90話 もう遅い
ガイア『何、泣いているんだよ。』
ガイアは少し笑いながらハンカチをゼストに渡した。渡された手はゼストには何故か冷たく感じていた。
ゼスト「ガイアの手……冷たい?」
ガイア『能力のせいもあるからな。そんなことよりここには保護された奴隷どもがいるだろ? 見てみたいな。』
ゼスト「? いいけど……」
ガイアのおかげで少し喋れるようになったため、他の部屋をみんなの邪魔しない程度に案内する。
ガイア『ちょっとあいつら奴隷どもと個人的に話がある。離れてくれないか。』
何かを感じつつも言われた通り、ゼストはガイアと離れていく。
それから十分経った。ゼストの感じた何かが時間とともにわかり始めていく。それを否定している自分もいる。
ゼスト(確証はない。でも、これは……)
ゼストは大急ぎでスジュンに銃を貸して欲しいと頼み込む。
ゼスト「お願い……だ! 拳銃を貸してくれ!」
スジュン「そんなものを何に使うつもりだ。そんなことは許可できない。」
スジュンは彼が自殺する可能性も考えて渡そうとはしない。ゼストはゼストで言葉でうまく説明できそうもなかった。
ゼスト「間に合わなくなる前に、早く!」
ゼストはスジュンを押し倒そうとしてでも彼の持っている拳銃を奪おうとする。しかし、それは敵わずに逆にスジュンに取り押さえられる。
スジュン「一体、どういうつもりだ!」
ゼスト「お願いだ……ガイアは操られているかもしれない。」
スジュン「それはどういうことだ?」
スジュンは押さえていた手を離してゼストの話を聞くことにした。ガイアの体温の低さと奴隷に対する言葉遣いに違和感があったことを話した。
スジュンはそれを聞き、団員にガイアを取り押さえるように指示を出す。勘違いで済むならとゼストは願った。銃を借りたゼストは全力で誰よりも先にガイアのところに向かう。
ゼスト「ガイア、ゆっくり手を上げてくれ。会話はできるだろう?」
ガイア『何だよ、ゼスト。』
ガイアの周りには何人もの倒れた奴隷たちがいた。これでゼストは確信する。
ゼスト「お前は誰だ!? 彼らを殺したのか?」
震える声と手で銃口を向ける。今度こそ悲劇を止めるために。
ガイア『いいや、生きているよ。』
ガイアの言葉の直後に倒れていた彼らが動き出した。だが、ゼストには嫌な予感しかなかった。
ゼスト「両手を床に着けろ!」
ガイア『ちぃ、誤魔化せないか!』
ガイアは能力でゼストを凍らせようとするが、ガイアの中の何かが直前で止まる。
ゼストは何発か発砲するが、ガイアには効かなかった。
そんな状態の中、アジトの入り口が破壊される。そこには大勢のジェノサイドスレイがいた。
死神「奴隷解放団の殲滅作戦、開始だ!」




