と歓声が起こった。

「素晴らしかった!」「また見せに来て!」と皆が賞賛した。

俺は礼をした。

とても楽しかった。

だが、本来の目的を忘れてはいけない。

今日食べる分と明日生活する分の資金を集めなくてはいけないのだ。

果たして・・・


------------


現実は非情だ。

少しでも恵んで貰えると思った俺がダメだったのか、硬貨の一つも貰えなかった。

何がダメだったのだろうか。

そもそも大道芸人って無償で行う物なのだろうか・・・

噴水を離れ道の端で項垂れる。

「マジでどうしよ・・・テンション上がって動きすぎたせいで余計腹が減った・・・あれ、これって俺また死ぬのか?せっかく転生したってのに・・・」

思えば今日は干し肉しか食べていない、餓死って絶対辛いよな・・・

何故二回も死なないといけないんだ。俺が何したってんだ。

転生を促した天使を死ぬほど憎んだ。

「あのぅ・・・・」

地面を見つめ「砂って食えるのかな・・・」と呟いていた俺の頭上から女の子の声が聞こえる。

「はっはい!なんでしょう?」

「こっこれ・・・!」

女の子は一切れのライ麦のパンを手渡してくれた。

アルプスの少女なにがしで見たことがある黒いパンで硬いパンだ。

「えっ・・・くれるの?」

「はっはい!私・・・あなたの芸を見てて・・・すごいなっ!ってそれで・・・私・・・」

とても嬉しかった。それと同時に人の優しさに触れとてもじゃないが涙を堪えきれなかった。

「うぅ・・・ありがとう・・・!」

だが、よくその女の子の格好を見るとボロボロの服に裸足だった。

体の所々が汚れ、痩せている。まともな食事を取らせてもらていないのではないかと思うほどだ。

そんな子がパンを渡してくれるということは今晩の食事を俺に渡してくれているということであろう。

それに気付いた俺はパンを返した。

「ありがとう、君のその気持で十分だよ!」

笑顔で女の子の頭を撫でた。

前世の俺ならすぐさま手錠を掛けられるが、この世界の俺はイケメンなのだ。許されるに違いない。畜生

「えっ・・・でも・・・」

「君もお腹が空いているんだろう?さあ、お食べ、子供がちゃんとご飯を食べないと大きくなれないぞ?」

女の子は小さく頷くと隣に座ってパンを齧った。

黙々と食べ、食べ終わるとこちらを向いて立ち上がった。

「明日は二つ持ってきます・・・!明日も・・・会えますか・・・?」

「ああ、明日も会おう!明日はもっと違う芸を見せてあげよう!」

とは言えもう殆どネタがないのだが。

「はい・・・!また明日・・・!」

そういうと少女は駆け足で帰っていった。


"明日"はもっといい日になると信じて。

更新までかなり期間が空きましたが、ほそぼそと続けていきたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ