94話 二十一グラム
時間はないため大まかな作戦しか思い付かなかった。リザたちはアイルの能力でジェノサイドスレイのメンバーの包囲を掻い潜る。死体の居場所はスジュンの透明化の能力で先に探りながら進む。ばれたら一巻の終わりで緊張で汗が出る。特にスジュンの能力は制限が多すぎる。
思わず小さなミスで敵の死体に見つかってしまった。幸いアイルが即座に銃で撃ったため事なきを得た。その時は頭を撃ったため復活する様子もなかった。
その後は数人だが救出に成功し、ゼストのところにつく。
リザ「目を覚まして。」
ゼスト「一体……どうなって。」
気絶していたゼストが目を覚ます。またしても助けられた。リザは手短に状況を説明し彼に脱出を促す。
ゼスト「待ってくれ。友達を、ガイアを助けてほしい。」
アイル「諦めてくれ。もう残っているのは暴れているジェノサイドスレイか能力で操られている死体しかいない。」
ゼスト「ガイアは絶対に生きている!」
ゼストはガイアの救出を懇願する。リザたちにとってはリスクしかない。ゼストは諦めきれずリザたちから離れて飛び出した。ガイアに会うために。
リザ「待って!」
リザの声を無視して彼はガイアにたどり着いた。ガイアの周りには殺したであろう凍り漬けの死体があった。
ゼスト「ガイア、目を覚ましてくれ。そして、一緒に逃げよう。」
操られているガイアを止める手立てすらない。むちゃくちゃだと分かっていたがゼストはこれしかできない。
ゼストの声に何かが反応した。
「撃て! 今なら俺の能力は止めている。今なら俺の肉体を破壊できる。」
ガイアの肉体を借りたガイアであったものはゼストに訴えかけてくる。撃てばどうなるのかゼストは知りたくもなかった。少し前に撃ったのは止めるつもりで殺すつもりは一切なかった。だが、今回は違う。
ゼスト「撃てる……わけないだろ! ガイアは能力で操られているだけだ。生きているんだよ。仮に死んでも蘇生の能力があれば生き返れる。」
そんな都合のいい能力など簡単には見つからない。そんな偽りの希望にすがってでも、ガイアの死を認めたくない。間違いなく彼の死を目撃していたのに。
「頼む……もう持たない。」
この時点でガイアは大勢の奴隷を死なせた。きっとこれからもそうさせられるだろう。ガイアという存在はそうやって生き続ける。死を越えた存在になる。それが人間かどうかなど関係はない。
そうなる前にゼストが成さねばならないことがある。
ゼスト「俺は……お前を…………」
この先を口にできない。でも、しなければリザたちや自分が死ぬ。ガイアを救うためにもなる。
ゼストは……撃った。ガイアの死体は止まり、重さが二十一グラム減少した。




